【分析】米S&P500企業の4-6月期利益は52%増へ AI投資と関税還付が押し上げ 個人消費には減速の兆し

2026年9月2日 11:47

 米企業の第2四半期(2026年4-6月期)利益が大幅に増加した。小売りやテクノロジー、製造業で好決算が相次ぎ、根強いインフレや個人消費の減速を示す兆候は、企業利益を大きく押し下げるまでには至っていない。

 米商務省経済分析局(BEA)によると、在庫評価・資本減耗調整後の「当期生産から生じる企業利益」は、第2四半期に前期比で4009億ドル(約64兆2600億円)増加した。第1四半期の増加額は744億ドル(約11兆9200億円)だった。

 第2四半期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比1.5%増となり、第1四半期の2.1%増から伸びが鈍化した。政府支出の減少や設備投資、輸出の伸び鈍化が成長率を押し下げる一方、個人消費の伸びは加速した。

 上場企業の利益はさらに大きく伸びた。FactSetによると、8月28日時点でS&P500種株価指数の構成企業の97%が決算を発表し、第2四半期の1株利益は前年同期比52.0%増となる見通しである。最終的にこの水準となれば、91.6%増だった2021年第2四半期以来の高い伸びとなる。過去5年間の平均である15.2%も大幅に上回る。

 利益の伸びにはアルファベットとアマゾン・ドット・コムが計上した多額の投資利益が含まれている。アルファベットは保有株式の未実現利益を中心に、その他収益として980億ドルの純利益を計上した。アマゾンも、米人工知能(AI)企業アンソロピックへの投資を中心として、税引き前の営業外収益を534億ドル計上した。

 利益の増加は一部の巨大テクノロジー企業だけに限られていない。FactSetによると、マグニフィセント・セブン(M7)を除くS&P500構成493社の第2四半期利益も前年同期比31.8%増となる見通しで、2021年第4四半期以来の高い伸びとなっている。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、最近の決算発表後には小売大手ターゲット、食品大手J.M.スマッカー、農機大手ディア、衣料品大手アバクロンビー・アンド・フィッチ、電子機器大手ガーミンなどが通期見通しを引き上げた。

 一方で、企業業績を支えてきた個人消費には、減速を示す兆候も表れている。

 米国勢調査局によると、7月の小売・外食売上高は季節調整済みで7636億ドルとなり、前月比0.6%減少した。前年同月比では5.0%増加し、5~7月の3カ月間では前年同期比6.3%増だった。これらは物価変動の影響を除いていない名目値である。

 消費環境の変化は、米小売り最大手ウォルマートの決算にも表れた。同社は通期の売上高と利益の見通しを引き上げたものの、燃料を除く米国内の既存店売上高は第2四半期に前年同期比2.6%増にとどまった。伸び率は第1四半期の4.1%から鈍化し、過去6年間で最も低い水準となった。

 高いガソリン価格や消費者心理の軟化に加え、薬局部門に関する法制度の変更も既存店売上高を押し下げた。決算発表を受け、ウォルマート株は8月20日の取引で9.2%下落した。

 一部企業の利益を押し上げているもう一つの要因が、関税の還付である。米連邦最高裁判所が、国際緊急経済権限法(IEEPA)はトランプ政権による関税賦課の根拠にならないとの判断を示したことを受け、輸入業者への還付が進んでいる。

 ウォルマートは、還付対象となる約29億ドルのうち、ほぼ全額を受領したと説明した。同社は還付金の一部を食品や一般商品の値下げに充てている。他の企業も、還付金をコスト上昇の吸収や値下げの原資として利用している。

 AIインフラへの継続的な支出も、関連企業に需要をもたらしている。アマゾンのクラウド部門であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の第2四半期売上高は前年同期比37%増加した。アマゾンの設備取得額が大幅に増えた主因もAI関連投資だった。

 第2四半期の米企業利益は、AI関連需要、個人消費、関税還付という複数の要因に支えられた。ただ、消費指標やウォルマートの決算には家計の負担増を示す兆候があり、企業利益が今後も同じ勢いで拡大するかが焦点となる。

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