ソフトバンクG、純利益4.9兆円 国内企業では過去最高も、株価は何故か急降下!

2021年5月14日 16:44

 12日に国内企業として過去最高の純利益を発表したソフトバンクグループの株価が変調気味だ。21年3月期の決算が好業績で終えられることは既に予想されていたため、新味はなかったかも知れない。

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 11日には対前日比662円安の9,508円が、12日の終値は9,180円で同328円安となった。13日はさらに下げて8,467円となり、2月1日以来、終値で8,500円を下回った。

 米国株式市場でハイテク株の売りが膨らんだことや、物価の上昇がインフレと金利の上昇を懸念させたにせよ、好業績を上げた企業が僅か3日で15%以上下落することは尋常ではない。

 21年3月期の連結決算(国際会計基準)の純利益4兆9879億円を、マーケットが評価していないという訳ではないだろう。

 投資会社であるSBGのビジネスモデルは、良質な製品やサービスを製造・販売して、売上高を増やすことではない。良質な製品・サービスを提供して大きく成長しそうな企業を一早く見つけて、投資をすることがメインだ。

 他の投資家に先駆けて若い芽を摘んで行くことが利益の極大化につながる可能性はあるものの、蓋を開けなければ分からないネックがあることは止むを得ない。

 いくら目利きが揃っていたとしても、神でもない人間が生まれて間もない企業を評価するのだから、時間の経過の中で組み込まれる変数が多すぎて、当たる時があれば外れる時もある。いくらデータを揃えても百発百中といかないのは、競馬などのギャンブルと近いのかも知れない。

 だからSBGの株価は、過去に投資した先が期待通りに上場を果たした時点でピークを迎えたと評価され上昇し、期待外れだった時には率直に下落する。もちろん、数多くの企業に投資をしているからピークやボトムは何度も訪れる。ピークやボトムが交互に繰り返す訳ではないため、株価が際立って乱高下するのはSBGの宿命だ。

 SBGのビジネスモデルにとって最大のウイークポイントは、計上された利益がキャッシュを伴わない含み益だということだ。保有株式を現金化する過程で対象企業の株価が軟調になるのは止め難いから、結果としてピークの評価益をそのまま現金化することはなかなか難しい。

 何れにしても、国内企業最高の純利益を計上した12日の決算記者会見でSBGの孫正義会長兼社長が、「5~6兆円どころか10兆円(利益)でも満足しない」と折角、風呂敷を大きく広げたのに株価が正反対の動きをしているのは、不本意に違いない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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