三菱重工、次世代型LNG運搬船「さやえんどう」第1番船を長崎造船所で起工

2012年12月11日 20:45

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次世代型LNG運搬船「さやえんどう」(画像:三菱重工業)

次世代型LNG運搬船「さやえんどう」(画像:三菱重工業)[写真拡大]

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 三菱重工業は11日、次世代型LNG(液化天然ガス)運搬船として開発した「さやえんどう」船型の第1番船を、長崎造船所(長崎市)で起工したと発表した。大阪ガスおよび商船三井向けに昨年10月に受注した同型船2隻のうちの1隻で、球形タンクを持つMOSS方式船を進化させることにより燃費やメンテナンス性が大幅に向上している。完成・引き渡しは2014年度の予定。

 同LNG運搬船は、長さ288.0m、幅48.94m、満水喫水11.55m、総トン数13万8,000トン(載貨重量トン数7万5,000トン)で、航海速力は19.5ノット。タンク総容積は15万5,000m3(LNG積載可能量は15万3,000m3)となっている。同船は、大阪ガスの100%出資子会社でLNG運搬船の運用を手掛ける大阪ガスインターナショナルトランスポート(大阪市中央区)と、船舶管理会社を務める商船三井の両社による共同保有となる。

 さやえんどう船型は、球形タンク4基を、船体と一体構造の連続タンクカバーで覆うことにより、船全体の強度を確保しながら軽量化を実現。さらに、航行中の風圧による抵抗を大幅に軽減する。また、主機関には蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めた新型の「MHI Ultra Steam Turbine Plant(UST:再熱舶用推進蒸気タービン)」を採用。燃費は従来船と比べ単位荷物あたり約25%の低減を可能にしている。

 連続タンクカバーの採用により、タンク頂上で配管、電線、通路を支える複雑な構造物が不要になることからメンテナンス性が大幅に向上しており、燃費改善によりCO2排出量も抑制されている。さらに、バラスト水処理装置を搭載することによる海洋生態系への影響低減など環境対応力も高めている。

 さやえんどう船型は、今年6月にも商船三井向けを別途受注しており、累計受注隻数は5隻。海運業界で高い関心を集めており、日本の造船業界で開発が活発化している省エネ・環境性能を高めたエコシップをリードする製品に育ちつつある。

 三菱重工は、さやえんどう船型をはじめとするエコシップを船舶・海洋事業で注力する高付加価値化の重点商品と位置づけ、さらなる技術開発およびラインアップ拡充を推進するとともに、国内外での提案営業を一層積極化していく。

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