【外国為替市場を検証:ドル・円相場】週末はEU首脳会議の合意内容受けてリスク回避姿勢後退

2012年6月30日 17:40

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フラッシュ:6月25日~29日のドル・円相場】

■1ドル=79円10銭近辺~80円60銭近辺で推移、リスク回避の円買い優勢だったが週末は後退

  6月25日~29日のドル・円相場については、概ね1ドル=79円10銭近辺~80円60銭近辺のレンジで推移した。週末29日の海外市場で終盤は1ドル=79円80銭近辺だった。

  今週はスペインやイタリアの10年債利回り上昇、28日~29日のEU首脳会議への期待感後退などで、リスク回避のユーロ売り優勢の流れとなった。この流れが波及して25日~28日のドル・円相場は、前週末の1ドル=80円台半ばに比べて、概ねドル安・円高水準で推移した。

  しかし、日本時間29日昼に伝わったEU首脳会議の合意内容がポジティブサプライズとなり、ユーロが急速に買い戻された。この流れが波及して29日午後以降はドル買い・円売りがやや優勢になった。

  ドル・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末22日の海外市場では概ね1ドル=80円20銭台~50銭台で推移した。米追加緩和期待後退と日銀追加緩和観測でドル買い・円売りが優勢だった。終盤は1ドル=80円40銭近辺だった。

  この流れを受けて週初25日の東京市場では概ね1ドル=80円00銭台~60銭台で推移した。ドル買い戻しが朝方で一巡した後は、ユーロ売りの流れが波及してドル売り・円買いが優勢になった。終盤は1ドル=80円00銭台だった。25日の海外市場では1ドル=79円40銭台に円が上昇した。リスク回避のユーロ売りの流れが波及した。終盤は1ドル=79円60銭~70銭近辺だった。

  26日の東京市場では概ね1ドル=79円40銭台~70銭台で推移した。消費税法案可決に対する反応は限定的で、リスク回避のドル売り・円買いが優勢だった。終盤は1ドル=79円50銭近辺だった。26日の海外市場では概ね1ドル=79円20銭台~50銭台で推移した。ユーロ売りの流れでリスク回避のドル売り・円買いが先行したが、その後は様子見ムードが強く小動きだった。終盤は1ドル=79円50銭近辺だった。

  27日の東京市場では概ね1ドル=79円30銭台~60銭台で推移した。手掛かり材料難で小動きだったが、終盤にかけてポジション調整などでドル買い・円売りが優勢になった。終盤は1ドル=79円60銭台だった。27日の海外市場では概ね1ドル=79円50銭台~80銭台で推移した。小動きだったが、堅調な米主要経済指標を受けてドル買い・円売りがやや優勢だった。終盤は1ドル=79円70銭近辺だった。

  28日の東京市場では概ね1ドル=79円30銭台~70銭台で推移した。概ね小動きで終盤は1ドル=79円40銭台だった。28日の海外市場では概ね1ドル=79円20銭近辺~50銭近辺で推移した。序盤にスペイン10年債利回りが7%台に上昇したため、リスク回避のドル売り・円買いが優勢になったが、その後はEU首脳会議を控えて様子見ムードも強くモミ合う展開だった。終盤は1ドル=79円40銭~50銭近辺だった。

  29日の東京市場では概ね1ドル=79円10銭近辺~70銭近辺で推移した。序盤はドル売り・円買いが優勢だったが、EU首脳会議の合意内容が伝わった直後にユーロが急騰した流れで、ドル・円相場も徐々にドル買い・円売りが優勢になった。終盤は1ドル=79円60銭近辺だった。29日の海外市場では概ね1ドル=79円30銭台~90銭台で推移した。ユーロ買い戻し一巡に合わせてドル売り・円買い優勢の場面もあったが、その後は再びユーロ買い戻しが優勢になった流れでドル買い・円売りが優勢になった。米長期金利上昇もドル買い・円売りにつながった。終盤は1ドル=79円80銭近辺だった。

  ドル・円相場に関しては、大勢として米追加緩和期待のドル売り・円買い、ギリシャ問題やスペイン問題に対する警戒感でのユーロ売り・ドル買い、そしてドル買い・円売り市場介入への警戒感が交錯する状況に大きな変化はないだろう。

  今週は、スペインの10年債利回り上昇やEU首脳会議への期待感後退などで、リスク回避のユーロ売り優勢の流れだった。ドル・円相場も25日~28日は、前週末の1ドル=80円台半ばに比べて概ねドル安・円高水準で推移した。

  しかし、日本時間29日昼に伝わったEU首脳会議の合意内容がポジティブサプライズとなり、29日午後以降はリスク回避の動きが後退してユーロが急速に買い戻された。この流れが波及してドル買い・円売りがやや優勢になった。

  当面は、主要国・地域の金融政策に対する思惑や期待感が焦点となり、来週は5日のECB理事会、6日の米6月雇用統計と続くため、常識的に考えれば週前半は様子見ムードを強めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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