富士通、144コアCPU「FUJITSU-MONAKA」を11月販売へ 空冷対応の国産AIサーバーも展開

2026年9月16日 19:46

富士通は2026年9月14日、144コアのArmベースCPU「FUJITSU-MONAKA」を同年11月から世界で販売すると発表した。CPUを搭載する「Fujitsu MONAKA Server」も日本と欧州で販売し、専用の水冷設備を持たないデータセンターや企業拠点でも導入しやすいAI推論基盤として展開する。

FUJITSU-MONAKAは、演算コアに2nmプロセス、キャッシュとI/O部分に5nmプロセスを適用した3D積層構造を採用する。富士通は、独自の超低電圧動作技術や行列演算のハードウェア支援を組み合わせ、AI推論性能と電力効率を高めたとしている。

■11月からCPU単体の世界販売を開始

富士通は2026年11月から、クラウド事業者、データセンター事業者、サーバーベンダーを対象に、FUJITSU-MONAKAをプロセッサ単体で販売する。米国やアジア太平洋地域を含む本格的な世界展開は、2026年度第4四半期に開始する計画である。

Fujitsu MONAKA Serverについては、2026年11月から日本と欧州で販売を始める。2026年度下期に金融、通信、製造分野の一部顧客へ先行提供し、2027年4月以降に順次出荷する予定だ。

■144コアと3D積層構造を採用

FUJITSU-MONAKAは、1ソケット当たり144コアを搭載するArmv9-AベースのサーバーCPUである。演算コアには2nmプロセス、SRAMとI/O部分には5nmプロセスを採用し、異なる機能を複数のダイに分けて積層する。

富士通は、この構造について、機能ごとに適した製造プロセスを使うことでコスト効率を高めながら、処理性能と電力効率を両立する狙いがあると説明している。同社はFUJITSU-MONAKAを、2nmプロセスと3D積層構造を組み合わせて商用化する世界初のCPUと位置付ける。

最大動作周波数は3.8GHz、メモリー転送速度は8800MT/sで、DDR5メモリーを12チャネル構成で利用できる。AI推論の中核となる行列演算を専用命令で支援し、Armのベクトル命令拡張であるSVE2やソフトウェア最適化と組み合わせる。

FUJITSU-MONAKAには、実行中のデータやアプリケーションを保護するコンフィデンシャルコンピューティング機能も実装する。Arm Confidential Compute Architectureを利用し、クラウドなど複数の利用者が計算資源を共有する環境で、ワークロードの分離と保護を支援する。

■AI推論性能は富士通による試算

富士通は、FUJITSU-MONAKAがAI推論で他社CPU比2倍のスループットを発揮し、同等の処理量に必要なサーバー台数と消費電力を半減できるとしている。

これらの値は富士通による性能評価と試算であり、比較対象となるCPUやワークロード、システム構成によって結果は変わる。製品版を使った第三者による同一条件の比較結果は、発表時点では公表されていない。

FUJITSU-MONAKAはAI専用アクセラレーターではなく、AI推論からデータベース、データ分析、Web、シミュレーションまでを扱う汎用CPUとして設計されている。GPUを使わずにCPUだけで構成する推論基盤に加え、用途に応じてアクセラレーターと組み合わせる構成も想定する。

■周囲温度40度の空冷環境に対応

Fujitsu MONAKA Serverは、1Uサイズと2Uサイズのラックマウント型を用意する。1Uモデルは1基または2基、2Uモデルは2基のFUJITSU-MONAKAを搭載できる。

1Uモデルは、専用の冷却設備がない環境でも、空冷で周囲温度40度まで運用できる。水冷の場合は水温45度までに対応する。富士通は、同社の冷却技術によってサーバー冷却に使う電力を最大80%削減できるとしている。

この数値も富士通が示したもので、削減率は比較対象となる冷却方式や設置環境、システム構成に左右される。空冷対応の意義は、GPUを利用できないと一律に分類される施設を対象にすることではなく、電力容量や冷却設備に制約がある既存拠点でも、必要な規模からAI推論基盤を導入しやすくする点にある。

■CXLでメモリーとアクセラレーターを拡張

1Uモデルには、CDI/CXLを利用したリソースプーリング技術を採用する。CXLはCPUとメモリー、アクセラレーターなどを接続する規格で、サーバーの物理的な枠を越えてリソースを配置しやすくする。

富士通は、この仕組みによってAI推論におけるメモリー不足を緩和し、リソースの利用効率を高めるとしている。将来、AIモデルの規模やワークロードが変化した場合にも、必要なメモリーやアクセラレーターを追加しやすくする狙いだ。

■国内製造とトレーサビリティーを訴求

Fujitsu MONAKA Serverは国内で設計・開発し、富士通の笠島工場で製造する。部品の出所や製造履歴を可視化・追跡できるようにし、サプライチェーンの透明性と信頼性を高める。

富士通は同製品を、組織がデータやAI基盤を自ら管理するソブリンAI向けのサーバーと位置付ける。国内製造のサーバーに、コンフィデンシャルコンピューティングや国産AI技術を組み合わせ、金融、通信、製造、公共、アカデミア、HPC、防衛などの分野へ展開する方針だ。

元記事: Fujitsu MONAKA Opens AI Inference to Air-Cooled Facilities No GPU Can Reach

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