日経平均は114円安で、流れは変わったか

2012年11月29日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 28日の東京市場は、15日以来の上昇相場に区切りをつける1日になった。前日のNY市場は89ドル安、朝方の為替はやや円高に戻しドル円82円台前半、ユーロ円106円台前半だった。日経平均は47.82円安の9375.48円で始まり、前場で一時9400円台にタッチする場面もあったが、後場はアジア株の軟調に加えてドル円8Ⅰ円台後半、ユーロ円105円台後半と円高がさらに進行し、下げ幅は100円を超える水準まで拡大した。原因はなんとアルゼンチン国債のデフォルト懸念で、世界のどこから弾が飛んでくるかわからない。日経平均終値は114.95円安の9308.35円と22日朝の段階まで戻った。売買代金はかろうじて大台乗せの1兆158億円で、市場のエネルギーは確実に落ちている。

 上昇セクターは円高に強い石油や食品、医薬品など。ファーストリテイリング <9983>やローソン <2651> のような小売、NTT <9432> やDENA <2432> のような情報・通信、オリエンタルランド <4661> のようなレジャー関連といった、いわゆる内需ディフェンシブ系の株価が上がり、前日までとは流れが変わったようだ。下落セクターは輸出関連株の鉄鋼、電機や海運、電力、保険、証券など。新日鉄住金 <5401> 、東芝 <6502> 、ソフトバンク <9984> 、トヨタ <7203> 、ホンダ <7267> 、キヤノン <7751> など大型株が揃って下げ、「安倍発言ふたたび」で前日にぎわった建設関連も全体的に振るわなかった。

 前夜に破産手続き開始決定と報じられた橋梁メーカーのサクラダ <5917> は整理ポストで12円安の1円。この銘柄は値上がり率、値下がり率のランキングによく登場していたが、それは株価10円台の超低位株ゆえで、倒産の市場への影響はほとんどなし。12月12日に上場廃止になる予定である。

 今日、健闘したのは薬品株の大幸薬品 <4574> で、1514万株が売買されて25円上がった。整腸薬「正露丸」で有名だが、二酸化塩素を使った「クレベリン」ブランドの除菌・消臭製品の需要が医療機関、介護施設、学校などで高まっており、インフルエンザ関連銘柄として買われた。気象庁は22日に12~2月の3ヵ月予報を当初の暖冬予想から「エルニーニョが終息して寒い冬になる」と変えている。冬が寒いと有望なインフルエンザ関連銘柄には、治療薬「タミフル」の中外製薬 <4519> 、「イナビル」の第一三共 <4568> 、うがい薬「イソジン」の明治HD <2269> 、マスク素材の日清紡 <3105> 、ダイワボウ <3107> などがある。

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