NTT株が6月安値から一時26%上昇 KDDI・ソフトバンクと比べた強み
2026年9月27日 00:21
NTT(9432)の株価が上昇している。18日には一時180.1円まで上がり、6月23日の年初来安値142.6円から約3カ月で約26%上昇した。同じ通信大手のKDDI(9433)、ソフトバンク(9434)と比べながら、NTTの強みと株価上昇の背景を整理する。
楽天証券では、通信大手3社がNISAでも人気を集めている。NISA口座(成長投資枠)の国内株式保有残高ランキング(2026年8月集計)で、3社はそろってトップ10に入った。NTTが1位、KDDIが7位、ソフトバンクが9位だ。
■増収増益に増配・自社株買い 出遅れ株を買う動きも
NTTが8月に発表した2026年度第1四半期決算は増収増益だった。2026年度は16期連続増配となる年間5.4円の配当を予定している。5月には2,000億円を上限とする自社株買いを決め、8月末までに約611億円を買い付けた。
ただ、株価の上昇を決算と株主還元だけで説明することはできない。8月に年初来高値を更新した際には、値上がりが遅れていた銘柄を買う動きが指摘されていた。割安で配当利回りの高い銘柄を見直す動きも出ていた。
■少額で買えて世界規模の事業基盤も持つ
直近1カ月の平均株価で100株の購入額を概算すると、NTTは約1万7,000円だ。ソフトバンクは約2万4,000円、KDDIは約30万円となる。KDDIの株主優待は200株以上を1年以上保有するのが条件で、優待を受けるには約60万円が必要だ。
配当利回りは同じ平均株価を基準にすると、NTTが約3.1%、KDDIが約2.8%、ソフトバンクが約3.6%。NTTは16期連続増配を予定する一方、KDDIは25期連続増配を予定しており、増配の実績ではKDDIが上回る。
NTTの強みは少額から買えることだけではない。データセンター事業は、中国事業者を除くと世界3位の規模を持つ。子会社のNTTデータグループは70以上の国・地域で事業を展開し、2025年度のITサービス売上規模では世界5位に入った。
ドコモの金融事業では、2030年度の収益を2025年度の約2倍となる1兆2,000億円へ伸ばす計画だ。NTTは次世代通信基盤「IOWN」にも力を入れる。中核となる光通信網は、光を活用して大容量のデータを高速・低消費電力で送る仕組みだ。2027年度までに全国の県庁所在地へ広げる計画となっている。
■3社で違う成長の柱 NTTは利益成長が課題
KDDIは通信を土台に、金融やエネルギー、Ponta、ローソンなど生活に近い分野へ事業を広げている。成長分野では営業利益(調整後)を年平均10%以上に伸ばす方針だ。
ソフトバンクはAIデータセンターやAI向けの計算サービスなどを新たな成長源とする。2030年度にはクラウド・AIの売上高と法人向け事業の利益を、2025年度比で倍増させる計画だ。
一方、NTTの2026年度の営業利益予想は前年度比でほぼ横ばいで、当期利益は減益を見込む。NTTは少額で買いやすく、世界規模のIT・データセンター事業を持ち、増配や自社株買いにも積極的だ。AIや金融などへの投資を利益の伸びにつなげられるかが、今後の焦点となる。(記事:中村葵・記事一覧を見る)