IHI、送電端最大出力20kWの小型バイナリー発電装置を開発

2012年9月19日 18:24

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小型バイナリー発電装置「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」プロトタイプ外観(画像:IHI)

小型バイナリー発電装置「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」プロトタイプ外観(画像:IHI)[写真拡大]

 IHIは、発電した電力を商用電源に接続可能な系統連系機能を有する送電端最大出力20kWのパッケージタイプ小型バイナリー発電装置を開発してきたが、今回70℃~90℃程度の温水から所定通りの発電が行えることを確認し、商品化への目途が立ったと、19日発表した。

 バイナリー発電装置は、100℃未満の工場排水や地熱などで沸点の低い媒体を蒸発させてタービン発電機を作動させるもの。これまで未利用であったエネルギーを活用し、低位熱からのエネルギー回収および有効利用による“省エネ”、または再生可能エネルギーから発電することによる“創エネ”への適用が期待されている。

 IHIが今回開発した小型バイナリー発電装置「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」は、従来のバイナリー発電装置にはない20kWという小型タイプで、発電に必要な温水量が少ないためにこれまで熱エネルギーの回収が難しいとされてきた工場などで分散して排出されている100℃未満の温水を、集約せずに少量のまま発電に利用することを可能にした画期的な装置。

 まとまった温水が排出される工場では、同装置を複数台設置し、温水を各装置に分散させて発電することも可能で、メンテナンス時には一台ずつ停止して他の装置で発電することにより、発電装置の稼働ロスを最低限に抑えることができ、効率の良い運用を可能とする。また、商用電源に接続可能な系統連系機能を標準装備することで、発電した電力の品質を上げ、工場の一部で使用するだけでなく電力の用途を広げるとともに、将来、制度が整備された場合においては、余剰電力の売電にも対応可能な仕様になっている。

 バイナリー発電には必須となる同装置の心臓部であるタービン発電機には、IHIの自動車用・舶用ターボチャージャや産業用コンプレッサ事業を通じて培ったターボ機械技術と、増速機等を使用せず直接動力を伝達するダイレクトドライブ技術を融合し、高効率化の実現による発電性能の向上を図っている。

 今後IHIでは、送電端最大出力20kWのバイナリー発電装置として、様々な業種の工場などに向けて2013年度からの販売開始を目指すとともに、更なるラインナップの拡充を図り、顧客の様々な省エネ・発電のニーズに対応していく。

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