豊田通商と日本臓器製薬、下水汚泥の資源化事業に参画

2012年2月21日 11:00

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 日本臓器製薬と豊田通商が、山陰地区最大の産業廃棄物処理会社である三光の子会社ウェストバイオマスの第三者割当増資を引き受け、下水汚泥の資源化事業に参画することと発表。炭化設備の設計・施工は日本臓器製薬プラント事業本部が、マーケティングおよび営業サポートは豊田通商が行うとのこと。下水汚泥をバイオマス燃料として資源化・再利用することで、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減と共に、地域経済の発展に貢献することを目指す。

 今回の下水汚泥炭化事業は、民間企業が汚泥炭化処理設備を建設し、鳥取県・島根県を中心に複数の自治体から収集した下水汚泥等を乾燥・炭化させ、製鋼保温材やバイオマス燃料等としてリサイクルする、民間主導型の汚泥炭化事業。下水汚泥の資源化と販売、利用を一体的に捉え、民間企業の有するノウハウを最大限に活用することで、下水汚泥の炭化による固形燃料化を推進する。

 現在、国内で発生する下水汚泥は、脱水汚泥(含水率80%)として年間1000万トン以上。その多くは焼却され、焼却灰として埋立て処分されており、最終処分場の逼迫化や焼却時の温暖化ガスの発生といった問題が生じている。また、鳥取県や島根県では、汚泥焼却炉の老朽化が進んだ小規模の下水処理場が多く、費用負担の大きさから個々の処理場で汚泥焼却炉の改修を行うことが難しく、下水汚泥を遠方まで運搬し処理する状況となっているという。

 鳥取県や島根県に限らず、同様の問題を抱える地域は少なくないだろう。同時に、メタンハイドレードなどの新燃料が注目を集めているとはいえ、日本は依然エネルギー小国とされる。下水汚泥のバイオマス燃料としての資源化・再利用は、この現状を脱却する一翼を担うものとなるかもしれない。国内他地域への展開も目指すという今回の事業は、どのような実績・効果を見せてくれるのか、非常に楽しみである。

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事