Xbox Series X|S向けにAMD FSR 4.1.2提供開始、画質と負荷を選べる2モデル
2026年11月7日 10:12
AMDとMicrosoftは、2026年11月4日付の開発者向け発表で、Xbox Series X|S向けに「AMD FSR Upscaling 4.1.2」の提供を開始したと明らかにした。2026年10月版のMicrosoft Game Development Kit(GDK)を通じて、登録済みのXbox開発者が利用できる。ゲームへの導入は、各開発者が実装やアップデートを通じて進める。
■Xbox向けに最適化された機械学習型アップスケーリング
FSRは、低い解像度で描画した画像から高解像度の出力を再構成するアップスケーリング技術だ。AMDによると、機械学習ベースのFSRがXboxコンソール向けに提供されるのは今回が初めてとなる。従来のFSRを利用してきた開発者にとって、画質を高めるための新たな選択肢になる。
Microsoftは、AMDと共同でXbox Series XとSeries SのRDNA 2ベースのGPU向けに実装を最適化したと説明している。Xboxの次世代部門を率いるジェイソン・ロナルド氏も11月5日、開発者向けの提供開始をソーシャルメディアで紹介した。
MicrosoftのGitHubで公開されたGDKサンプルには、「Full INT8」と「Lite INT8」の2モデルが含まれる。開発者は実行中にモデルを切り替え、同じシーンで出力画質とGPU処理時間を比較できる。サンプルはXbox Series X|SとWindows向けにビルドでき、FSR 3との比較にも対応する。
■FullとLiteで処理負荷を調整
2モデルは、8ビット整数のINT8演算を使い、どちらもSeries XとSeries Sで動作する。AMDによると、LiteのモデルサイズはFullの半分未満で、アップスケーリングにかかる処理負荷も低い。開発者は、ゲームが求める画質とGPU性能のバランスに応じて選択する。
Microsoftが公表したGDKサンプルの測定値では、Series Xの4K出力時にFullが3.86ミリ秒、Liteが2.75ミリ秒だった。1440p出力時はFullが1.95ミリ秒、Liteが1.29ミリ秒となる。これらはアップスケーリング処理に要するGPU時間である。
Series Sでは、1080p出力時にFullが2.9ミリ秒、Liteが1.9ミリ秒だった。1440p出力時はFullが5.2ミリ秒、Liteが3.4ミリ秒となる。処理時間はモデルと出力解像度によって変わるため、ゲーム全体の描画に使える時間を踏まえた選択が必要になる。
両モデルは、Native AA、Quality、Balanced、Performance、Ultra Performanceの5つの品質モードに対応する。一方、AMDによると、同じ描画解像度と出力解像度なら、アップスケーラーの使用メモリ量はFullとLiteで共通だ。モデルの切り替えは、主に画質と処理時間の調整に使うことになる。
■Series Sでも画質と描画時間を両立する選択肢に
Series Sは、Series XよりGPU性能やメモリ容量、メモリ帯域幅が小さい。そのため、内部の描画解像度を抑えながら出力画像の鮮明さを高めるアップスケーリングは、描画負荷を配分するうえで重要な手段になる。
Liteモデルは、Fullより短いGPU時間で処理できる点が利点だ。例えばSeries Sの1080p出力では、公開サンプル上の差は1ミリ秒となる。開発者はこの差と画質を比較しながら、内部解像度やほかの描画設定を調整できる。
PC版FSR 4は、2025年にRadeon RX 9000シリーズ向けとして登場した。AMDはその後、対応するハードウェアを拡大しており、今回のXbox対応もその流れに位置付けられる。既存のコンソールで新しい画像再構成技術を使えることが、今回の提供開始の意義だ。
■携帯機ではプレビュードライバーを先行提供
Windowsを搭載するROG Xbox Ally X向けには、ASUSが10月23日からFSR 4.1対応のプレビュードライバーを提供している。AMDが11月4日付で案内した利用条件では、DirectX 12で動作し、FSR 3.1以降を組み込んだゲームをFSR 4.1.2へ更新できる。
利用するには対応ドライバーを導入し、AMD SoftwareまたはCommand CenterでFSR Upscalingを有効にしたうえで、ゲーム側でもFSRを選ぶ。開発者は標準のAMD FSR SDKを使って直接組み込むこともでき、VulkanでFSR 4.1.2を利用する場合には、この組み込みが必要になる。
PC向けでは、AMDが10月20日公開のAdrenalin Edition 26.10.1で、Radeon RX 6000シリーズやRyzen AI Max、Ryzen AI 9の対象製品へFSR 4.1対応を拡大した。携帯機のドライバー配布はメーカーごとの提供となり、XboxコンソールではGDKを使ったゲーム側への実装が導入経路となる。
■対応ゲームの見通しと各社の動向
Windows Centralは10月21日、関係者の話として、Xbox Series X|Sでは2026年の年末商戦期に少数のFSR 4.1対応タイトルが登場し、2027年以降も採用が広がる見通しだと報じた。2026年11月6日時点で、今回のAMDとMicrosoftの開発者向け発表には、コンソール向け対応ゲームの具体名や配信日は記載されていない。
PlayStationでも機種に合わせたアップスケーリング技術の導入が進む。ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、PS5 Pro向けにPSSRを提供し、標準PS5向けには2026年10月、軽量化したニューラルネットワークと最適化した実装を用いる「クイックスペクトルスーパーレゾリューション(QSSR)」を発表した。
PS5 Proの設計を率いるマーク・サーニー氏は、Digital Foundryの取材に対し、同機の8ビット演算のピーク性能を、スパース性を利用しない条件で300 TOPSと説明している。各社はハードウェアの特性に合わせ、画像再構成に使うモデルや実装を調整している。
さらにMicrosoftは、次世代Xbox「Project Helix」を、次世代のDirectXとFSRに向けて共同設計したカスタムAMD SoCで駆動すると発表している。Gematsuが報じたAMDとXboxの説明では、同機は「FSR Diamond」を活用する予定だ。現行機向けのFSR 4.1.2と並行して、次世代機向けの描画技術の開発も進められている。
元記事: AMD FSR 4.1 Arrives on Xbox Series X|S: Why This Could Be the Biggest Visual Upgrade Since Launch