野田財務大臣は震災復興に関連し「財源はなるべく国債ではなく自賄いで」と発言

2011年4月1日 11:59

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

29日に来年度予算案が年度末を2日残して上がった。大震災の影響で『政争』どころではないという雰囲気の中で、『静かに』成立したという感じだが、特例公債法案や子供手当てなどが、依然、積み残されたままで、予算執行に当たって、今後かなりの曲折が予想される。

29日に来年度予算案が年度末を2日残して上がった。大震災の影響で『政争』どころではないという雰囲気の中で、『静かに』成立したという感じだが、特例公債法案や子供手当てなどが、依然、積み残されたままで、予算執行に当たって、今後かなりの曲折が予想される。[写真拡大]

【「霞ヶ関発・兜町着」直行便】

  29日に来年度予算案が年度末を2日残して上がった。大震災の影響で『政争』どころではないという雰囲気の中で、『静かに』成立したという感じだが、特例公債法案や子供手当てなどが、依然、積み残されたままで、予算執行に当たって、今後かなりの曲折が予想される。また震災復興のための補正予算の編成も喫緊の課題となっており、早くも財源問題が論議の対象になっているが、野田財務大臣は29日の閣議後の記者会見で、それらについて以下のように語った。

  【補正予算の準備について】 補正予算自体は、本予算が基本的に成立したわけですので、早急に被害の現況を把握した上で、阪神・淡路大震災の時には最初の補正というのは約40日後に提出されています。それに比べると原発の憂慮すべき事態がまだ収束してない等々、まだ各府省がそういう問題に今全力で取り組んでいるという状況なので、若干それよりは時間がかかるのではないかと思いますが、そうは言いながらも何とか4月中には補正予算提案という形にはもっていけるように、これから精力的に準備をしていきたいと思います。

  【法人実効税率の引き下げについて】 税制改正本体は、もともとは経済活性化と財政健全化、両方をにらんだ改正案であって、これから目指している税制改革と一貫性をなす、その中での緊要性のあるものを取り入れているということで、その意味では税制改正案本体が成立するようにしていくというのが我々の基本姿勢です。加えて、震災に向けての復旧・復興が政策的には最優先課題になりますので、これは歳出面だけではなく、歳入面についても色々な見直しが出てくると思います。

  【社会保障と税の一体改革は6月以降に先送りか】 スケジュール感としては、閣議決定したとおり生きているというふうに思っています。ただ、全ての閣僚が、総理含めて、あるいは官房長官を含めて、今この検討会議に出席出来る状況ではなくて、まさにいわゆる震災対応が最大のテーマになっていますので、こちらに万全を期すという形になりますが、当面は実務的に色々事務局レベルでのヒアリング等を踏まえながら、与謝野大臣のもとで着々とこれは議論を進行していくというふうに理解をしています。政府としてその方針を変えたということではないと思います。閣議決定は生きているわけで、それを変えるという閣議決定はしておりませんので、現状においては生きているというふうに思います。震災の対応というのは最優先です。一方で税と社会保障の一体改革も、これも先送り出来るというテーマではないというふうに思っています。

  【予算の執行に遅れが出るのでは】 予算執行自体は、直ちに影響があるわけではありませんが、あんまり遅延した場合にはだんだん影響してまいりますので、その辺をにらみながらの執行であります。ただ、震災対応については、財政が制約になって対策に支障を来すということはあってはならないと思っております。その意味では一般の予備費が3,500億ありますし、経済予備費8,100億あります。また、自衛隊の活動費、人件費、糧食費等は2兆円以上、今回の予算に入っていますし、地方の対応という意味で特別交付税も、この改正交付税法によって1兆円以上措置出来ますので、そういうもので、特に震災対応については引き続き万全を期していきたいと思います。予算の執行の在り方については、予算成立した後の最初の閣議で諮りたいと思っていますので、正式に政府内でお諮りする前にはまだ公言はしないようにしたい。

  【国債発行は避けられないのでは】 補正予算の規模が定まってない中で、あまり財源先行でという話ではないと思いますが、基本的には、まずは安易に国債発行に依存するのではなくて、基本的には自賄いでまずは準備するということが大事だろう。基本的なマインドとしてはそうあるべきだというふうに思います。

  補正予算の編成は財源問題でデッドロックにぶち当たっている。一般予算の特例公債発行の目処もつかない中、新たに震災特例公債といっても、はたして市場での引き受け手があるのかという問題もある。最終的には、日銀しかないという声も聞こえるが、これではただ紙幣を刷って手当てするだけで、裏付けのない金融措置、『禁じ手』だという厳しい見方もある。財務省は予備費などで第一次補正を打って、次に不要不急の予算の執行を遅らせて二次と繋いでいくようにも見える。法人実効税率に関する質問に、大臣が答えなかったところにも、財政当局の苦衷の色が見える。だが、被災者救援、原発事故対応、物資の流通、電力不足など、緊急を要する仕事が内閣に山積しているのはわかるが、全軍の指揮者が『いない』『見えない』ことが、現在の状況下にあって最大の問題であろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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