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相続税改正を前にしたもう一つの"駆け込み"とは
1月29日の臨時閣議で政府は2013年度予算案を決定した。安倍政権発足後1カ月で取りまとめたことになるが、景気のテコ入れと脱デフレを第一義としたアベノミクスへの期待は大きく、30日午前中には日経平均は一時1万1000円台にまで上昇した。
予算に先駆けて1月24日に発表された政府の2013年度税制改正大綱。2014年の消費税増税とともに、15年1月からの富裕層への所得税増税と資産家への相続税増税が決まった。所得税増税の対象は財務省によると約5万人。課税対象となる所得のうち、4000万円を超える部分で税率が40%から45%に上がることになる。相続税に関しては、さらに影響が大きく基礎控除が4割も縮小。相続税がかかる人の割合は約4.2%から1.5~2倍に増加すると予想されている。急激な負担増を避けるため、小規模宅地等については課税価格の計算の特例対象となる限度面積を拡大。居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とする等の措置もとられることにはなっているが、課税対象者が増加することに変わりはない。
この相続税対策として最もメジャーなのが不動産投資であろう。実際、証券会社や信託銀行などが主催する不動産投資セミナーは活況を呈しているという。現在、マンション・アパートの戸数は充足しているものの、耐震性能や省エネ対策などの質が不十分な建物が多い。その為アパートなどの賃貸物件の建設は、課税対象額を大幅に減らすことが出来る上に、対策が必要となる地価の高いエリアなら十分な入居者需要が見込めるという。分譲マンション業者でも駆け込みを狙った活発な販売計画が立てられているのもそのためだ。
他方、住宅メーカーも資産活用に向けた提案に注力している。例えば積水ハウス<1925>は、都心部の宅地の相続税対策として、賃貸併用住宅や多世帯住宅への建替えなどの人気が高まると見越し、賃貸住宅「シャーメゾン」の提案を活発化している。同社ならではの設計の自由度の高さや敷地対応力、高級マンション並みの外観・質感、設備、外構を兼ね備えた同商品は、直近12月単月の受注が前年比124%、2月から12月の受注も前年比107%と好調のようだ。
大綱には、住宅ローン減税の最高控除額を拡充する措置なども盛り込まれ、消費税増税前の駆け込み需要を徒に煽ることはもちろん、その後の反動減を抑止する効果も期待でき、今回の大綱を評価する声も多い。こうした中、積水ハウス以外にも各メーカーが独自色を出した提案を実施しているが、相続税対策や資産活用方法は、各個人によって何が最適であるのかが異なる。税制の転換期にある現在は、大綱に基づいた新制度のもとで動き始めるべきなのか、始まる前に行動に移すべきなのかといった、タイミングも大切だ。となると、何よりも重要となってくるのは、信頼のおける専門家、信頼のおける住宅メーカーを早く見つけることではないだろうか。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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