【株式市場を検証】先物主導で売りが加速し想定以上の下落幅

2012年6月8日 17:52

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【日経平均株価、TOPIXともに大幅反落】

■東証1部市場の売買代金は7営業日連続で1兆円を上回る

  8日は大幅下落した。日経平均株価は前日比180円46銭(2.09%)安の8459円26銭、TOPIXは前日比13.01ポイント(1.78%)安の717.74となり、いずれも4営業日ぶりに大幅反落した。寄り付きは小幅安だったが、株価指数先物取引が主導する形で売りが加速し、想定以上の下落幅となった。

  日経平均株価の日中値幅は184円73銭だった。東証1部市場の売買代金は概算で1兆6229億円となり、SQ(特別清算指数)算出日のため前日の1兆496億円に比べて増加し7営業日連続で1兆円を上回った。

  前日7日の米国株式市場は高安まちまちだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比46ドル17セント(0.37%)高の1万2460ドル96セントと3営業日続伸した。スペイン中長期債入札が順調だったこと、中国が政策金利引き下げを発表したこと、米新規失業保険申請件数が改善したことなどを好感した。ただし、バーナンキ米FRB議長の議会証言でやや失望感が広がり、フィッチ・レーティングスによるスペイン国債格付け引き下げもあって、急速に伸び悩んだ。S&P500株価指数は前日比0.01%安と4営業日ぶりに小幅反落、ナスダック総合株価指数は前日比0.48%安と4営業日ぶりに反落した。

  この流れを受けて日経平均株価は前日比29円94銭安と小幅に売り優勢でスタートした。外資系証券9社経由の寄り付き前の注文状況は差し引き10万株の売り越し観測だった。

  寄り付き後の日経平均株価は急速に下落幅を広げる展開となった。週末要因や前日までの急ピッチの戻りに対する反動に加えて、株価指数先物取引での仕掛け的な動きもありリスク回避の動きが加速した。

  午後に入ると、寄り付き直後に日経平均株価は下落幅をやや縮小する場面もあったが、概ねこの日の安値圏で軟調な展開が続いた。取引終了直前には、この日の安値となる前日比212円52銭安の8427円20銭まで下落する場面もあった。日経平均株価、TOPIXともにこの日の安値圏で取引を終了した。なお6月限日経平均先物・オプションSQ確定値は8613円40銭だった。

  東証1部市場の騰落銘柄数は値上がり銘柄327(全体の20%)、値下がり銘柄1269(全体の76%)だった。全面安の展開の中で、セクター別には鉱業、繊維、パルプ・紙、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、電機、精密、その他製品、証券、保険、不動産、海運、倉庫・運輸などが大幅に下落した。

  東証1部市場の売買代金上位の個別銘柄で見ると、上位30銘柄のうち上昇したのは16位のKDDI <9433> 、26位のグリー <3632> 、28位のエーザイ <4523> の3銘柄にとどまった。

  一方で1位のファーストリテイリング <9983> 、10位のソニー <6758> 、13位の東京エレクトロン <8035> 、19位のシャープ <6753> が大幅下落した。

  また2位のキヤノン <7751> 、3位のファナック <6954> 、4位のトヨタ自動車 <7203> 、5位のソフトバンク <9984> 、6位のホンダ <7267> 、7位の三菱UFJFG <8306> 、8位の三井住友FG <8316> 、9位のコマツ <6301> 、11位の京セラ <6971> 、12位の日産自動車 <7201> 、14位のみずほFG <8411> 、15位のセブン&アイホールディングス <3382> 、17位の日立製作所 <6501> 、18位の信越化学 <4063> 、20位の三井物産 <8031> が下落した。

  寄り付きは小幅安だったが売りが加速し、大方の予想を裏切る大幅安で取引を終了した。前日までの戻りが急ピッチであり、今日は週末要因で売り優勢という展開は想定内だったが、下落幅は想定以上だったと言えるだろう。

  前日の米国株式市場が伸び悩んだうえに、ストライキでギリシャ再選挙延期の可能性が伝えられ、警戒感が強まったところに、株価指数先物取引での売りが不安心理を増幅させた形だろう。明日(9日)発表される中国の主要経済指標に対する警戒感も売りにつながったようだ。

  基本的には、ギリシャ問題やスペイン問題でのネガティブ材料に身構える状況に変化はないだけに、来週末の6月17日(予定)のギリシャ再選挙まで様子見ムードを強める可能性が高いだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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