ハイパースケーラーAI投資の採算ラインは約47兆円の年間収入=ゴールドマン試算

2026年9月26日 12:00

 人工知能(AI)インフラに巨額の資金を投じる大手テクノロジー企業への投資意欲が再び強まるなか、ゴールドマン・サックスは、主要なハイパースケーラーが投資を回収するには、今後数年で年間約3000億ドル(約47兆円)のAI関連収入を生み出す必要があると試算した。

 ゴールドマンのストラテジスト、ライアン・ハモンド氏によると、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、オラクルなどの大手クラウド事業者がAI投資で損益分岐点に達するには、年間約3000億ドル(約47兆円)のAI関連収入が必要になる。

 AI関連株に投資資金が戻り、AI技術への期待が改めて高まるなか、この試算は巨額投資の採算性という課題を浮き彫りにしている。

 米ハイパースケーラーの2026年の設備投資額は、アナリスト予想の合計で約8000億ドル(約125兆円)に達する見通しである。ただし、これにはAI以外の設備投資や米国外での投資も含まれる。

 ゴールドマンは、民間企業や米国外の企業による投資を加える一方、AIと直接関係しない既存の設備投資などを調整すると、2026年の世界のAI関連投資額は1兆190億ドル(約160兆円)に達すると推計している。このうち米国内で行われる投資は約5810億ドル(約91兆円)となる見通しである。

 クラウド事業の成長は、AIの収益化がすでに進んでいることを示している。ただ、投資規模を正当化するために必要な水準にはまだ達していない。

 ハモンド氏の分析によると、2026年第2四半期のハイパースケーラーのクラウド収入は、生成AIブーム以前の成長トレンドを年率換算で約700億ドル(約11兆円)上回った。

 各社が公表した受注残高も合計で1兆5000億ドル(約235兆円)を超えている。ただ、受注残がすべて投資家の期待する収益につながるとは限らない。

 インフラ投資額の回収だけでなく、十分な投資利益を確保する場合、必要となる収入の水準はさらに高くなる。

 ハモンド氏は「ハイパースケーラーが十分な投資収益を上げ、アプリケーション層の企業がコンピューティング費用を負担したうえで高い利益率を確保するには、AI利用者がAIアプリケーションに年間約1兆ドル(約157兆円)を支出する必要があると推定している」と指摘した。

 AI投資の成否は、データセンターの外側でどれだけ需要を生み出せるかに一段と左右されることになる。企業はこれまで、エヌビディア製半導体の購入、データセンターの建設、電力の確保、クラウド処理能力の拡充を進めてきた。

 こうした投資から魅力的な収益を得るには、企業や消費者がAIアプリケーション、AIエージェント、関連サービスに十分な金額を支払い、その基盤となるインフラを支えられる市場を形成する必要がある。

 ゴールドマンは、特に企業によるAI導入が重要になるとみている。消費者によるAI利用は急速に拡大したが、無料版を利用している消費者も多い。企業がAIツールに料金を支払い、日常的な業務プロセスに組み込めるかどうかが、AI産業の収益構造を左右する可能性がある。

 一方、AI需要の拡大を示す材料もある。ゴールドマンは、企業や消費者がより高度なAIアプリケーションを導入することで、AIが処理するトークンの消費量が2026年から2030年にかけて24倍に増え、月間120京トークンに達すると予測している。

 コンピューティングの単位当たりコストが低下すれば、ハイパースケーラーの利益率が改善する可能性もある。

 投資家は足元でAI関連株への強い投資姿勢を維持している。米大型ハイテク7社に均等に投資するラウンドヒル・マグニフィセント・セブンETF(MAGS)は、9月25日までの1カ月間で7%台上昇した。

 同ETFは25日、前日比0.13ドル(0.18%)高の72.64ドルで取引を終えた。終値は過去最高値に近い水準となっており、AI関連の大型テクノロジー株に対する投資家の期待の強さを示している。

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