新しい「所定の」勤務時間

2012年6月8日 23:02

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 アメリカではたくさんの企業が新たに無給休暇を設定したり勤務時間の短縮を行ったりしましたが、その後、従業員の多くは見込まれる労働時間について下記のような疑問をもつようになりました。

・週60時間以上働いていたのが週4日勤務に短縮されたら、1週間の作業状態はどのようになるのか。
・もし同僚が2週間休暇を取ることに同意したら、自分の労働時間は長くなるのか。

 今、人員整理が既に行われた会社やこれから行われるかもしれない企業において、解雇されていない従業員の労働時間はどんどん長くなっています。将来は誰もがこの人たちのように今より長く働くことになるのでしょうか。

 上記の例からもわかるように、現在は将来の見通しが利かない時代です。その結果、足りない家計を補うためにもうひとつ仕事を掛け持ちすることも一般的になってきました。起業家を目指す若者たちは将来選択肢がもてるように副業として自分のビジネスを始めています。しかし、ふたつの仕事に従事しているとしたら、どうやって両方のための時間を見つけているのでしょうか。

 雑誌 “International Living” では、生活の質が良い国としてオーストラリアが世界で2位になっています。かの国では、一週間の標準的な労働時間が37.5時間で、企業は社員に職場法(workplace laws)や健康基準を満たすよう徹底した法令遵守を求めています。

 とはいえ、オーストラリアが最高のお手本だと言っているわけではありません。筆者の兄弟が長期間オーストラリアに住んで仕事をしている経験から、それにも限界があることがわかっています。その限界とは、「成功を収めた人をねたむこと(The Tall Poppy Syndrome)」だと彼は言います。 結果、頭角を現した人物は精神的に追い詰められたり孤立したりしてしまうのです。つまり、人はほどほどであることが求められているということでしょう。このことは余分に働いてさらに成功を収めようという気になっている人たちのやる気をそぐことになります。

 一方でアメリカ企業は、展望をもち目標を達成するために一生懸命働く意欲のある人たちのおかげで成長して成功しています。しかし、これまでアメリカは労働時間が長く、余暇時間が短くなる方向へと傾いてきていて、今ではワーク・ライフ・バランスが問題となっているように思われます。このバランス問題に関連するタイムマネジメントの統計データはこちら(time management statistics)でご覧ください。

 これまでお伝えしてきた状況に心当たりがあるでしょうか。もしそうなら、今年の年末にはどうありたいと思いますか?

※この記事はKey Organization Systems提供の記事を財経新聞が日本向けに翻訳・編集したものです。

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