日米首脳会談での集団的自衛権の扱い 首相答弁

2013年2月21日 08:23

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記事提供元:エコノミックニュース

安倍総理は現憲法下での集団的自衛権の解釈のあり方について、政府として議論していることをオバマ大統領に伝える意向を示した。

安倍総理は現憲法下での集団的自衛権の解釈のあり方について、政府として議論していることをオバマ大統領に伝える意向を示した。[写真拡大]

 国会は20日、参議院予算委員会が開かれ、安倍内閣の基本姿勢についての集中審議が行われた。日米首脳会談を控え、社会民主党の福島みずほ党首は安倍晋三総理に対し「集団的自衛権の行使は出来ないというのがこれまでの政府見解だったが、集団的自衛権の解釈について、オバマ大統領と話をするのか」と質し、国会での議論や合意がない中では、とりあげることは「出来ない」と強く、今回の首脳会談で話題にあげないよう要求した。

 安倍総理は「日米の同盟関係を強化していくということについて議論をしていく」とし「日本において安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において(第一次安倍内閣時代に)とりまとめられた4分類をさらに議論していくことが決まっている。そうしたことについても話をしたいと思っている」と答え、現憲法下での集団的自衛権の解釈のあり方について、政府として議論していることをオバマ大統領に伝える意向を示した。

 福島党首は「総理には憲法尊重擁護義務があり、国会では集団的自衛権について議論していないし、合意が出来たわけでもない。なぜ、オバマ大統領とそのことについて議論ができるのか」と追及。

 安倍総理は「議論するとか、報告をするとかではなく、日米同盟関係を強化していくうえで、日本は何をすべきかの観点から、日本として様々な議論をしていくということであり、4分類について説明する気はないが、安全保障をめぐる状況が大きく変わっていく中で、国民の生命と財産をしっかり守っていくというのは我々政府の義務でもある」とした。

 安倍総理は「米国から集団的自衛権について意見を聞いたり、米国側からどうしたほうが良いという話を聞くというものでは全くない」と反論した。

 安倍1次内閣時代に懇談会は(1)同盟国を狙った弾道ミサイルをMDシステムで撃破する(2)並走中の同盟国艦船が公海上で攻撃された場合、自衛隊が反撃する(3)PKOなどで活動する他国軍が攻撃された場合、自衛隊が応戦する(4)自衛隊が同盟国の軍隊を後方支援(給油・武器弾薬・戦略物資の輸送など)するの4分類に基づいて、集団的自衛権の行使が憲法上許されるかどうか研究を進めてきた。その議論の結果をふまえて、第2次安倍内閣では議論を深めていくことになった。

 たださきの報告書は1と2は集団的自衛権の行使は可能、3と4は国際紛争解決のための武力の行使には該当しないとしており、この議論をどう深めていくのか、安倍総理が期待する結論への環境整備に終わらないか、注視する必要がある。

 安倍総理は集団的自衛権の解釈改憲について、オバマ大統領に報告するのかとの問いには「ノー」と答えた。「4分類を中心とした報告書に基づいて、これから議論していくのであって、わたしが、それに解釈変更した方が良いというような予見を与えずに、専門家のみなさんに議論していただきたいと思っている」と答弁し、結論ありきでない専門家の議論を期待している旨をアピールした。(編集担当:森高龍二)

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