世界最高の低消費電力・広帯域ミリ波無線用LSIをソニーと東工大が開発

2012年2月24日 11:00

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 東京工業大学とソニーが、世界最高速6.3Gb/sのミリ波無線データ伝送を実現する高周波(RF)LSIおよびベースバンド(BB)LSIを共同開発したと発表した。この技術が実用化できると、ケーブルにつなぐことなく、モバイル機器間で高速にデータを送受信したり、高画質な映像を非圧縮で送りながら見たりする事が可能になるという。

 近年、無線通信の高速化に伴い、周波数の需要が増大しており、特に、6GHz以下の周波数が、ひっ迫している状況にある。また、テレビ、モバイル機器、インターネット上の画像共有サイトなどで扱う音声・写真・動画の音質・画質の向上によって、機器間でやりとりするデータ量が加速的に増えており、これら膨大なデータを機器間で高速、簡単に交換する技術の必要性が益々高まっている。今回の開発は、こうした環境の変化に対応したもの。

 無線ベースバンドシステムでデータ伝送速度を上げようとすると、信号品質の劣化が起こる。これを防ぐために、本来のデータの他に様々なデータ等が付加されているのだが、データの伝送量が増えるため、ユーザ側から見た伝送速度があまり上がらず、消費電力が増えてしまいやすい。さらに、速度を上げようとこの付加されたデータ等を単純に削減すると、システムに必要な信頼度を確保する事が難しいという問題があった。今回の開発ではソニー独自の技術でこの問題を解決、付加するデータ等を極度まで削減してもエラーが検出されないという。さらに、東京工業大学の研究グループが、世界で初めて、60GHz帯無線標準規格において規定されている4チャネルすべてにおいて16QAMによる無線データ通信が可能なミリ波ダイレクトコンバージョン無線機を開発。これらを組み合わせることで、世界最高のデータ伝送速度を実現する低消費電力・広帯域ミリ波無線用LSIを実現した。

 モバイル機器搭載を想定した今回の開発の実用化が実現出来れば、スマートフォンやタブレット端末の利用範囲が広がり、普及をさらに加速させるものとなるであろう。これらの普及拡大は、日本の半導体企業を支える重大な要素である。世界の半導体市場で日本企業が存在感を示せるよう、今回の開発が一日も早く実用化されることが期待される。

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事