日本・欧州株に投資機会、業績予想の上方修正が追い風 モルガン・スタンレー

2026年9月25日 11:01

 米国株以外への分散を検討する投資家にとって、日本と欧州の企業業績の改善が新たな投資機会を生み出している。欧州では銀行や防衛関連企業が相場を支え、投資対象の広がりが鮮明になっている。

 モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントでシニア・ポートフォリオマネジャーを務めるアンドリュー・スリモン氏は、CNBCの番組「スクワーク・ボックス」で、日本企業の利益予想の上方修正が、2026年の日本株上昇を支える主要因になっているとの見方を示した。欧州企業も業績を伸ばしているという。

 スリモン氏は「利益予想を上方修正し始める企業が数多く出てきている。それが今年、日本の株式市場が好調に推移している最大の理由だと考えている」と述べた。

 欧州市場も企業業績の改善による恩恵を受けている。スリモン氏は、なかでも銀行株と防衛関連株を有望分野として挙げた。

 LSEGのI/B/E/Sデータによると、STOXX欧州600指数を構成する企業の2026年第2四半期の利益は前年同期比24.1%増加した。四半期ベースでは2022年第3四半期以来の高い伸びとなった。

 STOXX欧州600指数の8月26日終値は656.41だった。同日時点のロイター調査では、2026年末の予想中央値は過去最高となる670で、実現すれば年初来上昇率が13%を超える水準と見込まれていた。

 欧州の銀行は長年にわたる事業再編と収益力の改善を経て、欧州株式市場のなかでも堅調な分野となっている。

 欧州中央銀行(ECB)のボリス・ヴイチッチ副総裁は9月、欧州連合(EU)の銀行は流動性、資本力、収益性、効率性の面で米国の銀行と比べても遜色がないとロイター通信に語った。一方、トレーディングや取引後処理などの分野では米国勢に後れを取っており、競争力を高めるには事業規模の拡大と、より厚みのある資本市場が必要だと指摘した。

 ユーロ圏財務相会合のキリアコス・ピエラカキス議長は、米国の大手銀行による情報技術への投資額は、総資産比で欧州の銀行の2.5倍を超えると説明した。EUでは、資本市場の統合を進めるとともに、国境を越えた銀行再編を妨げる障壁を取り除く取り組みが議論されている。

 防衛関連株にも投資家の関心が集まっている。ロシアによるウクライナ侵攻や欧州全域の安全保障上の懸念を受け、各国政府が国防費を増やしているためである。

 スリモン氏は、防衛関連株が欧州市場の有力分野の一つになっているとしつつ、業績改善と株価上昇は防衛産業だけに限られていないと強調した。

 一方、最近の相場は、地政学情勢が欧州株に急速な影響を及ぼす可能性も示している。STOXX欧州600指数は9月15日、前日比0.3%安の634.18で取引を終え、6月12日以来約3カ月ぶりの安値を付けた。

 原油価格と国債利回りの上昇がインフレ懸念を強め、投資家のリスク回避姿勢につながった。湾岸地域やロシア・ウクライナ戦争地域のエネルギーインフラに対する攻撃も供給不安を高め、エネルギー市場への圧力となった。

 日本では企業業績が改善する一方、日本銀行による金利の引き上げが進んでいる。日銀は9月18日の金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利の誘導目標を従来の1.00%程度から1.25%程度へ引き上げることを7対2の賛成多数で決めた。新たな金融市場調節方針は9月24日から適用され、政策金利は約31年ぶりの高水準となった。

 利上げは事前に広く予想されていたが、2人の政策委員が反対したことなどから、外国為替市場では追加利上げの継続性に対する見方が後退し、円が売られた。ドルは一時、前日比1.3%高の1ドル=158円05銭と、約2週間ぶりの高値を付けた。

 スリモン氏は、日本株や欧州株が米国株と比べて割安に見えても、企業業績が投資家の期待に届かず、株価が伸び悩む局面が過去には多かったと指摘した。2026年は企業の利益予想の上方修正に株価が明確に反応している点が、以前との大きな違いだという。

 同氏はCNBCに対し、「企業の利益予想の修正によって明らかになった基礎的な成長を、株価が反映している」と述べた。

 スリモン氏は米国株についても前向きな見方を維持している。株価上昇が一部の大型企業に集中し、市場の物色範囲が狭いことへの懸念はあるものの、企業の利益予想が改善を続けている限り、市場の裾野の狭さが必ずしも相場の弱さを意味するわけではないとの見方を示した。

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