世界の主要経済指標(分析と市場の反応)7月9日分

2012年7月10日 13:27

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【7月9日の主要経済指標と市場の反応】

■9日の世界の主要株式市場は世界景気に対する警戒感で概ね下落、外国為替市場はユーロ売り一服」

  9日の世界の主要株式市場は概ね下落した。日本とアジアでは前週末6日の米株安の流れを引き継ぎ、景気減速に対する警戒感を強めた。欧州と米国でも景気減速に対する警戒感を強め、スペイン10年債利回りが7%台に上昇したことも弱材料視された。外国為替市場はユーロ圏財務相会議待ちでユーロ売りが一服した。

≪9日 日本≫

  5月機械受注統計で、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は前月比14.8%減少の6719億円となり2カ月ぶりに減少した。化学工業や小売業などからの受注が大幅に減少した。4月の同5.7%増加に比べて悪化し、市場予想を大幅に下回った。比較可能な05年4月以降で最大の下落率だったが、4月に大型案件が集中した反動として内閣府は基調判断を据え置いた。

  5月国際収支(速報)で、経常収支は2151億円の黒字となったが、前年同月比62.6%減少した。このうち貿易収支は8482億円の赤字(輸出は前年同月比11.3%増加の5兆542億円、輸入は同11.1%増加の5兆9025億円)、サービス収支は928億円の赤字、所得収支は1兆2737億円の黒字、経常移転収支は1176億円の赤字だった。貿易収支の赤字額は4月(4639億円の赤字)に比べて拡大し、市場予想に比べても赤字幅がやや上回った。所得収支の黒字額は前年同月比で11.7%減少したが、財務省では一時的要因による変動としている。

  6月貸出・資金回収動向速報によると、全国の銀行貸出平均残高は前年同月比0.8%増加した。伸び率は5月に比べて0.4ポイント拡大した。

  6月景気ウォッチャー調査で景気の現状判断DIは43.8となった。5月に比べて3.4ポイント低下した。3カ月連続の低下だった。企業動向関連、雇用関連、家計動向関連の全てが低下した。天候不順の影響に加えて、節電商品の販売一巡も影響している模様だ。先行き判断DIは45.7で5月に比べて2.4ポイント低下し、2カ月連続の低下となった。内閣府は景気判断を「景気はこれまで緩やかに持ち直してきたが、このところ弱い動きが見られる」に下方修正した。

  日本株式市場は下落した。前週末6日の米国株式市場下落の流れを引き継いだうえに、5月機械受注統計、5月経常収支、6月景気ウォッチャー調査、中国6月CPI、中国6月PPIと低調な経済指標が相次ぎ、景気に対する不透明感を強めた。外国為替市場ではユーロ売りの動きが朝方で一巡し、その後はユーロ買い戻しの動きも見られた。

≪9日 アジア・オセアニア≫

  中国6月CPI(消費者物価指数)は前年同月比2.2%上昇となった。5月の同3.0%上昇に比べて鈍化し、市場予想も下回った。伸び率が3%を下回るのは2年ぶりだった。食品が同3.8%上昇となり、5月の同6.4%上昇に比べて大幅に鈍化した。豚肉が大幅に下落した。食品以外は同1.4%上昇だった。

  また中国6月PPI(生産者物価指数)は前年同月比2.1%低下で、4カ月連続の低下となった。5月の同1.4%低下に比べて低下幅が市場予想以上に拡大した。CPIとPPIが低下したことで、追加金融緩和の余地を残したとの見方がある一方で、中国の景気減速が鮮明になったとして警戒感を強める動きが優勢だった。

  なお中国の温家宝首相は7日、住宅価格の上昇を抑制するため、不動産市場の引き締め策を継続する方針をあらためて表明し、8日には「景気支援に向け経済政策の微調整が必要」との考えを示している。

  アジアの主要株式市場は概ね下落した。上海と香港は中国6月CPI、中国6月PPIの下振れを嫌気して大幅下落した。上海総合株価指数の下落率は2%を超えた。

≪9日 ユーロ圏≫

  ドイツ5月貿易統計で貿易収支は150億ユーロの黒字となった。4月改定値(162億ユーロの黒字)に比べて黒字幅が縮小し、市場予想を下回った。5月の輸出は前月比3.9%増加の93.5億ユーロ、輸入は前月比6.3%増加の78.5億ユーロとなり、輸入の伸び率が輸出を上回った。

  ロイターは複数のEU外交筋の話として「10日のEU財務相理事会で、スペインによる新たな緊縮財政措置の発表を受けて、スペインの財政赤字目標の達成期限の1年延長を承認する見通し」と伝えた。

  欧州の主要株式市場は概ね下落した。スペインの10年債利回りが7%台に上昇したことで警戒感が広がった。外国為替市場では一時的にユーロ売りの動きも見られたが、概ね小動きだった。

≪9日 米国≫

  米5月消費者信用残高は前月比171億ドルの増加となった。4月改定値の同100億ドル増加(同65億ドル増加から上方修正)に比べて、市場予想以上に大幅増加した。クレジットカードなどを含むリボ払いの信用残高が同80億ドル増加となり、07年11月以来の高い伸びとなった。

  米国株式市場は下落した。世界的な景気減速に対する警戒感に加えて、スペイン10年債利回りが7%台に上昇したことも弱材料視された。しかし下げ渋る場面もあり、結局は小幅な下落にとどまった。外国為替市場ではユーロ買い戻しがやや優勢となった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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