UBTECH、中国・柳州に年産1万台規模のヒューマノイド工場 10分間隔の生産を設計
2026年9月21日 16:55
UBTECHは2026年9月12日、中国・広西チワン族自治区柳州市で、産業用ヒューマノイドロボットを生産する新工場を稼働させた。年間1万台超の生産能力を想定し、フル稼働時には10分間隔で1台を完成させる設計だという。
工場では同社の「Walker S」シリーズや「Cruzr」シリーズを生産する。ヒューマノイドを資材搬送に利用するほか、協働ロボットや自動搬送車、デジタルツインを組み合わせ、混流生産に対応する。
■10分間隔で完成させる設計
工場の延べ床面積は約1万4000平方メートルで、異なる機種を同じ生産設備で組み立てる柔軟なラインを採用している。UBTECHによると、設計上の生産間隔は産業用ヒューマノイド1台当たり10分で、年間生産能力は1万台を超える。
この10分という数字は、組立開始から完成までの所要時間ではなく、ラインが定常稼働した際に完成品を送り出す間隔を示す「タクトタイム」だ。年間を通じて10分ごとの生産が継続していることを示す実績値ではなく、設備の設計能力として捉える必要がある。
Walker Sシリーズの組立工程では、協働ロボットアームや360度回転する作業台、自動搬送車、無人フォークリフトなどを利用する。完成後には4時間を超える機体試験と、照明検査設備による全周の外観確認を実施するとUBTECHは説明している。
工場には65平方メートルの自動立体倉庫も設けられ、完成したロボットを最大112台保管できるという。同社は、一般的な平置きの配置と比べ、空間利用効率を50%以上高められるとしている。
■デジタルツインで工程と品質を管理
新工場の構築にはSiemens Digital Industries Softwareが協力した。両社は製品ライフサイクル管理、工場のシミュレーション、製造オペレーション管理などを組み合わせ、生産設備と情報システムをつなぐデジタル基盤を整備した。
デジタルツインは、実際の設備や工程に対応する仮想モデルをコンピューター上に構築する技術である。柳州工場では、設備配置や資材の流れ、作業工程の変更を仮想環境で検証し、実際のラインを変更する前に生産性や問題点を確認できる。
製造オペレーション管理システムは、作業指示、資材の供給、工程の進捗、品質情報を一元管理する。完成したロボットには固有のシリアル番号が付与され、部品、組立工程、検査結果を機体単位で追跡できるようにしている。
■ヒューマノイドが担うのは主に資材搬送
UBTECHは工場について「ロボットがロボットを作る」と表現している。ただし、ヒューマノイドが別のヒューマノイドを一から組み立てるわけではなく、工場内で担うのは主に部品の積み降ろしや工程間の搬送である。
精密な機械・電気組立には、協働ロボットアームやパワーアシスト式マニピュレーターを使用する。自動搬送車や無人フォークリフトが倉庫と生産設備の間を移動し、ヒューマノイドは固定設備だけでは対応しにくい資材搬送を補う。
工場の特徴は、ヒューマノイド、固定式の産業用ロボット、搬送機器を役割に応じて組み合わせた点にある。異なる機種を同じラインで生産するため、設備を大幅に入れ替えずに工程や搬送経路を調整できる構成を目指している。
■産業用ヒューマノイド事業が拡大
UBTECHの2026年上期の売上高は12億6910万元で、前年同期比104.2%増加した。このうち、全身型の身体性知能ヒューマノイドに関する製品・サービスの売上高は5億9030万元で、前年同期の3820万元から1445.0%増えた。
全身型ヒューマノイドの販売台数は上期に921台となり、前年同期から大幅に増加した。教育用などを含むヒューマノイド全体の販売台数は1万6123台だったため、後者を大型産業用機の販売実績とみなすことはできない。
同社の上期の売上総利益率は44.7%で、前年同期の35.0%から上昇した。一方、最終損益は3億3880万元の赤字であり、生産規模の拡大が収益化につながるかは今後の受注、稼働率、製造コストに左右される。
新工場の能力は、現在の販売実績そのものではなく、将来の受注増加に対応するための生産基盤である。産業用ヒューマノイドが実証導入から継続的な商用利用へ移行するかが、設備能力を実際の生産量につなげる鍵となる。
■米FCCは外国製の新型機を認証制限
米連邦通信委員会(FCC)は2026年7月28日、外国で生産された高度ロボット機器とネットワーク接続型電力インバーターをCovered Listに追加した。高度ロボット機器には、ヒューマノイドや四足歩行ロボットなどの移動型ロボットが含まれる。
この措置は中国企業だけを名指ししたものではなく、原則として外国で生産された対象機器に適用される。対象となる新型機はFCCの機器認証を新たに取得できず、米国での輸入や販売が制限される。一方、すでに認証を受けた既存モデルについては、販売、輸入、利用を直ちに禁止するものではない。
また、米政府の審査を経て「条件付き承認」を受けた機器または機器群は適用除外となり得る。したがって、Covered Listへの追加を、UBTECH製品を含む外国製ヒューマノイドすべてに対する一律の輸入禁止と表現するのは正確ではない。
米政府の国家安全保障判断では、ロボットが周辺環境の情報を取得する高精度センサーを備え、ネットワーク接続や無線更新を利用することによるデータ流出、遠隔妨害、供給網への依存などがリスクとして挙げられた。
■量産能力を競う段階へ
柳州工場は、ヒューマノイド開発の競争が試作機の性能だけでなく、量産設計、品質管理、部品調達、導入後の運用を含む段階へ移りつつあることを示す。10分というタクトタイムも、ロボット単体の能力ではなく、生産システム全体の設計を表す指標である。
UBTECHにとっては、年間1万台超の設備能力を受注と実生産につなげられるかが次の課題となる。工場の稼働率に加え、導入先でヒューマノイドが安定して作業を継続できるか、保守やソフトウェア更新を含む運用コストを抑えられるかも重要になる。
米国では外国製の新型ロボットに対する認証制限が加わり、市場への参入条件が厳しくなった。中国で進む量産体制の整備と、米国が重視する供給網・サイバーセキュリティ政策は、ヒューマノイド市場の地域的な分化をさらに進める可能性がある。
元記事: China Humanoid Factory Hits 10-Minute Production Pace as US Bans New Robot Imports