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最長連騰記録が途切れた東証2部株を「拾って行く」周回遅れ投資に一考余地=浅妻昭治
専門用語で「拾って行く」というらしい。マラソンのテレビ中継で、解説者がそうコメントしていたからまず間違いないはずだ。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
専門用語で「拾って行く」というらしい。マラソンのテレビ中継で、解説者がそうコメントしていたからまず間違いないはずだ。外国人招待選手を中心の牽制のスパートに付いていけずにトップ集団から置いていかれた第2位集団の選手が、30キロメートル以降に追い上げて、トップ集団から落ちこぼれてきた選手を次々に追い抜きレース上位に食い込むレース展開のことである。
もちろんこの追い上げ選手は、トップでテープを切る優勝者には届かないが、それでも日本人選手トップとなって、ロンドン五輪の日本代表候補にノミネートされる目出度い結果となるレース展開は、何回もテレビ画面で目にした。その代表選手が、きょう12日に決定される予定になっているという。
何だか現在の株式相場の縮図のようなレース展開である。ハイピッチでスパートしているのは、10週連続で買い越した外国人投資家で、はるか先、日経平均株価の1万円台まで抜け出していて、そこまで強気になり切れず、戻り売りペースから抜け出せない日本人投資家は、第2位集団を形成して出遅れ株中心にマイペースの投資スタイルを終始する相場展開である。
物色銘柄も、トップ集団が、主力輸出株を核に果敢にリスクオンするのに対して、東日本大震災の復旧・復興関連銘柄や東証2部銘柄などの内需株中心で、それでも東証2部総合株価指数は、30日続伸と最長連騰記録を更新するなどのパフォーマンスで、ロンドン五輪の代表候補となった選手に負けず劣らずの結果となった。
このように、株式相場とマラソンのレース展開をトレースすると、何らかの示唆が読み取れそうだ。まず日経平均株価は1万円台にタッチしたが、レース(相場)はまだ序盤である。焦ってトップ集団に追い付こうと、第2位集団から無理にピッチを上げても、スタミナを消耗して酸素(投資資金)欠乏症になるるだけで、途中棄権(市場撤退)に追い込まれないとも限らない。ここはじっくり第2位集団のなかでエネルギーを温存しつつ、30キロメートル以降の勝負所に備える用心深さが求められるといった具合である。
トラック種目の中・長距離レースでも、周回遅れの選手が、背後から迫ってくるトップ集団に対して、トラックの内側のコースを譲って先頭争いをサポート、スポーツマン精神溢れる美談として語り継がれているが、同様に周回遅れを甘んじて第2位集団を形成し、いずれレース終盤で専門用語でいう「拾って行く」相場展開を心掛けるべきなのかもしれない。
この「周回遅れ」の投資スタイルは、株式投資では結構、先頭集団に遜色のないパフォーマンスをあげているものである。テクニカル分析の「エリオットの波動理論」でも「三段高下論」でも、相場は、上昇波動と調整波動を何回も繰り返して1サイクルを形成していると教えている。一段上げに乗り遅れても、その調整場面に冷静に対応すれは、第2段上げ、第3段上げに上手にフィットすることが可能となる。問題は、この調整場面での投資ターゲットで、何に絞る込むかで、自とパフォーマンスにも差が出る。
そこで再度、東証2部株に絞って「拾って行く」投資スタイルにトライしてみたい。東証2部株は、かつては東証1部市場と新興市場に挟まれて「中2階の銘柄」として地味な相場展開を余儀なくされてきたが、東証2部総合株価指数の史上最長連騰記録更新で、パフォーマンスも売買高の厚みも急速に好転した。同指数自体も、最長連騰記録を更新したあと、約1週間、スピード調整をしたが、前週末に2日続伸し、終値ベースでは、連騰30営業日目の2月27日の終値を上回ってきた。今度は、牽制のスパートにしっかり追随して成果が期待できそうである。順張りでいくか、逆張り対応かは難しいが、個人投資家主導の市場パターンからは、ここは順張り対応で妙味が期待できそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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