テスラ、新型ロードスターを10月1日に発表へ SpaceX試験施設でスラスター実演の可能性
2026年9月21日 18:49
テスラは2026年10月1日、長期にわたり開発が続いてきた新型ロードスターを米テキサス州ウェーコで発表する。日本時間では10月2日午前の開催となる見通しだ。SpaceXと共同開発した冷ガススラスター搭載の限定モデルが実演される可能性も報じられているが、生産時期や最終仕様は明らかになっていない。
■10月1日に新型ロードスターを発表
テスラは9月12日、公式Xアカウントに「Go for launch」と記した画像を投稿し、イーロン・マスクCEOも「New Tesla Roadster Unveil 10.01」と発表日を明らかにした。予約者に送られた招待状では、会場がテキサス州ウェーコとされている。
新型ロードスターは2017年11月、電動トラック「Tesla Semi」の発表イベントで試作車が初公開された。当時、納車開始は2020年と説明されていたが、その後、開発や発表の予定が繰り返し延期されてきた。
今回の催しは新型車の発表イベントであり、生産開始や納車を意味するものではない。ロイターによると、開発計画はModel S Plaidの部品を利用する案から、カーボンファイバーを用いた新設計のハイパーカーへ変更されたと報じられている。
■SpaceX施設上空に一時的飛行制限
米連邦航空局(FAA)は、ウェーコ近郊のマクレガーにあるSpaceX試験施設周辺に、一時的飛行制限を設定した。対象は施設周辺の半径1.5海里、高度1万フィートまでで、期間は協定世界時の9月18日正午から10月2日正午までとなっている。
FAAの通知は、この制限の理由を「地上での危険を伴う高エネルギー試験」とし、SpaceXが作業を担当すると記載している。通知自体はテスラやロードスターに言及していないが、発表日を含む期間と場所が、報じられている実演計画と一致している。
ロイターが伝えたThe Informationの報道では、発表イベントにSpaceXと共同開発した冷ガススラスター搭載の限定モデルの実演が含まれる可能性があり、会場にはマクレガーのSpaceX試験施設が想定されていた。飛行制限の設定により、同施設で何らかの高エネルギー試験が予定されていることは確認できるものの、ロードスター実演との関係は正式発表を待つ必要がある。
■冷ガススラスターが変える加速の仕組み
通常の自動車は、モーターやエンジンが生み出した駆動力をタイヤから路面へ伝えて加速する。このため、実際の加速性能は出力だけでなく、タイヤと路面の摩擦、路面状態、荷重移動などにも左右される。
冷ガススラスターは、高圧ガスをノズルから放出し、その反作用で推力を得る装置である。燃焼を利用せず、車輪を介さずに車体へ推力を加えられるため、駆動輪のグリップとは別の経路で加速を補助できる。ロードスター向けシステムの内部コードネームは「A71」と報じられている。
一方、使用するガス、圧力、ノズルの配置、圧力容器の容量、1回の充填で可能な噴射回数といった具体的な仕様は公表されていない。報道では後部座席の空間に圧力容器などを搭載する構成が伝えられているが、10月1日に示される車両が量産仕様と同じ構成になるかは不明だ。
テスラはSpaceXパッケージ装着車について、0~60mph加速1.1秒という目標を以前から掲げてきた。単純計算では、静止状態から60mphまで1.1秒で到達するには平均で重力加速度の約2.5倍に相当する加速が必要になる。ただし、測定時のロールアウトの扱いなど条件が不明であり、量産車による第三者試験で確認された性能ではない。
■2017年以降に変化した競争環境
テスラが2017年に示したロードスターの目標値は、0~60mph加速1.9秒、最高速度250mph超、航続距離620マイルだった。これらは2017年の試作車について公表された値であり、10月に発表される車両の最終仕様として確定したものではない。
その後、クロアチアのリマックは電動ハイパーカー「Nevera」で23件の加速・制動記録を達成したと発表している。ドイツのAutomotive Testing Papenburgで行われた試験では、公道走行可能なMichelin Pilot Sport Cup 2 Rを装着し、1フィートのロールアウトを含む条件で0~60mph加速1.74秒を記録した。計測結果はRaceLogicとDewesoftが検証した。
こうした車両が登場したことで、2017年当時のロードスターが掲げた1.9秒という加速目標だけでは、以前ほど突出した位置付けにはならない。SpaceXとの共同開発によるスラスターは、既存のEVが競ってきたモーター出力やタイヤグリップの延長ではなく、車体へ直接推力を加える別の仕組みとして注目される。
■予約受付を再開、価格と生産時期は未定
テスラは9月、米国でロードスターの予約受付を再開した。予約には最初にクレジットカードで5000ドル(約78万5000円、1ドル=157円換算)を支払い、その後10日以内に4万5000ドル(約706万5000円)を送金する必要がある。合計は5万ドル(約785万円)で、テスラは購入契約を締結する前の予約金を返金可能としている。
2017年の発表時には、標準モデルの想定価格が20万ドル、Founders Seriesが25万ドルとされていた。しかし、現在の予約ページは完成車の確定価格や納車時期を示しておらず、2017年の価格を新型車の現行価格として扱うことはできない。
テスラとSpaceXのエンジニアが2026年4月下旬にスラスターシステムの社内実演を行ったことや、生産が2027年または2028年になる可能性も報じられている。ただし、テスラは10月1日の発表を前に、確定した生産開始時期や顧客への納車日を公表していない。
■発表で確認すべき点
10月1日のイベントでは、2017年の試作車から変更された車体デザインに加え、標準モデルとスラスター搭載モデルの関係が焦点となる。スラスター搭載車が販売を前提とした仕様なのか、技術実演用の車両なのかも重要な確認点だ。
スラスターの推進剤、圧力容器の構成、充填方法、噴射時間、繰り返し使用できる回数、安全対策などは、現時点で確認できていない。公道走行の認証を取得する計画があるかどうかも、正式には明らかにされていない。
約9年前に発表されたロードスターが、どの程度まで量産車に近づいたのかは、発表後も生産計画と最終仕様を見極める必要がある。今回の実演で高い性能が示されたとしても、予約者にとって最も重要なのは、確定した価格、製造開始時期、納車予定が提示されるかどうかとなる。
元記事: Tesla Roadster Lands Oct 1 Reveal: SpaceX Thrusters Bypass Tire-Grip Physics