三菱重工、中国の太平洋造船グループに技術供与 協業契約を締結

2012年3月12日 19:14

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契約調印式(写真:三菱重工業)

契約調印式(写真:三菱重工業)[写真拡大]

  • 太平洋造船グループ傘下の楊州大洋造船(写真:三菱重工業)

 三菱重工業は12日、中国の太平洋造船グループに対して商船建造分野の技術支援を行うことで合意し、本日協業契約を締結したと発表した。先進企業からの技術導入により造船事業の強化を目指す太平洋造船グループと、技術供与を柱とするエンジニアリング事業展開を進めている三菱重工の思いが一致したもの。協業第一弾として、載貨重量トン数8万2,000トン級のばら積み運搬船の共同開発に取り組む。

 今回の協業は、太平洋造船グループが開発する新しい船型について、その船型開発を含む概念設計を三菱重工が提供することが柱で、契約期間5年、以降の延長も可能とした。

 共同開発するばら積み船は、太平洋造船グループのばら積み船ブランド「CROWN」シリーズの上位船型として、国際水準を上回る輸送効率、対環境性、操作・制御性などを追求するもの。三菱重工は保有する関連技術を提供することで最適設計をサポートする。建造は同グループの揚州大洋造船有限公司で行う。開発完了は2013年の予定。

 太平洋造船グループは上海市に本社を置き、揚州市と寧波市および香港を合わせた4地区に造船、補助装置製造、設計、販売などを担当する8社を傘下企業として抱えている。ばら積み船、オフショア支援船、コンテナ船や小型ガス輸送船などが得意船種で、国際競争力の向上に向け、先進技術を持つ海外造船会社と幅広い協業関係の構築を希望していた。

 三菱重工は、船舶・海洋事業における成長戦略の一つとしてエンジニアリング事業を進めており、昨年の大島造船所(長崎県西海市)およびインドL&Tシップビルディング社との契約に次いで、今回が3件目の技術支援となる。これらを足掛かりに造船所へのエンジニアリング事業を積極化し、新しいビジネスチャンスを開拓していく方針。

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