世界最先端の蓄電池専用解析施設が茨城に完成、NEDOなど

2012年9月5日 12:48

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SPICA 中性子回折装置(写真:NEDO)

SPICA 中性子回折装置(写真:NEDO)[写真拡大]

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などは4日、NEDOの革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING事業)の一環として、NEDOと大学共用利用法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)がKEKの大強度陽子加速器施設「J-PARC(茨城県東海村)」に建設を進めてきた世界最先端の蓄電池専用解析施設「RISING中性子ビームライン(SPICA)」が完成し、9月4日に現地で完成披露式典を行ったと発表した。

 SPICAは、実動作状態にある蓄電池に中性子を照射しながら、構成材料の原子配列をリアルタイムで観察することができる世界唯一の蓄電池専用設備。SPICAは、リチウムイオン電池の一層の性能向上や、リチウムイオン電池に代わる「革新型蓄電池」の開発に不可欠な電池内部の反応メカニズムを科学的に分析することができる。

 NEDOは今年4月、大型放射光施設「Spring-8(兵庫県佐用町)」に「RISING放射光ビームライン(BL28XU)」を設置したが、BL28XUでは主に重い元素の挙動を、SPICAでは主に軽い元素の挙動を観察する。特徴の異なる2つの蓄電池専用ビームラインをフル活用することで、エネルギー密度など蓄電池の飛躍的な性能向上につながる多くの知見を獲得し、革新型蓄電池の開発を加速させていく。

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