加賀電子、27年3月期は営業増益予想、新光商事の子会社化を受け業績・配当予想を再修正へ
2026年9月11日 08:00
加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力に、成長戦略として収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。27年3月期は8月13日付で上方修正して営業増益予想としている。なお8月10日付で連結子会社化した新光商事の業績影響、および連結子会社化に伴って発生が見込まれる負ののれん発生益については、今回の修正に織り込んでいないため、業績影響等の精査の目途が立ち次第、再修正を速やかに公表予定としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は8月の最高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、上値を試す展開を期待したい。
■独立系の大手エレクトロニクス総合商社
独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用し、半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。25年7月に協栄産業を子会社化、26年3月にサンワテクノス<8137>の株式7.25%を取得した。またグループ再編により26年4月1日付で連結子会社の加賀デバイスが同じく連結子会社のエクセルを吸収合併した。さらに26年8月10日付で新光商事を連結子会社化(新光商事は上場廃止予定)した。
26年3月期のセグメント別業績は、電子部品事業の売上高が5688億34百万円でセグメント利益(連結調整前営業利益)が193億04百万円、情報機器事業の売上高が541億82百万円で利益が44億44百万円、ソフトウェア事業の売上高が33億07百万円で利益が3億65百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)の売上高が326億17百万円で利益が34億87百万円だった。会社別には加賀電子の売上高が3486億93百万円で営業利益(連結調整前)が217億40百万円、加賀FEIの売上高が2422億41百万円で営業利益が33億46百万円、エクセルの売上高が276億46百万円で営業利益が15億17百万円、協栄産業(26年3月期第2四半期から新規連結)の売上高が403憶60百万円で営業利益が11億28百万円だった。
中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。26年3月期は電子部品の売上高が4255億32百万円でセグメント利益(連結調整前営業利益)が125億42百万円、EMSの売上高が1548億76百万円で利益が79億41百万円、CSIの売上高が541億82百万円で利益が44億44百万円、その他の売上高が243億49百万円で利益が27億71百万円だった。
■売上高1兆円企業を見据えた中期経営計画2027
24年11月策定の中期経営計画2027(26年3月期~28年3月期)では重点施策として更なる収益力の強化、経営基盤の高度化、SDGs経営の推進を掲げ、売上高1兆円企業を見据えた最終年度28年3月期の目標値を、新規事業やM&Aを含めて売上高8000億円以上、営業利益360億円以上としている。オーガニック成長による目標は売上高7000億円以上、営業利益350億円以上、資本効率性の指標はROE12.0%以上(株主資本コスト10%前後)としている。オーガニック成長による収益目標のセグメント別内訳は、電子部品事業が売上高4000億円で営業利益165億円、EMS事業が売上高2300億円で営業利益135億円、CSI事業が売上高550億円で営業利益40億円、その他事業が売上高150億円で営業利益10億円としている。
事業戦略としては、商社ビジネスの拡大を高付加価値のEMSビジネスにつなげ、収益性の向上を推進する。また創業60周年を迎える29年3月期での売上高1兆円達成に向けて、M&Aの活用により当中期経営計画期間中に1000億円超の新たな事業収益の獲得を目指す。さらにエネルギー、インフラ、交通、環境を重点テーマとして新規事業を探索する。
25年3月には子会社のデジタル・メディア・ラボが、世界最大級のゲームアウトソーシングおよびゲーム開発スタジオであるWinking Studios(本社:シンガポール)と、CG制作全般の受託業務拡大を図ることを目的とした戦略的パートナーシップ契約を締結した。25年10月には、GXを実現する革新的な冷却技術として注目される液浸冷却技術の普及と標準化を推進する一般社団法人日本液浸コンソーシアム(25年6月設立)へ賛助法人会員として参画した。25年11月にはタイの子会社において新工場を建設すると発表した。
25年12月には、グループ会社のアクセスゲームズがValve社の運営する世界最大級のPCゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて自社開発新作ゲーム「それゆけ!ポプタープルミーズ」をリリース、障がい児向け通所支援事業(児童発達支援/放課後デイサービス)および就労支援事業を提供するシーアイ・パートナーズに出資、東芝テックと小売業界向け製品の開発・製造に関する協業に向けた基本合意書を締結した。
さらにグローバルEMS戦略を推進するため、26年7月には米国にEMS新会社を設立(26年10月事業開始予定)し、26年8月にはインドにEMS合弁会社を設立(26年10月事業開始予定)した。
株主還元については連結配当性向の目安を30~40%に引き上げ、中長期的な利益成長を通じた配当成長に努める。普通配当については安定的かつ継続的な配当の目安をDOE4.0%とし、さらに利益水準や資本効率性に応じた追加施策として、特別配当や自己株式取得を機動的に実施する。
SDGs経営についてはサステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の持続的成長に取り組むとしている。25年2月にはCDP「気候変動レポート2024」において「B」スコアを獲得した。26年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2026(大規模法人部門)の認定を受けた。4年連続の認定となる。
■27年3月期通期予想を上方修正、さらに再上振れの見込み
27年3月期の連結業績予想(26年8月13日付で上方修正)は売上高が前期比0.2増の6600億円、営業利益が7.8%増の300億円、経常利益が0.2%増の300億円、そして親会社株主帰属当期純利益が29.3%減の220億円としている。
前回予想(26年5月14日付の期初公表値)に対して、売上高を150億円、営業利益を15億円、経常利益を20億円、親会社株主帰属当期純利益を20億円、それぞれ上方修正した。電子部品事業を中心に第1四半期が想定以上に好調だった。
第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比23.4%増の1704億50百万円、営業利益が30.5%増の84億60百万円、経常利益が42.0%増の88億64百万円、親会社株主帰属四半期純利益が49.0%増の68億74百万円だった。
大幅増収増益だった。半導体市場の需要回復を背景に、電子部品事業がメモリ製品を中心とする販売数量増と価格上昇、需給逼迫が継続する一部半導体製品を対象とするスポット販売などにより好調に推移した。また前期第2四半期より連結化した協栄産業も寄与した。営業利益20億円増益分析は、売上総利益が43億円増加(内訳はスポット売上により3億円増加、販売数量により15億円増加、協栄産業連結により26億円増加、販売ミックスにより0.6億円減少)し、販管費が23億円増加(うち協栄産業連結により18億円増加)した。
なお営業外収益では受取配当金が2億26百万円増加(前期は2億22百万円、当期は4億48百万円)し、営業外費用では支払利息が2億99百万円増加(前期は1億61百万円、当期は4億60百万円)した一方で、為替差損が5億27百万円減少(前期は5億98百万円、当期は71百万円)した。また特別利益では政策保有株式縮減に伴って投資有価証券売却益が4億96百万円増加(前期は2億65百万円、当期は7億61百万円)した。
電子部品事業は売上高が29.6%増の1509億75百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が71.6%増の72億54百万円だった。大幅増収増益だった。部品販売ビジネス(増収増益)は半導体市場の需要回復を背景に、メモリ製品を中心とする販売数量増と価格上昇、需給逼迫が継続する一部半導体製品を対象とするスポット販売などにより好調に推移した。また協栄産業も寄与した。EMSビジネス(増収増益)は車載向け一部顧客で需要減少したが、空調機器向け、医療機器向け、産業機器向けが堅調だった。
情報機器事業は売上高が10.6%増の134億06百万円、利益が6.6%減の7億66百万円だった。増収ながら減益だった。パソコン販売ビジネス(増収減益)は教育機関向けが受託校数増加、量販店向けがPC製品値上げ前の駆け込み需要などにより好調だったが、相対的に利益率の高い携帯端末向けセキュリティソフト販売が低調だった。電気・通信機器設置ビジネス(減収減益)は大手コンビニ・金融機関向けLED工事や受変電工事が好調だったが、太陽光パネル工事が低調だった。
ソフトウェア事業は売上高が11.1%増の6億56百万円で、利益が62百万円(前年同期は42百万円の損失)だった。増収増益だった。ゲームおよびアミューズメント機器向けCG映像制作が好調だった。
その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が39.3%減の54億11百万円で、利益が75.1%減の3億38百万円だった。減収減益だった。PC製品およびPC周辺機器のリサイクルビジネスは堅調だったが、アミューズメント機器の販売が前年同期の米国向け前倒し出荷の反動により低調だった。
会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が5.6%増の61億26百万円、加賀FEIが358.8%増の16億83百万円、協栄産業が6億17百万円だった。また中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が136.3%増の53億58百万円、EMSが3.4%増の23億11百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が6.6%減の7億66百万円、その他が95.2%減の54百万円だった。
通期の修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が0.7%減の5650億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が11.4%増の215億円、情報機器事業の売上高が6.1%増の575億円で利益が12.5%増の50億円、ソフトウェア事業の売上高が5.8%増の35億円で利益が36.7%増の5億円、その他事業の売上高が4.2%増の340億円で利益が14.0%減の30億円としている。前回予想に対して電子部品事業の売上高を150億円、営業利益を15億円それぞれ上方修正した。
なお8月10日付で連結子会社化した新光商事の業績(第2四半期以降の業績は売上高1000億円前後、営業利益15億円前後、当期純利益10億円前後と推定)影響、および連結子会社化に伴って発生が見込まれる負ののれん発生益については今回の修正に織り込んでいない。このため業績影響等の精査の目途が立ち次第、再修正を速やかに公表予定としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
なお配当予想については、前回予想(26年5月14日付の期初公表値)を据え置いて前期と同額の140円(第2四半期末70円、期末70円)としている。予想配当性向は30.3%となる。ただし今後の業績予想の再修正に合わせて配当予想も上方修正する予定としている。
■株価は上値試す
なお26年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出を行っている「JPX日経インデックス400」および「JPX日経中小型株指数」の26年度の構成銘柄(26年8月31日適用予定)として選定された。「JPX日経インデックス400」は4年連続の選定、「JPX日経中小型株指数」は6年連続の選定となる。
株価は8月の最高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、上値を試す展開を期待したい。9月10日の終値は4785円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS461円61銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の140円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3850円35銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約2511億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)