東急ステイなど、訪日外国人向けの24時間オンライン診療導入 エムスリーGと提携

2025年6月1日 20:20

 東急不動産は5月29日、エムスリーグループの訪日外国人向けオンライン診療サービス「HOTEL de DOCTOR 24」を、35の宿泊施設に導入すると発表した。体調不良の際、ホテルの室内で医療通訳付きのオンライン診療を受診できる。エムスリーとの業務提携契約に基づくもので、都市型ホテルの「東急ステイ」全31施設とリゾートホテル4施設に導入する。

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 「HOTEL de DOCTOR 24」は、エムスリーグループで医療人材ビジネスを展開するエムスリーキャリアが提供するもの。宿泊施設が案内する専用サイトを通じて予約でき、24時間365日、医師によるオンライン診療や看護師のカウンセリングを受けられる。

 22言語対応の医療通訳が付いており、診療内容を同時通訳する。対応できる症状は限られるが、発熱、頭痛、腹痛、吐き気、じんましんなどの発生頻度の高い症状に対処。薬局と連携して薬も処方する。費用は利用者負担となり、施設側での支払いは発生しない。

 新型コロナウイルス感染の収束後、経済環境も相まって訪日外国人は再び増加傾向にある。JTBによると、2025年には4,000万人を超える見込みという。

 宿泊施設では、訪日外国人が体調不良になった際に、症状をヒアリングして対応可能な病院を探す必要があり負担が大きい。医療機関への正確な症状の伝達にも課題感があるという。

 そこで、医療人材の紹介プラットフォーム運営などを手がけるエムスリーキャリアは、「HOTEL de DOCTOR 24」を開発。24年12月にテストローンチし、首都圏を中心に試験運用を行った。25年4月から本格始動し、「西武プリンスホテルズ&リゾーツ」の44施設を含む、全国16都道府県58施設に展開している。

 試験運用中の利用者は主に、アメリカやイギリスといったオンライン診療になじみのある国の訪日客。子どもの体調不良や持参した薬が切れたなどの理由で利用されたという。

 東急不動産での導入は、25年3月にエムスリーと締結した業務提携契約がベースにある。業務提携は、福利厚生サービスを展開するイーウィルの株式譲渡(51%)と同時に決定。ヘルスケア・医療領域での協業を目的としており、今回の導入に至った。

 東急不動産同社では、宿泊者の外国人比率が6割超と高い東急ステイと、4割超のリゾートホテルに導入することで、スムーズな医療の提供と体験価値の向上を目指す。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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