住友化学や住友商事など、CO2分離事業に関する合弁会社を設立

2012年10月16日 12:34

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 住友化学、住友商事およびルネッサンス・エナジー・リサーチ(本社:京都府京都市)は16日、CO2を選択的に透過する膜(CO2選択透過膜)を用いた「膜分離法」によるCO2分離事業への参入に向け、合弁会社を設立することで合意したと発表した。

 CO2を分離する技術は、主に水素の製造や天然ガスの精製において、目的のガスからCO2を除去するために使われている。現在実用化されている「化学吸収法」や「物理吸収法」などのCO2分離技術は、多くの熱エネルギーや大型の設備が必要なため、低コスト化が大きな課題となっている。

 3社は、ルネッサンス社がNEDOや近畿経済産業局の支援を得て開発したCO2選択透過膜をもとに、プロセスがよりシンプルでエネルギー消費を大幅に削減できる「膜分離法」について技術的検討や市場調査を行ってきた。その結果、世界最高水準の分離能力を有するCO2選択透過膜の開発に成功し、その優位性が確認できたことから、今回新会社を設立し、事業化に向けた本格的な取り組みを進めていくこととした。

 現在、CO2分離事業の市場規模は世界全体で年間約3兆円と推定されているが、今後新興国の経済発展や中小ガス田開発の増加などに伴い、一層の拡大が見込まれている。さらに温室効果ガス削減の有望技術であるCCS(Carbon dioxide Capture and Storageの略。CO2を回収し、地中に貯留する技術)に関しても、コストの過半を占めるといわれるCO2の分離・回収コストを抑えるという観点から「膜分離法」が期待されており、今回開発されたCO2選択透過膜はその実用化にも大きく貢献できるものと考えているという。

 3社は、新会社設立後、さまざまな用途に適した膜の技術開発をはじめ、量産体制や事業モデルの確立などの検討を進めるとともに実証試験を行うなど、1年以内を目途に本格的な事業化を目指していく。

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