富士通、毎秒最大2京3200兆回の計算が可能なスパコンを販売開始

2011年11月7日 13:57

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スーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX10」(画像提供:富士通)

スーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX10」(画像提供:富士通)[写真拡大]

 富士通は7日、最大23.2ペタフロップス(PFLOPS)、つまり毎秒最大23,200兆回(2京3,200兆回)の浮動小数点演算数が実現可能なスーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX10」を、本日よりグローバルに販売を開始すると発表した。

 同製品は、今年6月に世界一の性能を達成したスーパーコンピュータ「京」に適用した同社スパコン技術をさらに向上させ、高性能、高拡張性、高信頼性をあわせもち、かつ省電力性に優れたスーパーコンピュータ。

 プロセッサからミドルウェアまで同社で開発しており、高い信頼性と運用性を備える。また、顧客の要望にあわせて1ラック、2.5TFLOPSから、1,024ラック、23.2PFLOPSまでの超高速、かつ高いスケーラビリティを実現する。

 「本製品を活用することで、新薬の開発や防災、減災などの安心安全社会の実現、新素材の開発やものづくりにおける試作レスの実現など、社会的課題の解決や最先端研究の推進、企業競争力の強化につなげることが可能となる」と同社は説明している。

 「PRIMEHPC FX10」は、最大98,304ノード、1,024ラックの構成により、23.2PFLOPSの理論演算性能と、6PBメモリの超高速、超大規模な計算環境を実現する。

 「京」に使用したプロセッサ「SPARC64 VIIIfx」をベースに、大幅に性能を向上させた「SPARC64 IXfx」を新たに開発し、「PRIMEHPC FX10」に搭載している。1プロセッサに16コアを集積し、電力あたりの性能を追求したプロセッサ「SPARC64 IXfx」の単体性能は、236.5GFLOPS、電力あたり性能は2GFLOPS/Wを超え、世界最高レベルの優れた値を達成している。

 「PRIMEHPC FX10」では、さまざまなHPC向けの拡張を施しており、高いメモリ転送性能や、10本のリンクを備えた、リンクあたり5GB/s2(双方向)の高性能でスケーラブルな「Tofu(トーフ)」インターコネクト、さらに同社独自のHPCミドルウェア「Technical Computing Suite(テクニカル・コンピューティング・スイート)」のコンパイラ、ライブラリなどにより、超並列アプリケーションでの高い実行性能を実現する。また、同社独自技術である「VISIMPACT(ビスインパクト)」により、MPI並列にスレッド並列を組み合わせるハイブリッド並列への移行が自動化でき、スケーラビリティの向上が図れる。

 さらに、メインフレームと同等のRAS機能を搭載したプロセッサや、柔軟性の高い6次元メッシュ/トーラス・アーキテクチャーを採用した「Tofu」インターコネクトなどにより、高い信頼性、可用性を実現している。また、自社開発HPCミドルウェア「Technical Computing Suite」のシステム管理やジョブ運用管理機能、10万ノード規模で共有可能な高性能分散ファイルシステム「FEFS」などにより、大規模システムにおける高い運用性を提供する。

 「PRIMEHPC FX10」は、超大規模スーパーコンピューティングを実現するマルチラックモデルと、設置性を向上させ、導入を容易にしたシングルラックモデルの2モデルを提供する。また、同製品は文部科学省が推進し、理化学研究所と同社が開発を進めているスーパーコンピュータ「京」とのソフトウェア互換性があり、「京」の利用に向けたプログラム開発にも最適な製品となっている。

 販売価格は、約5,000万円(シングルラックモデル)からで、出荷開始時期は2012年1月から(シングルラックモデル)となっている。販売目標は、今後3年間で50システム。

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