Intel 14AとTSMC A14の性能差は「5%以内」か 公表値で見る比較の限界
2026年9月30日 00:36
Intel Foundry幹部が、次世代製造プロセス「Intel 14A」とTSMCの「A14」の性能差は「5%以内」になるとの見方を投資銀行KeyBancに示したと報じられた。両社が公表する性能目標には違いがあるが、それぞれ比較対象とする旧世代のプロセスも異なる。2028年の量産に向け、設計上の性能に加えて電力効率、密度、外部顧客の獲得が焦点となる。
■「5%以内」と両社の性能目標
発言したと報じられたのは、Intel Foundryの責任者Naga Chandrasekaran氏だ。「5%以内」という表現は差の大きさを示す一方、どちらが先行するかを明らかにしていない。
Intelは14Aについて、18Aと比べて同じ消費電力で性能が15~20%向上するか、同じ性能で消費電力が25~35%下がるとしている。いずれも同社が2025年4月に行った内部分析に基づく目標値で、実際の結果は設計によって変わり得る。
TSMCはA14について、N2と比べて同じ消費電力で速度が10~15%向上するか、同じ速度で消費電力が25~30%下がるとしている。Intelの15~20%とTSMCの10~15%は、それぞれ18AとN2を基準にした数値だ。この伸び率だけを差し引いて、14AがA14より速いとは判断できない。
■製品の最大クロックからは優劣を測れない
Intel 18A製のCore Ultra X9 388Hは最大ターボ周波数5.10GHz、AMDのEPYC 9586Fは最大ブースト周波数5.0GHzを公表している。しかし、異なる製品の最大クロックは、製造プロセスだけで決まる数値ではない。
動作周波数にはCPUの設計、電圧設定、消費電力の上限、冷却条件などが影響する。旧世代の製品で公表された最大クロックに次世代プロセスの性能向上率を掛けても、14AとA14で製造する製品の周波数は予測できない。
そのため、報じられた「5%以内」という見方と各社の性能目標を比較する際には、測定条件をそろえる必要がある。両社の次世代プロセスを使った製品が現れる前に、公開仕様だけで性能順位を確定することは難しい。
■露光と電力供給で異なる設計
Intelは14Aに、高開口数の極端紫外線露光技術「High-NA EUV」を採用する計画だ。ASMLの露光装置「TWINSCAN EXE:5200B」は開口数が0.55で、従来型EUV装置の0.33より微細なパターンを一度の露光で形成できる。同装置の価格は約3億8000万ドル(約597億円、1ドル=157円換算)と報じられている。
IntelとASMLによると、2026年9月時点でHigh-NA EUVによる処理は累計100万枚超のウエハーに達した。この数には装置の認証、研究開発、生産が含まれ、Intel 18Aを使う一部のPanther Lake製品でも特定の層に採用されている。Intelは以前、ある層の加工工程を40超から10未満に減らした事例も示した。
電力供給では、Intel 14Aが18Aの裏面電力供給技術「PowerVia」を発展させた「PowerDirect」を採用する。TSMCはA14で標準セルの設計自由度を高める「NanoFlex Pro」を採用し、裏面電力供給は別のプロセスであるA16などに用いる。こうした技術の違いも、完成したチップの性能や製造コストと一対一には対応しない。
■密度と量産時期も比較の対象
密度についてIntelは、14Aで18A比最大30%のチップ密度向上を見込む。一方、TSMCはA14でN2比20%超のロジック密度向上を示している。両社は異なる基準と指標を使っており、この数値だけでどちらが高密度かは決められない。
TSMCは2026年7月、A14の製品に近い内部試験用チップで、目標とするデバイス性能と256メガビットSRAMの歩留まりがそれぞれ約90%に近づいたと説明した。同社は2027年にリスク生産を始め、2028年に量産する予定だ。台中ではA14向けのFab 25の建設が進んでいる。
Intelも社内製品向けに2027年後半の14Aリスク生産、2028年の量産拡大を見込む。同社はすでに主要顧客へプロセス設計キット(PDK)の初期版を提供しており、バージョン0.9を2026年10月に公開する予定と報じられている。
■Intel Foundryの課題は外部顧客の獲得
Intel Foundryの2026年第2四半期の売上高は約58億ドル(約9106億円、1ドル=157円換算)、営業損失は約21億ドル(約3297億円)だった。売上高は前年同期比31%増えたが、約55億ドルはIntel社内の部門間取引によるものだ。
外部売上高は2億9300万ドル(約460億円)で、その前年同期からの増加には、2025年に連結対象から外れたAlteraが外部顧客として計上されるようになった影響が大きい。同じ四半期のTSMCの売上高は402億ドル(約6兆3114億円)だったが、事業構造の異なる両社の数字をそのままファウンドリ事業の競争力として比較することはできない。
Intelは、14Aの製造規模と投資額を、社内需要に加えて獲得できる外部顧客の確約に応じて判断する方針だ。2026年後半から2027年前半にかけて顧客が14Aの採用を判断し始めると見込んでいる。性能差をめぐる見方が報じられた今、量産までに設計目標を製品と受注につなげられるかが問われる。
元記事: Intel 14A Spec Math Points to Performance Lead Over TSMC A14; Investors Hear Parity