ホンダの4輪部門は瀕死か 資金効率は生産技術が作る サプライヤー再構築の行方

2019年11月5日 18:07

 「ホンダが危ない」と感じ始めたのは、5年ほど前であったと思う。それは製品の技術的先進性を求める姿勢はあるが、生産技術的努力がみられなくなったからだ。ホンダ・シビックは5ドアハッチバックと、これをベースとしてチューニングされたスポーツモデルである「タイプR」がイギリス生産だ。セダンだけが日本の国内工場である寄居工場で造られている。

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 「イギリス生産のシビックは一味違う」と自動車専門家からも聞くことがある。同じメーカーであっても世界の生産拠点でサプライヤーが違うから、それが当然となるわけだ。しかし、その品質レベルを統一できないと「混流生産」で「スイング生産」は出来ないのだ。

 グローバル製造業はこれが出来ないと、販売台数の変化に対応して生産拠点を移すこと(スイング)が出来ず、ラインの稼働率がばらついてしまう。これにより、生産量の平準化や、固定費の変動が出来ず、利益率を落としてしまう。つまり、投資効率が落ちるのだ。

 なぜこのようになるのかというと、経営陣が投資感覚でいると、「投資効率がよい部門に投資すればよい」と考えてしまうからだ。すると、生産の平準化などに投資する意欲はわかない。必要であるとも考えない。そのため、トヨタの「TNGA」、マツダの「SKYACTIV TECHNOLOGY」などのような生産技術・設計技術などの技術開発はなされず、技術開発の目的がずれてしまう。

 ますます、スイング生産とは程遠くなり、「よいクルマが出来ても儲からない」となる。そうすると、「もっと儲かるクルマを作ろう」になり、個々の車種の魅力にこだわるようになる。さらに部品の共通化など設計企画段階からのサプライヤーの参加などが遅れ、生産拠点ごとやラインごとの販売量に左右されて平準化が進まなくなるのだ。

 グローバル経営者と呼ばれる経営者は、その多くが金融知識で実績を積み上げてきており、自動車産業のビジネスモデルを理解できていない。そして的外れな合理化を進め、コストダウン体制を認識できないこととなる。ホンダが歩んできた道筋だ。かつてソニーが犯した誤りでもある。

 自動車製造は、資金効率を大きく左右する。生産技術が低レベルだと、資金需要が大きく、投資効率が劇的に下がる。それが開発費などの削減をもたらし、生産技術の開発をさらに後回しとしてしまう。「資金効率は生産技術による」ことを肝に銘ずるべきである。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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