韓国DB HiTek、8インチSiC MOSFETプロセスの信頼性認証を完了 2027年の量産開始へ
2026年9月10日 13:36
韓国の専業ファウンドリーDB HiTekは、8インチウエハーを用いる1,200V SiC MOSFETプロセスの信頼性認証を完了した。第1世代と第2世代のプロセス設計キットを顧客に提供しており、2026年11月には第3世代版を提供する予定だ。2027年の量産開始に向け、8インチSiCの製造受託体制を整える。
■1,200Vの8インチSiCプロセスを認証
DB HiTekは2026年9月9日、8インチ(200mm)ウエハーを用いる1,200Vシリコンカーバイド(SiC)MOSFETプロセスの信頼性認証を完了したと発表した。同社は、設計から製造、電気特性評価、信頼性認証までを支援する一貫した8インチSiCファウンドリープロセスを世界で初めて確立したと主張している。
SiCは、高温・高電圧環境での使用に適したパワー半導体材料で、電気自動車(EV)、再生可能エネルギーシステム、産業用電力機器などへの採用が進んでいる。現在は6インチウエハーによる生産が主流だが、半導体各社は生産効率とコスト競争力の向上を狙い、8インチへの移行を進めている。
DB HiTekは、今回の認証完了を受け、顧客の製品開発支援と新規顧客の開拓を進め、2027年の量産開始に向けた準備を加速する方針だ。
■第1世代と第2世代のPDKを提供
DB HiTekは、第1世代と第2世代の1,200V SiC MOSFETプロセスに対応したPDK(プロセス設計キット)を顧客に提供している。PDKには、半導体設計を製造プロセスに適合させるための設計ルールやデバイスモデルなどが含まれる。
顧客はPDKを利用することで、開発初期に必要な作業やリソースを減らし、試作を迅速化できる。DB HiTekは、これにより製品開発期間を1年以上短縮できる可能性があるとしている。
信頼性認証を完了した第2世代プロセスは、オン状態ゲート電圧が18Vの条件で、比オン抵抗2.5mΩ・cm²以下、しきい値電圧3V以上の特性を備えるという。いずれも同社が公表した数値である。
信頼性認証は、一定の条件下でプロセスやデバイスの耐久性と安定性を評価する工程だ。認証の完了は顧客が量産採用を検討するうえで重要な段階となるが、個別製品への採用には、顧客側での設計、試作、評価なども必要になる。
■第3世代プロセスは認証を継続
DB HiTekは、第3世代プロセスのPDKを2026年11月に提供する予定だ。このプロセスでは、オン状態ゲート電圧18Vで比オン抵抗2.3mΩ・cm²以下を目標に掲げている。
さらに、短絡安全動作領域における短絡耐量時間について、2.5マイクロ秒以上を目指す。短絡耐量時間は、短絡状態が生じた際にデバイスが耐えられる時間を示す指標で、モーター駆動装置などの保護設計に関係する。
第3世代プロセスは現在、目標特性に向けた認証作業が進められている。DB HiTekは認証完了後に第3世代PDKを顧客へ提供する計画としている。
■8インチ化で生産効率の向上を狙う
ウエハーの直径を150mmから200mmへ拡大すると、単純な面積は約1.78倍になる。同じ設計のチップを製造する場合、1枚のウエハーから取得できるチップ数を増やせるため、十分な歩留まりと生産規模を確保できれば、デバイス当たりの製造コストを引き下げる余地が生まれる。
SiCウエハーはシリコンウエハーと比べて製造コストが高く、欠陥の抑制や歩留まりの向上も重要な課題となる。このため、8インチ化による面積拡大だけでなく、量産時の歩留まり、生産能力、設備稼働率などが実際のコスト競争力を左右する。
DB HiTekは、自社ブランドの完成品を販売せず、外部顧客から半導体製造を受託する専業ファウンドリーだ。自社製品向けの生産と顧客向けの生産が競合しない点は、独立系のSiC設計企業にとって選択肢の一つとなる。
■SK keyfoundryもSiCプロセスを開発
韓国の専業8インチファウンドリーであるSK keyfoundryも、SiCパワー半導体の製造受託事業を進めている。同社はSiC関連技術を持つSK powertechを傘下に収め、450Vから2,300Vまでをカバーするプレーナー型SiC MOSFETプロセスプラットフォームを開発したと発表している。
SK keyfoundryは、1,200V製品について顧客から開発を受注し、試作評価と信頼性検証を経て2027年上期の量産を目指している。同社によると、プロセスの歩留まりは90%を超えたという。ただし、この数値は同社発表に基づくもので、製品や製造条件ごとの詳細は明らかにされていない。
DB HiTekは第2世代プロセスの信頼性認証を完了し、PDKを顧客に提供している。一方、SK keyfoundryは広い電圧範囲をカバーするプロセスプラットフォームと顧客案件の獲得を公表しており、両社はそれぞれの計画に基づいて2027年の量産を目指している。
■2027年第2四半期から全顧客への提供を計画
DB HiTekは、2026年第3四半期にプロセス準備を整え、従来から取引のある顧客への提供を開始する計画を示している。その後、2027年第2四半期からすべての顧客を対象にサービスを提供する方針だ。
同社は、1,200V SiC MOSFETプロセスの信頼性認証によって、8インチSiCファウンドリーサービスに必要な中核プロセス技術と製造基盤を確保できたとしている。
元記事: DB HiTek Opens World’s First Qualified 8-Inch SiC Foundry Service for Fabless Designers