Google Cloudに「Astra」などGPT-6の3モデル追加 既存の利用契約で利用可能に

2026年10月24日 00:00

Google Cloudは2026年10月21日、OpenAIのGPT-6モデル群をModel Gardenに追加し、一部の企業顧客向けに限定プレビューの提供を開始した。Gemini、Claude、GPTの利用料金をGoogle Cloudの請求書にまとめ、既存のクラウド利用コミットメントの消化に充てられる。

OpenAIによると、一般提供は今後数週間以内を予定し、利用希望の申し込みを受け付けている。企業にとっては調達と管理を簡素化する選択肢となる一方、利用基盤を集約する際には、費用と障害時の対応を合わせて検討する必要がある。

■GPT-6の3モデルを追加、Codexの接続にも対応

Google CloudでGeminiのプロダクト管理を担当するマイケル・ガーステンハーバー副社長が、公式ブログで提供開始を発表した。対象となるのは「GPT-6 Astra」「GPT-6.1 Sol」「GPT-6 Luna」の3モデルだ。

Google Cloudは、GPT-6 Astraを高度なコーディング、コンピューター操作、専門業務、科学研究向けと位置づける。GPT-6.1 Solについては、エージェント型コーディングやコンピューター操作、専門業務で、Astraに近い能力を低コストで提供すると説明している。

GPT-6 Lunaは、大量の日常業務を高速かつ低コストで処理するためのモデルだ。企業は処理内容に応じて、能力、応答速度、料金のバランスを比較し、使うモデルを選べる。

Model Gardenは、Gemini Enterprise Agent Platformでモデルを探索、評価、利用するためのカタログである。Google Cloudによると、自社製、他社製、オープンモデルを合わせて200超をそろえ、Gemini、Claude、GPTという主要なクローズドソースモデル群を一つの基盤で提供する唯一のハイパースケールクラウド事業者となる。

限定プレビューの対象顧客は、APIに加え、手元のCodex CLIやデスクトップアプリのワークフローをGoogle Cloudの推論基盤へ接続できる。OpenAIは、Google AntigravityとGeminiエージェントへのモデル導入も今後予定している。

■Marketplace経由で購入、既存の利用コミットメントを活用

OpenAIモデルの取引はGoogle Cloud Marketplaceを通じて行われ、料金はGoogle Cloudの請求書に集約される。Google Cloudによると、購入額は既存のクラウド利用コミットメントの消化に充てられ、モデル提供元を横断するFlexible Savings Plans(FSP)の対象にも算入される。

利用コミットメントは、一定のクラウド利用額をあらかじめ約束する契約のことだ。すでにGoogle Cloudへの支出を契約している企業は、その予算枠をOpenAIモデルの購入にも振り向けられる。

OpenAIまたはAzure、Anthropic、Googleから個別にAPIを調達している企業にとっては、請求処理や支出管理をまとめられる点が利点となる。Google Cloud側にも、顧客が競合他社のモデルを選んだ場合に、既存の取引関係の中でその需要を取り込めるという意味がある。

OpenAIの共同創業者兼社長グレッグ・ブロックマンは、今回の提携を、顧客がすでに開発に使っている環境で同社の高性能モデルとCodexを利用できるようにする重要な一歩と位置づけた。モデルの性能に加え、企業が普段使う開発・調達環境へのアクセスも競争の要素となっている。

■料金は直接APIの参照値と区別して比較

2026年10月22日時点の両社の発表資料には、Google Cloud経由で利用する3モデルの具体的な単価は示されていない。費用を試算する際には、OpenAIが直接提供するAPIの価格と、Google Cloudで適用される見積額や契約条件を区別する必要がある。

同日時点のOpenAI公式料金では、通常処理の短いコンテキスト向け標準単価は、100万トークン当たりGPT-6 Astraが入力10ドル(約1570円)、出力50ドル(約7850円)である。GPT-6.1 Solは入力2ドル(約314円)、出力10ドル(約1570円)、GPT-6 Lunaは入力0.10ドル(約16円)、出力0.50ドル(約79円)となる。トークンは、モデルが文章などを処理する際の単位だ。

この条件では、AstraとLunaの出力単価には100倍の差がある。OpenAIはAstraを複雑な推論やコーディング、研究などに、Lunaを対象を絞った大量処理に位置づけており、すべての業務で同じモデルを使うか、処理ごとに使い分けるかによって支出は変わる。

例えば、複雑なコード生成や多段階の分析では回答品質を重視し、コンテンツ分類や問い合わせの振り分けでは、必要な品質を満たすモデルの処理速度と費用を比べる方法がある。Solについても、OpenAIが説明するAstraに近い能力が自社業務でどの程度得られるかを評価することが、選定の手掛かりとなる。

直接APIでは、入力が27万2000トークンを超えるリクエストに長いコンテキスト向けの料金が適用され、キャッシュや処理モードによっても単価が変わる。Google Cloudへの集約を検討する企業は、利用量、モデルの組み合わせ、既存契約への算入条件を含め、同じ業務を処理する総費用で比較することが重要だ。

■Google Cloud上の推論基盤とデータ保護

Model Gardenには、利用者がモデルの実行設備を管理せず、APIから利用するModel-as-a-Service(MaaS)の仕組みがある。今回のOpenAIモデルについてGoogle Cloudは、専用のGoogle Cloudインフラで稼働し、分離・強化されたゲートウェイを通じて問い合わせを処理すると説明している。

同社は、顧客のプロンプト、コンテキスト、出力を指定されたデータ境界内に保持し、基盤モデルの学習に使用しないとしている。モデルやエージェントとのやり取りには認証されたIDを用い、統合された監査ログとVPC Service Controlsによる保護を提供する。

VPC Service Controlsは、クラウドサービスの周囲にサービス境界を設け、アクセスやデータの移動を制御して情報流出のリスクを抑える仕組みだ。Google Cloudの技術文書では、プライベート接続にはPrivate Google Accessなどを組み合わせ、DNSや経路も設定する構成を示している。

Google Cloudは、データを保持しないZero Data Retention(ZDR)オプションとConfidential Computeへの対応を、今後の提供予定としている。導入時には、利用するモデルと提供段階に応じて、データの保存・処理場所、保持条件、使える保護機能を確認することになる。

■複数クラウドへの展開を支えた契約変更

OpenAIは、AzureとAWSに続き、Google CloudでもGPT-6の提供を進める。長年の提携先であるMicrosoftとの関係は、その間に段階的に変化してきた。英国の競争・市場庁が2025年3月に公表した資料では、MicrosoftのOpenAIへの投資額は130億ドル(約2兆400億円)超とされていた。

2026年2月27日、OpenAIとAmazonは戦略的提携を発表し、AIエージェントを構築・運用する「OpenAI Frontier」の独占的なサードパーティークラウド配信事業者にAWSを指定した。同時にAmazonは、まず150億ドル(約2兆3600億円)、その後一定条件の達成に応じて350億ドル(約5兆5000億円)を追加する、総額500億ドル(約7兆8500億円)のOpenAIへの出資計画を公表した。

同日、OpenAIとMicrosoftは、モデルを呼び出すステートレスAPIについて、Azureの独占的な提供関係が続くとの共同声明を出した。3月18日にはロイターがFinancial Timesの報道を引用し、Amazonとの契約を巡ってMicrosoftが法的措置を検討していると伝えた。

4月27日に発表された改定契約では、OpenAIがあらゆるクラウド事業者を通じて全製品を提供できるようになった。Microsoftが2032年まで保有するモデルと製品の知的財産ライセンスは非独占となり、MicrosoftからOpenAIへの収益分配は終了した。OpenAIからMicrosoftへの収益分配は、総額の上限を設けたうえで2030年まで続く。

Microsoftは引き続きOpenAIの主要クラウドパートナーであり、必要な機能をMicrosoftが提供できない、または提供を選ばない場合を除き、OpenAI製品はAzureで先行提供される。今回のGoogle Cloudとの提携は、こうした契約条件の下で販売経路を広げる動きとなる。

■Geminiとの競争と、企業が判断すべき集約の範囲

GoogleはGeminiを開発する一方、クラウド事業では競合するモデルも提供する。The Decoderは今回の発表について、外部顧客への計算資源の提供と、自社Geminiチームの開発需要との間に資源配分上の緊張があると指摘した。

同媒体は、こうした資源配分の問題が、研究者ノアム・シャジーアの退社にも影響したと報じている。シャジーアは、2017年にトランスフォーマーを提案した論文「Attention Is All You Need」の共著者だ。

Axiosによると、シャジーアは2024年、GoogleがCharacter.AIから技術と人材を取り込んだ27億ドル(約4240億円)規模の契約に伴ってGoogleへ復帰し、2026年6月にOpenAIへの移籍を発表した。自社モデルの開発と他社モデルの提供を並行するGoogleにとって、計算資源と人材の確保は継続的な課題となる。

企業側では、複数のモデルを使い分けることと、処理を複数のクラウドへ分散することを、それぞれ設計する必要がある。Gemini、Claude、GPTをGoogle Cloudに集約すればモデル選択の幅を保ちながら管理をまとめられるが、共通して利用する認証、ネットワーク、サービスの障害は、複数モデルを使う業務に影響し得る。

すでにGoogle Cloudを主な基盤とする企業は、既存の利用コミットメントと管理体制を活用する価値を評価しやすい。一方、AWSやAzureなどに処理を分散している企業は、請求処理の削減効果に加え、接続や運用の変更費用、障害時の代替経路、他社へ移行する際の負担を比べる必要がある。

限定プレビューへの申し込みは、両社の案内フォームで受け付けている。導入範囲を決めるうえでは、今後数週間以内に予定される一般提供と、その際の料金・利用条件が判断材料となる。

元記事: Google Cloud Unifies GPT-6, Claude, and Gemini on Single Invoice for Enterprise

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