米ゴールドマン「利益バブル懸念は行き過ぎ」 S&P500は1年後8700を予想
2026年9月20日 05:53
AI関連投資などによって米企業の利益が基礎的な収益力を上回るペースで増え、この高い利益水準を長期的に維持できないのではないかとの懸念が市場で浮上している。これに対し、ゴールドマン・サックスのストラテジストは、利益成長は今後鈍化するものの、堅調な米経済とAI投資に支えられ、利益が急激に落ち込む可能性は低いとの見方を示した。
Ben Snider氏を中心とするゴールドマンのストラテジストは、S&P500構成企業の1株当たり利益が2027年、2028年ともに前年比11%増加すると見込む。予想利益は2027年が415ドル、2028年が460ドルである。
市場予想では、利益成長率は2027年に19%、2028年に17%と見込まれており、ゴールドマンの予想はこれより慎重である。AI関連の設備投資による利益押し上げ効果は、設備投資額そのものが増え続けても、2027年から弱まり始めるとみている。
ゴールドマンによると、S&P500構成企業の利益は2026年第2四半期に前年同期比51%増加し、直近4四半期では26%増となった。AI投資の拡大に加え、半導体企業の高い利益率や、大手ハイテク企業が保有する株式の評価益が利益を押し上げた。
ゴールドマンは、こうした要因の寄与が今後縮小しても、企業利益が崩壊するのではなく、成長率が通常の水準へ徐々に戻るとみている。Ben Snider氏は、市場価格には利益成長が続くとの見方が織り込まれている一方、現在の高い収益性が持続するかについて健全な懐疑も反映されていると指摘した。
同社は、S&P500が今後12カ月で約14%上昇し、8700に達すると予想する。上昇の主因は株価収益率(PER)の拡大ではなく、企業利益の増加になるとの見方である。
一方、ヤルデニ・リサーチの社長兼チーフ投資ストラテジスト、Ed Yardeni氏は、2026年末のS&P500予想を8400から7900へ引き下げた。8月には、好調な企業利益を理由に予想を8250から8400へ引き上げていた。
Ed Yardeni氏は顧客向けリポートで、「債券利回りが最近上昇したことを踏まえ、年末時点のS&P500の予想PERを19.8倍から18.6倍へ引き下げる。これにより年末目標も8400から7900へ引き下げる」と説明した。
同氏は、従来の8400という目標については、達成時期を2027年半ばへ先送りした。2027年の1株当たり利益予想は425ドルに据え置いている。米経済は「今後10年間の終わりまで景気後退を回避しながら成長する」とし、2030年末のS&P500目標である1万も維持した。
バンク・オブ・アメリカ証券の米国株・クオンツ戦略責任者、Savita Subramanian氏も、米国株は短期的な下落局面を迎える可能性があると警戒している。
Savita Subramanian氏によると、S&P500は2026年に入ってから5%以上下落する局面を1回しか経験していない。通常は年に約3回発生するという。10%以上の下落を指す調整局面も、関税政策への懸念で市場が動揺した2025年春以来、発生していない。
同氏は「下落局面は通常のことであり、市場はそろそろ調整を迎えてもおかしくない」と指摘した。9月と10月という季節的に相場が弱くなりやすい時期に入るなか、米国債利回りの上昇、インフレ懸念、AI関連株への警戒感などが米国株の重荷となっている。
ただ、バンク・オブ・アメリカは2026年末のS&P500目標を7100から7400へ引き上げている。中長期的な企業利益への評価を高める一方、目先では投資家の株式配分拡大や長期間にわたる相場上昇を踏まえ、反落リスクを警戒している。
世界有数の運用成績を上げてきた政府系ファンドからも、米国株の高いリターンが続かない可能性を指摘する声が出ている。
ニュージーランド・スーパーアニュエーション・ファンドを運用するガーディアンズ・オブ・ニュージーランド・スーパーアニュエーションのJo Townsend最高経営責任者(CEO)は、過去数年間の米国株のリターンが歴史的な平均を大幅に上回っており、いずれ平均的な水準へ回帰する可能性があると述べた。
同ファンドの2026年6月期の運用収益率は14.2%だった。期末の運用資産は944億ニュージーランドドル、約544億米ドルで、年間では93億ニュージーランドドル増加した。ただ、運用収益率は基準指数を0.1ポイント下回った。
Townsend氏は「過去数年間の米国株のリターンは、過去20年間の年率リターンのほぼ2倍に達しており、いずれ平均への回帰が起きると予想している」と述べた。そのうえで、短期的には集中投資が高い成果を上げる場合があるものの、長期的には分散されたポートフォリオの方がファンドの運用目的に適しているとの考えを示した。