米AIインフラ投資、2032年までに約1630兆円―複雑な資金調達に金融リスク

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米国の人工知能(AI)ブームに伴うインフラ投資は、2032年までに10兆3000億ドル(約1630兆円)規模に達し、米国史上最大級のインフラ投資になる可能性がある。資金調達が複雑化するなか、需要が想定を下回った場合には、損失が金融機関や投資家に波及するリスクも指摘されている。
コロンビア大学ビジネススクールのスティン・ファン・ニューワーバーグ教授がブルッキングス研究所の会議向けにまとめた研究によると、データセンター建物や電力設備、ネットワーク、専用半導体など、AIインフラへの投資額は2025~2032年に約10兆3000億ドルに達する見通しだ。年間平均では米国内総生産(GDP)の3.63%に相当する。
経済規模に対する投資比率では、鉄道や電力網、州間高速道路、通信網といった過去の大型インフラ整備を上回る。
1870~1890年の鉄道投資は年間平均でGDPの2.24%を占めた。1956~1973年の高速道路建設は1.13%、1996~2003年の通信・光ファイバー網整備は1.10%だった。
ファン・ニューワーバーグ教授は、AI投資の規模だけでなく、資金調達の方法も重要だと指摘する。投資の初期段階では、アマゾン・ドット・コムやメタ、グーグルの親会社アルファベットなど、潤沢な手元資金を持つ大手テクノロジー企業が自社資金を中心に投資できた。
しかし、投資額が急速に膨らむにつれ、業界は外部資本への依存を強めている。ハイパースケーラー、データセンター開発会社、銀行、プライベートクレジット運用会社、不動産会社など、多様な主体が複雑な金融契約で結び付くようになった。
ファン・ニューワーバーグ教授は、こうした資金調達網について記者団に「極めて複雑だ」と述べた。
研究では、米国で2025~2032年に稼働を開始するデータセンター容量が約183ギガワットに達すると推計している。2026年7月時点で稼働中の容量は約57ギガワットとされる。
必要となるインフラはサーバーを収容する建物にとどまらない。AI施設には、専用半導体、ネットワーク機器、冷却システム、発電・送電設備への巨額投資が必要となる。
企業はこうした事業の資金を確保するため、合弁事業やプライベートクレジット、証券化、リース、融資保証、特別目的事業体(SPV)などを活用している。これらの仕組みは調達できる資金を増やす一方、最終的にどの投資家や金融機関がリスクを負っているのかを把握しにくくする。
ファン・ニューワーバーグ教授はSPVを通じた資金調達の不透明さについて、「サブプライム住宅ローン危機で起きたことを、ある程度想起させる」と述べた。
ただし、こうした類似点が新たな金融危機の発生を意味するわけではない。同教授は、AIインフラが過去の信用ブームに匹敵するシステミックリスクをすでにもたらしていると結論付けるのは時期尚早だと明記した。
AIサービスへの強い需要やデータセンターの高い稼働率、AIモデルの継続的な性能向上によって、投資を支えるのに十分な収益が生み出される可能性もある。
一方、期待される投資収益を確保するための条件は厳しい。研究の中心シナリオでは、AIインフラ投資からレバレッジを考慮しないベースで10%の収益率を得るには、営業キャッシュフロー・マージンを50%と仮定した場合、2032年に年間約3兆7000億ドル(約586兆円)の売上高が必要になる。
論文が参照したオープンAIとアンソロピックの年間売上高合計の推計は約1000億ドル(約15兆8000億円)である。これを起点に約3兆7000億ドル(約586兆円)へ到達するには、2032年まで年率約80%の増収を続ける必要がある。
AI需要が想定に届かなかったり、技術が予想以上に速く変化したり、一部のデータセンターが期待された収益を上げる前に陳腐化したりすれば、損失は融資会社、開発会社、投資家が相互に結び付いた資金調達網を通じて波及する可能性がある。
ファン・ニューワーバーグ教授は「こうした動きは、金融面の混乱が差し迫っていることを意味しない」と説明した。そのうえで、需要の不確実性や急速な技術変化、建設上の制約、高いレバレッジが重なるため、期待が下方修正された場合には「無視できない下振れリスク」が生じると警告した。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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