デジャブ相場かジャメブ相場か、決算発表で新オピニオンリーダー株に浮上の目も=浅妻昭治

2012年1月16日 19:08

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

既視感(デジャブ)相場か未視感(ジャメブ)相場か……マーケットは、重要なフシ目に差し掛かってきた。3月期決算会社の第3四半期(4~12月期、3Q)業績の発表が、いよいよ本格化するからである。

既視感(デジャブ)相場か未視感(ジャメブ)相場か……マーケットは、重要なフシ目に差し掛かってきた。3月期決算会社の第3四半期(4~12月期、3Q)業績の発表が、いよいよ本格化するからである。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  既視感(デジャブ)相場か未視感(ジャメブ)相場か……マーケットは、重要なフシ目に差し掛かってきた。3月期決算会社の第3四半期(4~12月期、3Q)業績の発表が、いよいよ本格化するからである。昨年と同様に決算発表でサプライズが起こって、新たなオピニオンリーダー株が登場し、それに続くフォロアー株とともに相場を活性化させ、とこかで見た相場シーンが蘇るのか、それともまったく別の未知との遭遇を迫られ、厳しい銘柄選択を迫られるのか、ポイントの業績動向は予断を許さない。

  株式市場は昨年秋以来、低位株の個別物色で短期急騰株が続出、東証1部売買単価は、昨年春、秋に並ぶ安値水準まで低下した。しかし、この低位株相場に参戦した投資家のなかでは、このまま低位株シフトが永続するとする投資家はむしろ少数派で、多数派は、外部環境が不透明している局面での幕間つなぎと割り切っている。この多数派は当然、決算発表でサプライズが起これば、雪崩を打ってフォロアー株の発掘に邁進することになる。短期筋として節操がないとクレームが強まろうと、低位株から例えばいきなりTOPIXコア(Core)30の景気敏感主力株への宗旨替えすることにも一向に躊躇はしない。まさに「君子、豹変す」である。

  ただ、このところの景気敏感のオピニオンリーダー株は、以前とはやや趣を異にしていることには注意が必要である。かつては、主力株で決算発表日がトップとなる信越化学工業 <4063> が、相場全般の方向付けの役割を担ったが、3Q決算発表の昨年1月、3月本決算の5月、今期第2四半期累計(4~9月期、2%)決算の10月では、この信越化学は、舞台のやや後方に退き、変わってスポットライトを浴びたのは、信越化学とほぼ同時期に決算発表を行った安川電機 <6506> と新神戸電機 <6934> であった。いずれも業績の上方修正を同時に行い高株価の反応となった。

  安川電の場合はさらに極端で、昨年10月は業績を下方修正したものが、悪材料出尽くしとして逆行高を演じたほどで、昨年年末には国内大手証券が投資判断と目標株価をアップさせた。今年も1月21日に決算発表を予定しており、決算動向から目を離せないことになる。   一方、新神戸電機は、同じように決算発表のたびに上方修正を繰り返してきたが、昨年12月から日立化成工業 <4217> が、同社株に株式公開買い付け(TOB、買い付け価格1710円)を行い、TOB成立後に上場廃止となるなどややイレギュラーである。3Q決算発表は、TOB期間終了後の1月25日に予定しており、昨年10月に上方修正した3月期業績がどう変わるのか、修正されないのかこれも注目ポイントとなる。

  1月後半相場が、昨年と同様のデジャブ相場となるか、ジャメブ相場となるかは、もちろん欧州の政府債務危機情勢と、日本に先立って米国でスタートした米主力企業の決算動向が大きく影響するのはいうまでもない。しかし、こうした外部環境を押す返すほどのサプライズ決算があって、昨年と同様のデジャブ相場が展開されるとしたら、昨年1月に業績を上方修正した銘柄をオピニオンリーダー株、フォロアー株の有力候補としてマークしておくのも一考余地が生ずることになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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