【視点】米株ファンドから3週間で約2.1兆円流出―BofA、市場の楽観に警鐘
2026年9月15日 10:26
米国株ファンドから過去3週間で142億ドル(約2兆1900億円)が流出し、長期金利や商品価格も上昇するなか、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、市場と政策当局がリスクに十分反応していないとして、金融市場の変動拡大に警鐘を鳴らした。
BofAがEPFRグローバルのデータを基にまとめたところ、米国株ファンドからは直近3週間で142億ドル(約2兆1900億円)が流出した。3週間ベースの流出額としては1月以来の大きさとなった。世界の株式ファンドへの資金流入も同期間は週平均約70億ドル(約1兆800億円)にとどまり、7月の週平均約520億ドル(約8兆400億円)から大幅に鈍化した。
一連の資金フローは、株価上昇が続いた後で投資家が慎重姿勢を強めていることを示す。BofAのジャレッド・ウッダード氏やマイケル・ハートネット氏らは、市場にも政策当局にも、過去の金融市場の緊張局面でみられたような強い危機感が表れていないと指摘した。
両氏は「政策当局がパニックになり始めると市場はパニックをやめるものだが、30年物米国債利回りが2007年6月以来の高水準にあり、商品価格が急騰しているにもかかわらず、どこにもパニックがない」とした。そのうえで、「無頓着な市場」と「強気な政策姿勢」の組み合わせは「ボラティリティを生む処方箋だ」と述べた。
米財務省によると、30年物米国債利回りは11日に5.35%となり、2007年6月以来の高水準となった。長期金利の上昇は企業や家計の借り入れコストを押し上げるほか、債券の投資妙味を高め、相対的に株式のバリュエーションを圧迫する要因となる。
エネルギー価格もインフレ懸念を強めている。国際指標となる北海ブレント原油先物は9日に1バレル=100ドルを突破し、101.21ドルで取引を終えた。米エネルギー情報局(EIA)によると、全米のオンハイウェー・ディーゼル小売価格は7日までの週に1ガロン=5.967ドルとなり、名目ベースで過去最高を更新した。
米連邦準備制度理事会(FRB)は15〜16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。現在のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.50〜3.75%。11日発表の8月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、食品・エネルギーを除くコアCPIは同0.3%上昇した。市場では25ベーシスポイントの利上げ観測が急速に強まり、11日には利上げ確率が90%前後まで上昇した。実施されれば政策金利の誘導目標は3.75〜4.00%となる。
S&P500種株価指数は8月13日に終値ベースで過去最高値を付けた後、比較的狭いレンジで推移している。金融政策を巡る不透明感や11月の米中間選挙、イランを巡る戦争の長期化に加え、人工知能(AI)への巨額投資が十分な収益につながるのかとの懸念も、一部投資家を様子見姿勢に傾かせている。
BofAはAI関連投資も潜在的なリスク要因として挙げた。同行のストラテジストによると、過去3年間のAI関連支出は約1兆5000億ドルに上るものの、経済全体に広がる生産性向上の効果はなお明確ではないという。
BofAはさらに、労働と資本をどれだけ効率的に生産へ結び付けているかを示す全要素生産性(TFP)がトレンドを下回っていると指摘した。ストラテジストらは、TFPと米消費者信頼感には過去50年間に高い相関がみられるとして、「時にはウォール街が知らないことをメインストリートが知っている」と述べた。