【外国為替市場を検証:ユーロ・円相場】週末はEU首脳会議の合意内容受けてユーロ買い戻し優勢

2012年6月30日 17:39

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フラッシュ:6月25日~29日のユーロ・円相場】

■概ね1ユーロ=98円50銭近辺~101円40銭近辺で推移、リスク回避のユーロ売り優勢も週末は買い戻し優勢

  6月25日~29日のユーロ・円相場は、概ね1ユーロ=98円50銭近辺~101円40銭近辺のレンジで推移した。週末29日の海外市場で、終盤は1ユーロ=101円00銭近辺だった。

  今週はスペインやイタリアの10年債利回り上昇、28日~29日のEU首脳会議への期待感後退などで、リスク回避のユーロ売り優勢の流れとなった。このため25日~28日のユーロ・円相場は、前週末の1ユーロ=101円近辺に比べて、概ねユーロ安・円高水準で推移した。

  しかし、日本時間29日昼に伝わったEU首脳会議の合意内容がポジティブサプライズとなり、29日午後以降はリスク回避姿勢が後退してユーロが、対ドル、対円ともに急速に買い戻された。

  ユーロ・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末22日の海外市場では1ユーロ=100円50銭台~101円20銭台で推移した。スペイン10年債利回りの低下や独仏伊スペイン4カ国首脳会談の結果などを受けて、ユーロ買い・円売りが優勢だった。終盤は1ユーロ=101円10銭近辺だった。

  この流れを受けて週初25日の東京市場では概ね1ユーロ=99円90銭台~101円00銭台で推移した。ユーロ買い戻しが朝方で一巡した後はユーロ売り・円買いが優勢になった。欧州の時間帯にはスペイン10年債利回り上昇でユーロ売りが加速した。終盤は1ユーロ=100円00銭台だった。25日の海外市場では1ユーロ=99円10銭台に円が上昇する場面があった。スペインとキプロスの金融支援発表、スペインとイタリアの10年債利回り上昇、ギリシャ財務相の辞任、ムーディーズ・インベスターズによるスペイン銀行格付け引き下げ観測などで、リスク回避のユーロ売り・円買いが加速した。その後はユーロがやや買い戻され、終盤は1ユーロ=99円60銭近辺だった。

  26日の東京市場では概ね1ユーロ=99円30銭近辺~80銭近辺で推移した。消費税法案可決に対する反応は限定的で、リスク回避のユーロ売り・円買いが優勢だった。終盤は1ユーロ=99円50銭近辺だった。26日の海外市場では概ね1ユーロ=98円70銭台に円が上昇する場面があった。スペイン短期債入札で落札利回りが前回の約3倍に急上昇したことで警戒感を強め、メルケル独首相のユーロ共同債に関する否定的な発言もユーロ売りにつながった。ただしユーロ売り一巡後はモミ合う展開となり、終盤は1ユーロ=99円30銭~40銭近辺だった。

  27日の東京市場では概ね1ユーロ=99円00銭近辺~60銭近辺で推移した。EU首脳会議に対する期待感後退でユーロ売り優勢の場面もあったが、概ね小動きだった。終盤はユーロ買い戻しがやや優勢になり1ユーロ=99円50銭台だった。27日の海外市場では概ね1ユーロ=99円20銭台~60銭台で推移した。スペイン10年債利回り上昇でユーロ売り優勢の場面もあったが、EU首脳会議を控えて概ね小動きだった。終盤は1ユーロ=99円40銭~50銭近辺だった。

  28日の東京市場では概ね1ユーロ=99円10銭近辺~60銭近辺で推移した。午前はユーロ売り・円買い優勢、午後はユーロ買い戻し優勢だった。しかし終盤はスペイン10年債利回りが7%台に上昇したため、1ユーロ=98円90銭台にユーロが急落した。28日の海外市場では概ね1ユーロ=98円50銭台~98円90銭台で推移した。スペイン10年債利回り上昇で序盤にリスク回避のユーロ売り・円買いが優勢になったが、その後はモミ合う展開となった。終盤は1ユーロ=98円80銭~90銭近辺だった。

  29日の東京市場では1ユーロ=100円40銭近辺に円が下落する場面があった。午前は1ユーロ=98円台後半でモミ合う展開だったが、EU首脳会議での合意内容が伝わった直後に、1ユーロ=100円20銭近辺にユーロが急騰した。その後一旦は1ユーロ=99円台後半でモミ合う場面もあったが、終盤にかけて再びユーロ買い戻しが優勢になった。終盤は1ユーロ=100円00銭台だった。29日の海外市場では1ユーロ=101円40銭近辺に円が下落する場面があった。ユーロ買い戻しが一巡してモミ合う場面もあったが、その後は再びユーロ買い戻し優勢の流れとなった。終盤は1ユーロ=101円00銭近辺だった。

  ユーロ・円相場に関しては、ギリシャ問題やスペイン問題などに対する警戒感が強い状況に大きな変化はなく、今週はスペインやイタリアの10年債利回り上昇、EU首脳会議への期待感後退などでリスク回避のユーロ売り優勢の流れとなった。このため25日~28日のユーロ・円相場は、前週末の1ユーロ=101円近辺に比べて概ねユーロ安・円高水準で推移した。

  しかし、日本時間29日昼に伝わったEU首脳会議の合意内容がポジティブサプライズとなり、29日午後以降はリスク回避姿勢が後退してユーロが、対ドル、対円ともに急速に買い戻された。

  一旦は安心感が広がった形だが、引き続き主要国・地域の金融政策に対する思惑や期待感が焦点となり、来週は5日のECB理事会、6日の米6月雇用統計と続くため、常識的に考えれば、ユーロ買い戻し一巡後の週前半は様子見ムードを強めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
アンティーク・ブックから連想して、印刷関連株=田北知見の銘柄ウオッチ(2012/06/30)
【注目のリリース】日産自動車と三菱ふそうトラック・バスが相互提携(2012/06/30)
【特集:クールビズ関連銘柄(1)】盛り上がるクールビズ関連商戦(2012/06/03)
【建設機械関連株展望(1)】欧州・中国停滞、北米と国内好調、国内リースも繁忙(2012/06/10)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事