サムスンのAndroid XRグラス、11月12日予約開始―Warby Parkerは価格も発表へ

2026年11月7日 20:19

Warby Parkerは2026年11月12日、サムスンとGoogleが開発するAndroid XR搭載スマートグラス「Intelligent Eyewear」の予約受付を始める。価格と全コレクションも同日に公開し、顧客への配送は12月中旬に開始する予定だ。Gentle Monsterも、11月12日の先行予約開始を発表している。

■予約開始は11月12日、店頭体験は段階的に展開

Warby Parkerの共同創業者兼共同CEO、デイブ・ギルボア氏は11月5日の2026年第3四半期決算発表で、初のIntelligent Eyewearコレクションの予約開始日を明らかにした。決算説明会では、12月中旬から初期の顧客配送を始める計画も示した。

店頭デモの予約受付は11月5日に同社ウェブサイトで始まった。デモは11月9日の週に65店舗で開始し、翌週には360店超の店舗網全体へ広げる予定だ。価格やフレームを確認するだけでなく、実際の装着感や音声操作を試せる機会となる。

Gentle Monsterの日本法人IICOMBINED JAPANも11月6日の日本語発表で、同コレクションの先行予約を11月12日から公式オンラインストアで受け付けると案内した。11月13〜23日にはニューヨークで一般向けプレビューイベントを開く。

Warby Parkerは、この初回コレクションを複数年にわたる製品展開の出発点に位置付けている。同社は2027年を通じて生産と顧客への配送を拡大する方針で、今回の予約販売はその第一段階となる。

■画面を持たず、音声とカメラでGeminiを利用

今回先行するのは、レンズ内ディスプレイを持たず、音声で情報を伝えるタイプのグラスだ。GoogleはAndroid XRで音声型とディスプレイ型の両方を開発しており、まず音声型から市場に投入する。

サムスンによると、搭載チップはQualcommのSnapdragon AR1 Gen 1である。Qualcommが薄型スマートグラス向けに設計したプラットフォームで、写真・動画撮影、音声処理、接続機能を、省電力性や発熱管理と組み合わせて提供する。

Qualcommの製品資料では、同チップはデュアル画像信号プロセッサを備え、1200万画素の写真撮影や、片目当たり1280×1280ピクセルのディスプレイに対応する。無線接続はWi-Fi 7などをサポートし、Bluetooth Core 5.4に準拠する。これらはチップ側の対応能力であり、製品ごとの搭載機能や設定と分けて見る必要がある。

サムスンが公表した電池持ちは、1回の充電で最大9時間、ケースからの追加充電は最大7回だ。使用時間はネットワーク、利用する機能やアプリ、設定などで変わる。ディスプレイを持たない構成は、表示部品を増やさずに音声案内やカメラを使った支援を提供する設計となっている。

詳細仕様については、専門メディアSammyGuruが10月12日、1200万画素カメラ、毎秒30フレームの3K動画、オープンイヤー型スピーカー2基、マイク4基を搭載すると報じた。同報道による重量は標準レンズ装着時で約41グラム、充電ケースを含む総使用時間は最大72時間で、正式な製品仕様の公開時に確認したい項目だ。

■翻訳や道案内に対応、連携条件は機能ごとに確認

Googleが紹介している主な用途は、目の前の対象についてGeminiに質問すること、音声による道案内、通話やメッセージの操作、写真・動画の撮影、会話や文字の翻訳などだ。「Hey Google」と呼び掛けるか、フレーム側面に触れてGeminiを利用する。

例えば、看板やメニューを見ながら翻訳を聞いたり、歩いている方向に合わせた経路案内を受けたりできる。Googleは、写真を撮影して音声で編集を指示する機能や、見逃したメッセージの要約も紹介している。視覚情報をカメラで取り込み、AIの応答を音声で返すことが基本的な使い方になる。

GoogleはAndroidスマートフォンとiPhoneの両方に接続できると説明している。サムスンはGalaxyとの連携例として、ホワイトボードなどの内容を取り込んでSamsung Notesに整理する機能や、Galaxy Watchからの操作を挙げる。対応機能は接続端末、アプリ、地域、言語、ネットワーク環境などによって変わる。

SammyGuruによると、Galaxy固有の追加機能にはOne UI 9以降を搭載した対応Galaxy端末、時計連携にはWear OS 7以降のGalaxy Watchが必要になるという。一方、サムスンの7月の公式資料ではジェスチャー操作の対象をWatch9としている。購入時には、使いたい機能と所有する端末の組み合わせを照合することが重要だ。

■フレームと度付きレンズも購入判断の軸

サムスンは、Warby ParkerとGentle Monsterそれぞれのデザインを取り入れ、日常的に着用できる外観を重視している。電子機器としての性能に加え、顔への収まり方や好みのフレームを選べることが、この製品の特徴となる。

SammyGuruが報じたWarby ParkerのフレームはAlden、Reid、Wrenの3種類だ。AldenとWrenには濃い緑のPineと赤みのある茶色のSaddle、ReidにはJet Blackがあり、透明レンズとサングラスを合わせて10仕様になるという。

同報道では、Gentle Monsterはスクエア、丸みのある形、キャットアイ、細身のオーバルなど6形状・16仕様を用意する。色にはブラック、ライトグレー、淡いライラック、バーガンディー、クリームなどが含まれる。両ブランドを合わせると、報道されている初期ラインアップは9形状・26仕様となる。

Warby Parkerは決算説明会で、発売当初から度付きレンズを想定した設計だと説明し、サングラス用や調光レンズなどの選択肢にも言及した。Gentle Monsterについては、SammyGuruが米国では公式サイトで度付きレンズを販売し、韓国では地域の眼鏡店を通じて対応すると報じている。

度付きへの対応は、普段使いの眼鏡として選ぶうえで実用的な要素だ。米業界団体The Vision Councilの2025年第3四半期調査では、米国成人の80%超が何らかの視力矯正を利用すると回答している。対応度数やレンズの種類、追加費用まで含めて比べたい。

■Googleの資金支援と、発売後の事業拡大

製品開発ではサムスンがハードウェアを担い、GoogleがAndroid XRとGeminiを提供する。Warby ParkerとGentle Monsterは、フレームのデザインや眼鏡ブランドとしての販売・顧客対応を担う。技術と眼鏡の選び方を組み合わせる提携だ。

Warby Parkerが2025年に公表した契約では、Googleの資金拠出は最大1億5000万ドルとなる。製品開発と商用化の費用に最大7500万ドルを充て、一定の事業上の条件を満たした場合には、Warby Parkerの選択で最大7500万ドルの株式をGoogleに発行・売却できる。

Warby Parkerの2026年第2四半期売上高は2億3550万ドル(約372億円)で、前年同期比9.8%増だった。11月5日に更新した2026年通期見通しでは、売上高を9億6600万〜9億7600万ドル(約1530億~1540億円)とし、Intelligent Eyewearによる小規模な売上寄与と、関連する発売・運営費用を織り込んだ。

■Ray-Ban Metaとの比較は世代と条件をそろえる

比較対象となるRay-Ban Metaは、2026年9月に第3世代が発表された。Metaによると、1200万画素カメラと3K動画撮影に対応し、本体の電池持ちは最大9時間だ。Ray-Banの公式案内では、ケースからさらに最大50時間分を充電できるとしている。

搭載チップについては、The ShortcutがQualcommのXR部門責任者ジアド・アスガー氏への取材で、Ray-Ban Meta第3世代もSnapdragon AR1 Gen 1を採用すると伝えている。同じチップを使う製品でも、AIサービス、操作方法、連携するアプリや端末によって使い勝手は変わる。Android XR側はGemini、Ray-Ban Meta側はMeta AIが中心となる。

重量は、Digital Trendsが第3世代Wayfarerを約51.5グラムと掲載している。Android XRグラスの約41グラムという報道値と比べると軽量だが、フレームやレンズによって装着感は変わる。店頭では鼻や耳への負担、スピーカーの聞こえ方、操作のしやすさを確かめたい。

フレームの選択肢も両陣営の競争点だ。Metaの発表では、Ray-Ban Meta第3世代はWayfarer、Aviator、Zenaの3スタイルに、色とレンズを組み合わせた27仕様を用意する。Android XR側は2つの眼鏡ブランドを通じて、異なるデザインの方向性を打ち出している。

市場ではMetaが先行する。IDCの2026年第2四半期調査では、XRヘッドセットとグラスを合わせた出荷台数でMetaのシェアは68.7%、RayNeoは3.6%で、Alibaba Group、XREAL、Xiaomiが続く。Counterpoint Researchによると、ディスプレイを持たないAIグラスに限った2026年上期のMetaの出荷シェアは94%だった。

■撮影表示とAIへのデータ送信を確認

カメラ付きグラスでは、装着者だけでなく、周囲にいる人の情報も取り込まれる。購入時には、録画中の表示、撮影を停止する仕組み、画像や音声の送信先、保存期間、AI学習への利用設定を確認したい。職場で使う場合は、カメラやアプリを管理する方法も判断材料になる。

こうした問題を示す例が、ハーバード大学の学生アンフー・グエン氏とケイン・アーデイフィオ氏による「I-XRAY」だ。2024年秋に公開された実演では、Ray-Ban MetaからInstagramへ配信した映像を、顔画像の検索や公開データベースと組み合わせ、通行人の氏名、住所、電話番号などを探し出した。

ハーバード大学のLibrary Innovation Labによると、両氏は技術そのものを公開する代わりに、利用されたデータベースから自分の情報を削除する方法を案内した。市販の撮影機器と検索サービスを接続することで、個人情報を集約できる点を示す事例となっている。

米テキサス州のケン・パクストン司法長官は2026年5月20日、Metaのグラスに関する調査開始を発表した。撮影表示、外部委託先によるデータへのアクセス、報道されていた顔認識機能の計画などを問題として挙げている。ロイターによると、イングランドとウェールズの裁判所も、裁判所内の撮影制限を理由にMeta製スマートグラスの使用を禁じた。

Android XRグラスの対策について、サムスンのXR研究開発責任者ジェームズ・チョイ氏は、外向きと内向きのLEDで録画中を知らせ、外側のLEDが覆われると録画を停止すると説明している。グラスを外した場合も録画を自動停止する。同氏はまた、音声、動画、画面共有のデータをAIモデルの学習に利用しないとしている。

Metaも公式資料で、第2世代以降は撮影表示LEDが覆われたことを検知すると写真・動画撮影を停止すると説明している。データ保存については、GoogleのGemini Apps向け文書が、人による確認を経た会話などをアカウントから切り離して最長3年間保存すると定める。グラスの購入時には、利用する機能に適用されるデータ管理設定や保存条件を確認する必要がある。

■拡大市場で、価格と体験が競争を左右する

Newsbytes.PHが伝えたIDCの調査では、世界のXRデバイス出荷台数は2025年に前年比44.4%増となり、スマートグラスが成長をけん引した。韓国の電子新聞はOmdiaの予測として、AIグラスの出荷台数が2026年に1000万台を超え、2030年に年間3500万台へ伸びる見通しを報じている。

Smart Analytics Globalは2026年5月時点で、大きな供給制約や発売遅延がなく、価格が妥当であることを前提に、Google系AIグラスの2026年出荷台数が200万台を超え、世界2位になる可能性を予測した。一方、Warby Parkerは今回の決算説明会で、2027年に生産と販売を拡大する計画を示している。発売時の価格と初期の供給規模が、今後の普及を見極める材料になる。

ディスプレイ型も今後の開発テーマだ。9to5Googleは9月、韓国のThe Elecの報道を基に、サムスンがカラー表示を備えるグラス向けの小型ディスプレイ開発を要請し、2027年末ごろの投入を検討していると伝えた。まず登場する音声型では、Geminiの使いやすさ、眼鏡としての快適さ、対応端末やレンズの選択肢を、発表価格と併せて比べることになる。

元記事: Samsung’s Android XR Glasses Open Pre-Orders November 12 — What You Need to Know Before You Buy

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