百貨店ヤマトヤシキ、姫路店を2月末で閉店

2018年1月5日 23:04

 百貨店運営のヤマトヤシキは12月29日、臨時株主総会を開き、兵庫県姫路市の姫路店を2月末で閉店することを決めた。企業再生ファンドのマイルストーンターンアラウンドマネジメント(MTM)の支援を受けて事業再生に努めてきたが、業績の回復ができなかった。兵庫県加古川市の加古川店は営業を続ける。

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 ヤマトヤシキは2015年に私的整理の事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)が成立したあと、金融機関から債務免除を受け、MTMの支援で経営再建に努めてきた。2016年には食品売り場を一新し、有名家具店の誘致や直営カフェのオープンなどでテコ入れしている。

 しかし、ADRの成立後も2016年2月期決算から2期連続の赤字で、経常赤字はADR以前も含めると7期連続となった。2017年2月期の売上高は対前期比7%減の122億円。この10年間で6割近く減少している。今期も来店客数の伸び悩みが続き、黒字化が難しい状況だという。

 地下1階、地上8階(一部12階)建ての姫路店は本社が置かれたヤマトヤシキ発祥の地で、営業面積1万6,700平方メートル。1957年の完成から60年が経ち、老朽化が著しい。このため、集客力を持つ新しいテナントを誘致しにくくなってきたほか、老朽化に伴う維持コストの増加も経営を苦しくしている。

 姫路店は耐震化工事が必要なうえ、全社の赤字の約7割を占め、現状のままでは不採算体質からの脱却が困難と判断した。従業員は2017年11月現在で264人が勤務しているが、閉店後の処遇は決まっていない。姫路店で発行した商品券や友の会お買物券などは加古川店で利用できる。

 ヤマトヤシキは当面、加古川店に経営資源を集中し、企業再生を図る考え。姫路店は今後、現在のビルを建て替える方針で、低層階に商業機能を持たせながら、ホテルやマンションを入居させることも検討する。

 ヤマトヤシキの経営再建では、免税店大手のラオックスが2017年8月、7億円分の新株予約権を引き受けている。ラオックスが権利をすべて行使すれば議決権の8割近くを握ることになり、ヤマトヤシキの子会社化を視野に入れているとみられている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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