スターリンク通信制限でウクライナ軍に打撃 ロシアがインフラ攻撃強化か

2026年10月17日 13:21

 米宇宙企業スペースXの衛星通信サービスを巡る制限でウクライナ軍の通信能力が低下するなか、ロシアが民間インフラへの攻撃を強めている。ウクライナのセルヒー・デルカチ復旧・インフラ・運輸第1副大臣は、首都キーウの橋や鉄道、国境検問所などへの攻撃が激化していると警告した。

 デルカチ第1副大臣はCNBCに対し、「米国が戦場でのStarlink利用を制限するなか、ロシアは今がウクライナの民間インフラにさらに大きな苦痛を与える機会だと考えている」と述べた。

 同氏によると、ロシア軍はキーウの橋に対する攻撃を増やしており、ドニプロ川東岸に住む約200万人が利用する交通網が脅かされている。鉄道網や国境検問所も攻撃対象となり、市民や人道支援物資、生活必需品の移動に支障が出る恐れがある。

 ウクライナでは冬を前に電力不足が深刻化している。デルカチ第1副大臣は、停電がすでに1日4〜12時間に及ぶ地域があるとし、「非常に厳しい数週間、数カ月に向かっている。これまで以上にパートナーの支援が必要だ」と訴えた。気温の低下に伴い、暖房や交通など基幹サービスの維持が一段と難しくなる懸念がある。

 ウクライナ軍が利用するスペースXの衛星通信では10月、通信速度の低下などが発生した。ロイター通信によると、前線では砲兵部隊と司令部の通信や監視、ドローン運用などに影響が出ている。

 スペースXは商用衛星通信サービス「Starlink」とは別に、政府・防衛用途を想定した「Starshield」を展開している。ロイターによると、問題となっている通信制限には軍事用途のサービスが関係しており、高速で移動する端末の利用などに影響が出た。

 制限を誰が決定したかを巡っては主張が食い違っている。ロイターは、Starshieldのサービス縮小が米ホワイトハウスの承認を受けたと報じた。一方、ドナルド・トランプ米大統領は16日、ウクライナ向けStarshieldへの米国による制限を否定し、自身やスペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が通信低下の原因ではないと述べた。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は16日、ブリュッセルで欧州連合(EU)首脳らと会談し、冬に向けて防空、エネルギー、財政支援を強化するよう求めた。

 ゼレンスキー氏は欧州理事会の会合で、ロシアが10月にウクライナのエネルギー部門に対する大規模な攻撃を始めたと指摘し、弾道ミサイルを迎撃するために必要な防空能力の確保に各国が最大限取り組むよう訴えた。

 ウクライナ大統領府によると、ゼレンスキー氏は欧州理事会のアントニオ・コスタ議長、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長との会談でも、「冬季支援策を準備しなければならない。エネルギーだけでなく、防空と資金も必要だ」と述べた。

 一方、ウクライナと米国の関係には緊張もみられる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は15日、EU首脳がゼレンスキー氏に対し、トランプ氏への公の批判を抑えるよう非公開の場で促す方針だと、首脳会議の準備に詳しい3人の関係者の話として報じた。欧州側には、米国とウクライナの対立が一段と深まれば、西側諸国によるウクライナ支援に影響しかねないとの懸念がある。

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