三菱重工、油圧ドライブトレイン採用の大型風力発電設備を試験運転 世界初

2013年1月24日 17:16

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世界初の油圧ドライブを搭載した三菱重工風車ナセル(写真:三菱重工業)

世界初の油圧ドライブを搭載した三菱重工風車ナセル(写真:三菱重工業)[写真拡大]

  • 世界初の油圧ドライブを搭載した三菱重工風車(写真:三菱重工業)

 三菱重工業は24日、横浜製作所(横浜市金沢区)内で、これまでのギアドライブに代えて油圧ドライブトレインを採用した大型風力発電設備の試験運転を開始したと発表した。

 2011年9月から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めている洋上風車用新型油圧ドライブトレインの開発の一環で、デジタル可変容量制御を行う油圧ドライブトレインを持った大型風力発電設備の運転は世界で初めて。三菱重工はこの成果を踏まえ、7,000kW級の洋上風力発電設備の開発を加速し、2013年に英国において陸上での実証機の据付・運転を開始する計画であり、2015年の市場投入を目指していく。

 今回試験運転を開始したのは、横浜製作所内で運転中であったギア式風力発電設備(MWT100)のナセル部分を油圧ドライブトレインに換装した「MWT100H」。具体的には、ブレードの回転速度(15rpm)を発電機の回転速度(1,000rpm)に増速する動力伝達機構として、これまでのギア式増速機に代えてデジタル可変制御方式による油圧ドライブトレインを採用した。

 新型油圧ドライブトレインについては、三菱重工が2010年に買収した英国のベンチャー企業、アルテミス社の持つ優れた油圧デジタル制御技術をベースに、同社と共同で開発した。

 油圧ドライブトレインを採用した風力発電設備は大型化の課題となっていた増速機やインバーターが不要で、高い効率性と信頼性を実現する。また、汎用性の高い油圧機器や材料、比較的低廉な同期発電機などで構成されるため、コスト競争力に優れるなど数々の利点を持っている。

 三菱重工は1980年から陸上風力発電設備の開発に着手し、全世界に4,000基超(41万2,400kW規模)の納入実績を持っている。また、今回新たに開始する油圧式ドライブトレインの運転成果を持って新型洋上風力発電設備の開発を急ぎ、それぞれ試運転開始を予定している英国での陸上実証機(2013年8月)や福島沖浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業(2014年秋)に対応していく方針。

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