脳は他者への共感と分析的思考を両立できない

2012年11月6日 13:50

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 「共感」に使われる脳の神経回路網が活発になるときは、「分析的思考」に使われる神経回路網が抑圧される、ということがケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究で明らかになったそうだ(EurekAlert!本家/.)。

 脳には社会的/道徳的/感情的に他者と繋がるときに使われるネットワークと、論理的/数学的/科学的思考に使われるネットワークがあるという。脳が休息状態にあるときはこれらのネットワークが交互に使われるが、どちらかの機能を要するタスクを行う場合、もう片方のネットワークが抑圧されることが示されたという。

 実験では45名の健康な学生に「他者の気持ちを考えさせる問題」と「物理学を要する問題」を提示し、脳の活動をMRIで解析した。問題はそれぞれ文章問題およびビデオ問題で20問ずつ出されたとのことだが、問題の形式に関わらず片方の機能が活動している際はもう一方は抑圧されていることが明らかになったという。

 この仕組みは自閉症やウイリアムズ症候群を例にとると分かりやすいとのこと。自閉症患者は空間視覚を伴う問題を解くのに長けているが、社会機能に問題を抱えることが多い。これに対しウイリアムズ症候群は非常に温厚で優しいという特徴を持つが、空間視覚を伴う問題に対する能力が低いことが多い。

 今回の研究は脳に構造的な制約があり、共感することと分析的思考を同時に行えないことを示す初めての研究とのことで、非常に理知的な人でも詐欺に引っかかってしまう場合があるのはこの構造のためと考えられるとのことだ。

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