日銀の白川総裁、「最近の日本経済の動向について」報告

2011年4月14日 10:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

「東日本大震災」は発生から1ヶ月を迎え、政府の対応は、人命の救援、救出から生活と町の復興の段階に入った。だがそのあり方について、政府の中でどこがどういう形で担っていくのか、復興のビジョンについての議論が十分とはいえない状態が続いている。

「東日本大震災」は発生から1ヶ月を迎え、政府の対応は、人命の救援、救出から生活と町の復興の段階に入った。だがそのあり方について、政府の中でどこがどういう形で担っていくのか、復興のビジョンについての議論が十分とはいえない状態が続いている。[写真拡大]

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■「日本経済は新興国の高い成長率に支えられて、いずれ緩やかに回復していく」と発言

  4月12日、日銀の白川総裁は、参院の財政金融委員会に出席し、「最近の日本経済の動向について」報告した。東日本大震災後の経済金融について金融界のトップがどう見ているか注目されたが、概要は次の通り。

  1.わが国の経済は、震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある。震災後、生産設備の毀損、サプライチェーンにおける障害、電力供給の制約などから、一部の生産活動が大きく低下しており、輸出や国内民間需要にも相応の影響が及んでいる。

  2.金融動向は、関係者の懸命の努力を通じて、わが国の金融・決済機能はしっかりと維持されている。日本銀行金融ネットワークシステムを始め、わが国の主要な決済システムは正常な稼働を維持し、円滑な決済が確保されている。金融市場も、全体として安定している。今回のような大震災の後においては、決済システムや金融市場の安定の意義はきわめて大きい。

  3.金融環境は、総じて緩和の動きが続いているが、震災後、中小企業を中心に、一部企業の資金繰りに厳しさが窺われる。先行きについては、わが国経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続くとみられる。しかし、新興国経済の拡大に支えられた世界経済の高い成長率という、震災前までの日本経済の回復の動きを支えていた基本的な条件は維持されている。このため、その後、供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれて、海外経済の改善を背景に輸出が増加するほか、資本ストックの復元に向けた動きが顕現化することなどから、わが国経済は、緩やかな回復経路に復していくと考える。

  4.今回の災がわが国経済に及ぼす影響については不確実性が大きいことは十分認識しており、注意深く経済の動きを点検していく必要があると考えています。物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、下落幅が縮小を続けており、先行きは、当面、小幅のプラスに転じていくと考えられる。

  5.今後のリスク要因については、まず、景気の上振れ要因としては、旺盛な内需や海外からの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなどがありる。一方、下振れリスクとしては、国際金融市場の動向や、一頃に比べて低下しているとはいえ、米欧経済の先行きを巡る不確実性がある。さらに、国際商品市況の上昇も、リスク要因として注意している。国際商品市況の上昇は、その背景にある新興国・資源国の高成長がわが国の輸出の増加に繋がる一方、交易条件の悪化に伴う実質購買力の低下は、国内民間需要を下押しする面もある。

  6.物価面では、国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可能性があるが、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。

  白川総裁の発言は、いつもバランスが取れているというか、取れ過ぎていて『ソツ』がなさ過ぎる嫌いがあるが、「わが国経済は、生産面を中心に下押し圧力が続くが、新興国経済の拡大に支えられた世界経済の高い成長率という、基本的な条件は維持されているので、わが国経済は、それに支えられて緩やかな回復経路に復していく」との先行き見通しは、『光明』であり、心強いメッセージではある。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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