関連記事
日銀の白川総裁が語った「もう一つの施政方針演説」
日銀の白川総裁は25日、「金融政策決定会合の結果について」記者会見を行なったが、その中で、記者の質問に答える形で、「税と社会保障の一体改革」や「ユーロ安と日本経済」そして最近の中国、米国経済について次のように語った。[写真拡大]
■「霞ヶ関発・兜町着」直行便
日銀の白川総裁は25日、「金融政策決定会合の結果について」記者会見を行なったが、その中で、記者の質問に答える形で、「税と社会保障の一体改革」や「ユーロ安と日本経済」そして最近の中国、米国経済について次のように語った。
■税と社会保障の一体改革について
素案自体に対する具体的なコメントは差し控えたい。あくまでも一般論として申し上げる。わが国経済が直面する大きな課題は、内外の歴史に例をみない速いペースで少子高齢化が進む中で、持続性のある経済・社会を再構築していくことにある。既に、大幅な財政赤字が続き、一般政府債務残高が極めて高い水準となっていることを踏まえると、財政や社会保障制度の持続性を確保するための取組みを着実に進めていくことが重要だ。将来の財政や社会保障に関する不確実性を取り除くことは、人々がより前向きに消費や投資を行いやすい環境を整えることにもつながり、ひいては経済成長力の強化にも資すると考えている。
■ユーロ安が日本経済に与える影響について
欧州ソブリン問題を背景に、ユーロが円も含めて多くの通貨に対して下落している。欧州向けあるいはユーロ圏向けの貿易ウエイトや取引通貨におけるユーロの比率などからみて、同じ変化率の円高であれば、ドル安・円高に比べて影響は大きくない。その上で、ユーロ安・円高は、対欧州企業での輸出競争力の低下や、収益やマインドへの下押しなどを通じて、日本経済にマイナスの影響を及ぼす可能性があることには、十分注意する必要がある。
■中国の外貨準備が減ってきている。マネーを含めて何が起きているのか
中国に対するリスクを意識して資本流入が減っているために外貨準備が減っているのではないかということだと思うが、私自身はそのようには考えていない。欧州ソブリン問題によって、全体としてリスクを取りにくくなってくる流れの中で、新興国への資本流入が細っていくことがないかは注目点の1つだが、現在、中国でそれが起きているとはみていない。中国の貿易収支をみると、全体として貿易収支の黒字が以前に比べて随分と縮まってきており、月によっては赤字もあったと思う。加えて、中国の場合、国際収支統計上は誤差脱漏という形での短期の資本流入もあるので、詳細な分析はなかなか難しい。
■米国経済の先行きについての見解を
米国経済は、最近、良好な企業収益を背景に設備投資が増加を続けているほか、個人消費についても、自動車販売が増加し、クリスマス商戦が堅調に推移するなど、明るい面もみられる。さらに、雇用環境が緩やかながらも改善していることが後押しして、マインド面をみても、消費者コンフィデンスは昨年夏前の水準を回復するなど、一頃の悲観的な見方は後退しているようだ。
先行きについては、プラス材料として、緩和的な金融環境が、引き続き景気の回復を後押しすることを挙げることができる。さらに、雇用が緩やかながらも増加を続けていること、インフレ率が低下しつつあることも、所得面から経済を下支えするとみられる。一方、マイナス材料としては宅市場の低迷は続いており、家計のバランスシート調整にはなお時間を要する点が気がかりだ。このような状況のもとで、家計の支出スタンスは慎重で、経済の成長ペースは緩やかなものにとどまる可能性があると思う。
米国経済は、リーマンショック後の回復過程で、何回かの楽観と何回かの悲観を繰り返している。その背後にはやはり、バランスシート調整の重石が大きいと基本的には思っている。ただ、このところ米国の株価は大きな流れでみると確実に上昇してきており、その背後には企業収益の改善がある。家計におけるバランスシート調整と、企業の相対的な好調をどのように理解するのかということが、大事な点だと思っている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
【関連記事・情報】
・来週は『材料株オンパレード相場』の展開=犬丸正寛の相場展望(2011/12/09)
・【話題株】「K氏」関連の新日本理化は大台達成の直後に一服する傾向(2011/12/09)
・犬丸正寛の相場格言~データでは説明できない先人の知恵をもとに株式投資で大成功~(2011/08/10)
・株式評論家・犬丸正寛の『時を買え投資法』で着実に稼ぐ、メールマガジン創刊!シンプルに的確に注目銘柄を紹介(2011/06/08)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク