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社員は社長の鏡

菅 正至

執筆者:菅 正至
すが事務所 代表

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■社員のやるきがないと嘆く社長

 最近、社員のやるきがないと嘆く社長が多い。社長自体は経営に対して真剣であるにも関わらず、社員のほうは能天気という、どこにでもあるような話である。

 面白いことに、そうした会社の社長に限って、社員のモチベーションを向上させてゆこうと、いろんな人事施策などを活用しようとする。たしかに人事施策によるモチベーションの改善は期待できる面もあるが、物事の本質を外れたケースも散見されるように感じている。
 

■合理性とは違う経営者に必要な能力

 日本ではよく「懐が深い」とか「懐が浅い」というようなことをいう。「懐が深い」とはどのようなことであろうか? わたしは、ひとつには「貸し」と「借り」の関係が理解できることであると思っている。言うまでも無く、「貸し」と「借り」の関係というのは契約等で決まっている法的な関係ではなく、きわめて観念的な人間の認識能力である。
 
 こうした一見、合理的でない能力も経営者の能力のひとつである。なぜなら、「貸し」と「借り」の関係がわからない経営者に対して、社員は決して会社に対する「貸し」を作ってくれないからだ。会社側が精緻な合理性を求めれば求めるほど、社員のほうも杓子定規な「合理性」を求めることになる。
 
 経営が厳しく給与水準を下げただけで、優秀な社員が辞める。自分の給与以上に負荷のかかる仕事を積極的に行わない。常に処遇に対する不満ばかりをいう。こうした企業文化の会社は、本当に足腰の強い会社とはいえない。社員は常に社長を含む経営陣を見ているのである。経営者が精緻な目先の合理性を求めれば求めるほど、社員もそのような論理で動くようになる。さらに悪いことに、社長自身が目先の精緻な合理性を求めることが社長のミッションであると思っていることである。こうした傾向の社長は、経験上、経験の浅い社長に多いように感じている。


■合理性と非合理性を受け入れる「懐の深さ」
 
 わたしが常に提唱していることであるが、社長は合理性と非合理性を受け入れる「懐の深さ」が必要である。社員だけがだらしのない会社はない。 長期的には社員は社長の顔が映った鏡となると思っている。 長期的というと漠然としているが、5年もあれば、社員は社長の姿を映し出す鏡となるのではないかと思っている。経営コンサルティングの仕事は精緻な合理性を追求することが多いが、同時に社長にしかできない人間力の発揮を期待するところである。社長は経営コンサルタントのできない能力があるからこそ、成功するのであって、単なる目先の合理性に敏いから成功するのではないということを再度考えてもらいたいとこところである。

著者プロフィール

菅 正至(すが・まさし) すが事務所 代表

主に国内の中堅企業に対して、人事労務関係のコンサルティングを行っています。特にリストラ関係、人事制度設計、組織変革マネジメントに強みを持ち、多くの企業でプロジェクトを成功に導いています。個人事務所なので日本一敷居の低い経営コンサルタントを目指しております。
人事関係の経営課題がありましたら、お気軽にコンタクトしてください。現在のクライアントとは顧問契約ベースで長期でお付き合いしております。
URL: http://www.suga-office.com
メール: sugamm@jcom.home.ne.jp

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