【話題】推定時価総額6800億円のJAL再上場で身構える市場

2012年8月27日 14:04

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■投資資金乏しくANA、スカイマーク、JR各社に換金売りも

  上場時の時価総額は6800億円規模が想定されているが、株式市場の現状を考えれば、大型上場による市場活性化よりも、需給面での悪影響を懸念する見方も多いようだ。

  日本航空(JAL)が9月19日に東証1部市場へ再上場する。企業再生支援機構が保有する1億7500万株(発行済株式総数の96.5%)全てを売却する予定で、売出価格は9月10日に決定(ブックビルディング期間は8月31日~9月7日、申込期間は9月11日~14日)する。

  企業再生支援機構は出資額の3500億円を上回る資金回収することになる模様で、公的支援も終了する。公的支援を受けて再生した企業に関して公正な競争条件を疑問視する議論もあるが、JALの再上場は2010年1月19日の会社更生法適用申請から2年8カ月でのスピード復帰となる。

  日本航空の植木義晴社長は、東京証券取引所から株式再上場を承認された8月3日に「業績向上に努め、継続的な配当の実施により、積極的な株式還元を実施する」と述べた。連結配当性向を15%程度の方針として、株主優待制度も発表した。

  また13年3月期連結業績の見通しは、売上高が前期比1.3%増の1兆2200億円、営業利益が同26.8%減の1500億円、経常利益が同29.2%減の1400億円、純利益が同30.3%減の1300億円、EPS(1株当たり純利益)が716円84銭としており、1株当たり年間配当金は108円程度になりそうだ。

  上場時の時価総額は6800億円規模が想定されているが、株式市場の現状を考えれば、大型上場による市場活性化よりも、需給面での悪影響を懸念する見方も多いようだ。セクター内で銘柄比率を調整する動きに加えて、JALを購入するために他の銘柄に対して換金売りも出やすく、事業が直接競合するANA <9202> やスカイマーク <9204> 、さらにJR東日本 <9020> 、JR西日本 <9021> 、JR東海 <9022> などが換金売りの対象となりやすいだろう。

  こうした換金売りが警戒されて、株式市場全体への悪影響も懸念される。もちろんJAL自身も、LCC(格安航空会社)の台頭や競争激化などで、事業環境が厳しいことに変わりはない。再上場でどの程度人気化するかも注目点だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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