「塩漬けIPO株」に反騰の兆し!「春の訪れ」を窺わせる動き?=浅妻昭治

2011年1月25日 17:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

まさに「アメリカン・ドリーム」である。SNS(ソーシャル・ネーットワーキング・サービス)で世界最大手の米国フェイスブックが、15億ドル(約1240億円)の資金調達をして、来年にも新規株式公開(IPO)するという。

まさに「アメリカン・ドリーム」である。SNS(ソーシャル・ネーットワーキング・サービス)で世界最大手の米国フェイスブックが、15億ドル(約1240億円)の資金調達をして、来年にも新規株式公開(IPO)するという。[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

■IPO投資で泣く泣く「塩漬け」で、まさに「ジャバニーズ・ナイトメア(悪夢)」

  まさに「アメリカン・ドリーム」である。SNS(ソーシャル・ネーットワーキング・サービス)で世界最大手の米国フェイスブックが、15億ドル(約1240億円)の資金調達をして、来年にも新規株式公開(IPO)するという。企業価値は500億ドル(約1兆1300億円)とも見積もられ、世界最年少で億万長者となった創設者のマーク・ザッカーバーグは、ますますリッチになる。ベンチャービジネスが、新市場・ビジネスモデルを立ち上げて、経済を活性化、雇用を創出し、資本市場にニュー・マネーを呼び込むことにもなる。

  翻ってわが日本のベンチャービジネス環境はどうか?お寒い限りである。金融機関は、ベンチャー育成より安全第一で国債投資一辺倒で、個人投資家も、年金支給年齢の引き上げ、消費税率アップなどと驚かされれば、老後資金の確保の心配が先に立ち、リスクマネーの供給など、とてもとても覚束ない。やっぱり「投資より貯蓄」優先とせざるを得ない。しかもこれに追い討ちをかけているのが、IPO市場の惨澹たる状況である。かつての「IPOバブル」の反動か、ライブドア事件の刑事被告人「ホリエモンの呪い」か、「おべんちゃら企業」のトガメか、IPO企業数は、ピークの10分の1まで激減し、初値形成も、初値後のセカンダリーも不調続きだ。

  IPO企業の多くが、典型的な「寄り天」となっているのである。証券会社が、投資家よりも企業の方ばかりを向き「おべんちゃら」を並べ立てて幹事証券入りを争い、創業者利潤の極大化を図るために「小さく産んで大きく育てる」鉄則を踏み外して、公開価格を高く決めて公開するから上場初日につけた初値が、上場来高値となって、半値、3分の1などと大きく上場来安値まで売られるケースがあとを絶たない。IPO投資で一攫千金をと躍らされた投資家は、資金の回転が効かずシコって、泣く泣く「塩漬け」に甘んじなくてはならない。まさに「ジャバニーズ・ナイトメア(悪夢)」である。

  前置きが長くなったが、その「塩漬けIPO株」に反騰の兆し、「春の訪れ」を窺わせる動きが出てきたようなのである。IPO企業数が19社と直近のボトムとなった2009年IPO株のなかから、常和ホールディングス <3258> (東2)、シーボン <4926> (JQS)のように昨年来高値を取る銘柄や、ヤーマン <6630> (JQS)のように東証第2部上場を承認される銘柄が続いた。上場3年目に入り、何らかの株価意識が働いたのかと期待させる動きである。なかでも上場市場の変更は、大幸薬品 <4574> 、SHO-BI <7819> (東2)、三菱総合研究所 <3636> に続いてヤーマンで4社目となるから、IPO銘柄数の割りにはかなりのウエイトとなる。

  2009年は、上場審査時の粉飾決算で上場廃止となったエフオーアイがIPOした年にも当たる。この影響もセカンダリーの株価形成に少なからずあったはずで、ネット関連のソケッツ <3634> (東マ)、クックバッド <2193> (東マ)や、資源関連の日本海洋掘削 <1606> も含まれているから、18銘柄をシラミつぶしにリサーチしたら案外、新しい投資価値を発見できるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社 Media-IR)

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