FANG+に逆風? AI開発の減速論と日本の半導体株の動き

2026年9月29日 23:46

 AI開発の速度を落とすべきだという減速論が浮上した。一方、FANG+を構成する企業では売上拡大や大型投資の発表が続き、日本の半導体株も下落後に持ち直した。減速論が関連企業の事業を冷やしている兆候は、現時点で確認できない。

 米国の有力10社からなる株価指数FANG+には、エヌビディアやブロードコム、マイクロソフトなどが含まれる。同指数に連動する投信「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、SBI証券の販売金額ランキングで順位を落とした。14〜18日の週は10位で、前週の5位から後退している。

■開発速度を落として安全対策の時間を確保

 生成AI「Claude」を開発する米AnthropicのアモデイCEOは12日、AIの能力向上の速度を落とすよう訴えた。開発が急速に進み、安全対策が追いつかなくなることを懸念しているためだ。

 具体策として、外部の専門家が開発現場を継続的に評価する仕組みなどを提案。しかし、AIの学習や技術進歩を止める趣旨ではないと説明している。安全性を確かめる時間を確保しながら、開発を進めようという主張だ。

 Anthropicは未上場企業だが、同社のようなAI開発企業は大量の半導体やクラウドを利用する。開発方針の変化は、FANG+を構成する半導体・クラウド企業の事業にも影響し得る。

■AI半導体の売上拡大と大型投資が続く

 企業の発表を見ると、AIを支える基盤の拡充は続いている。

 ブロードコムが2日に発表した四半期決算では、AI半導体の売上高が前年同期比221%増の167億ドルとなった。顧客向けに設計するAI半導体や、データをやり取りするネットワーク製品の需要が伸びた。次の四半期には217億ドルを見込み、さらに売上を増やす見通しだ。

 ブロードコムの決算はアモデイ氏の論考より前の発表だが、論考の公表後の23日にも大型投資の発表があった。マイクロソフトは中東のクラウド・AI基盤などに、2030年までに設備投資と運営費で100億ドル超を投じる計画を公表した。

 安全対策のために開発速度を調整する議論と、AIを利用するための設備・サービスを整える動きが並行している。

■日本の半導体株は下落後に持ち直す

 日本では、半導体検査装置のアドバンテストと半導体製造装置の東京エレクトロンが、14日の下落から持ち直した。

 14日は前営業日比でそれぞれ2.02%、1.03%下落したが、18日の終値は11日比で1.04%、3.21%高となった。28日には上昇率が6.34%、9.44%に広がり、同期間の日経平均の2.92%を両社とも上回った。

 販売順位や株価は複数の要因で動くため、今回の変化をアモデイ氏の発言と直接結び付けることはできない。

 減速論はFANG+に逆風なのか。少なくとも今回確認した企業の発表では、AI関連の売上拡大や投資計画が続き、日本の関連株でも下落は長引かなかった。現時点で、減速論が関連企業の事業を冷やしていると判断できる材料はそろっていない。(記事:中村葵・記事一覧を見る)

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