ヘッジファンドの株式空売り、5年ぶり高水準に迫る―ゴールドマンが踏み上げ警戒

2026年10月23日 10:47

 ヘッジファンドが株式の空売りを積み増し、弱気のポジションが過去5年間でほぼ最高の水準に達している。ゴールドマン・サックスは、相場が反発した場合、空売りの買い戻しが連鎖して株価上昇を加速させる「ショートスクイーズ(踏み上げ)」のリスクを指摘している。

 ブルームバーグが10月22日、ゴールドマンのデータを基に報じた。10月の世界株式の取引では、空売りが買い建ての約5倍に上った。ゴールドマンのプライムブローカレッジ部門が把握する顧客のショート・レバレッジは、過去5年間の99パーセンタイルに位置する。空売りへの投資比率が、同期間のほぼすべての時点を上回る水準にあることを示す。

 下落に備えたポジションの積み上がりは、相場反転時の買い需要にもつながる。株価が予想に反して上昇すれば、損失を抑えるために空売りした株式を買い戻す必要が生じるためだ。

■売り買いの差は縮小、総投資規模は拡大

 ゴールドマンのデータでは、企業の業績や財務などを分析して売り買いするファンダメンタルズ型の株式ロング・ショートファンドで、ネット・レバレッジが約3年ぶりの低水準にある一方、グロス・レバレッジは上昇した。

 ネット・レバレッジは買い持ちと売り持ちの投資比率の差、グロス・レバレッジは両者の合計を示す。相場全体の上昇・下落に左右される度合いを抑えながらも、売り買いを合わせた投資規模は縮小していない構図だ。

 こうした守りの姿勢の背景には、ここ数週間の運用成績の悪化がある。特に人工知能(AI)関連株に投資するファンドへの圧力が強まっている。

 ロイター通信がゴールドマンの顧客向け資料を基に報じたところによると、世界のファンダメンタルズ型ロング・ショートファンドは10月15日までの週に2.9%の損失を出し、同期間のすべての取引日でマイナスとなった。アジア株を中心に銘柄を選別するファンドは、10月前半に6.8%下落した。

■金利とエネルギー価格の上昇が重荷

 ゴールドマンは10月上旬にも、ヘッジファンドの慎重な投資姿勢を指摘していた。

 同社の欧州株式フランチャイズ・セールスおよびヘッジファンド・カバレッジ責任者、マーク・ウィルソン氏は、10月7日に収録されたインタビューで、ヘッジファンドの株式のネット投資比率が歴史的な低水準にあると説明。金利上昇やその他の不確実性を受け、投資家が株式への投資比率とリスクを見直していると述べた。

 金利上昇は株式の評価倍率を押し下げる要因となる。エネルギー価格の上昇も企業の利益率を圧迫し、インフレ見通しを複雑にする。ウィルソン氏は、足元の市場調整を説明する中で、金利とエネルギー価格の両方を挙げた。

 空売りは通常、借りた株式を売却し、その後、より安い価格で買い戻すことで利益を狙う取引だ。売値と買い戻し価格の差額から費用を差し引いた分が利益となる。反対に株価が上昇すれば、買い戻しに必要な金額が増える。米証券取引委員会(SEC)は、株価には上限がないため、空売りの損失は理論上、無限大になり得ると説明している。

 株価上昇を受けて一部の投資家が買い戻しに動くと、その買いがさらに株価を押し上げ、別の投資家にも買い戻しを迫る場合がある。ただし、空売りの積み上がりだけで、相場上昇がいつ始まるかは判断できない。空売りには、保有株式の値下がりリスクを抑えるヘッジとしての役割もある。

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