【分析】米Broadcomの2300億ドル提携をどう見るか――AI半導体の競争優位性と株価低迷の理由

2026年7月30日 00:15

米半導体大手ブロードコム(Broadcom)は、韓国の半導体・電機大手サムスン電子(Samsung Electronics)との2000億ドル(約32兆8000億円)規模の覚書(MOU)締結など、わずか3週間で総額2300億ドル(約37兆7200億円)を超える新たな提携を発表した。しかし、同社株は直近高値を約24%下回る水準で取引されている。本稿では、市場が懸念するGoogleへの顧客集中や利益率の低下と、カスタムチップ事業の競争優位性を検討する。

■2300億ドル超の提携と株価評価の隔たり

Broadcom(NASDAQ:AVGO)は7月25日、今年最大となる半導体分野の提携に合意した。Samsung Electronicsとの5年間、2000億ドル(約32兆8000億円、1ドル=164円換算)規模の覚書(MOU)で、2030年まで、BroadcomのAIアクセラレータ向けの2ナノメートル・プロセスによるファウンドリ製造、次世代HBM4メモリの供給、高度なチップパッケージングを対象とする。サンフランシスコで開かれたAIサミットで発表され、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と両社の幹部が出席した。その3週間前には、Appleが2031年まで、Broadcomの米コロラド州フォートコリンズ工場から無線接続用チップを調達する、300億ドル(約4兆9200億円)超の別のコミットメントを確認していた。

わずか3週間で、Broadcomが発表した新たな提携の総額は2300億ドル(約37兆7200億円)を超えた。それでも同社株は、直近高値の495ドルを約24%下回る水準で取引されている。

事業が獲得している提携の規模と、市場が株式に付けている価格との隔たりは、現在のBroadcom投資家にとって中心的な論点である。その答えは、6月の決算発表後に広がった「Googleへの顧客集中」という見方だけでは説明できないほど複雑だ。

■記録的な四半期決算と予想外の株価下落

6月3日に発表されたBroadcomの2026年度第2四半期決算は、ほぼあらゆる財務指標で極めて好調だった。売上高は前年同期比48%増の過去最高となる221億9000万ドル(約3兆6392億円)に達した。AIチップおよびネットワーク関連の売上高は143%増の108億ドル(約1兆7712億円)となり、半導体売上高全体の約半分を占めた。調整後1株当たり利益(EPS)は2.44ドルで、ウォール街の市場予想である2.40ドルを上回った。

CEOのホック・タン氏は決算説明会で、BroadcomのカスタムAIアクセラレータとネットワーク製品に対する需要は「まさに飽くことを知らない」と述べた。同四半期のAIチップ受注額は300億ドル(約4兆9200億円)を超えたのに対し、実際の出荷額は108億ドルだった。これは、需要が同社の供給能力を大きく上回っていることを示す構造的な受注残である。

第3四半期のガイダンスでは、連結売上高を前年同期比84%増の294億ドル(約4兆8216億円)と見込む。AI半導体売上高は、前年同期比200%超の増加となる160億ドル(約2兆6240億円)に達する見通しだ。同社は、2026年度通期のAI半導体売上高目標を、2025年度比約180%増の560億ドル(約9兆1840億円)に据え置いた。また、2027年度のAI半導体売上高が1000億ドル(約16兆4000億円)を超えるとの見通しも改めて示した。

こうした数字にもかかわらず、AVGO株は時間外取引で急落した。市場が注目したのは、経営陣が示した2点である。1つは、Broadcom最大のカスタムチップ顧客であるGoogleが、今後は複数のチップサプライヤーを利用する可能性が高いこと。もう1つは、AIチップ売上高の急増によって同社の粗利益率が低下していることだ。

■Google問題:市場の懸念とデータが示すもの

Googleを巡る懸念は、決算発表翌日のMacquarieによる投資判断の引き下げで鮮明になった。同社のアナリスト、アーサー・ライ氏はBroadcomの投資判断を「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げ、目標株価も513ドルから437ドルへ引き下げた。

その理由として、MediaTekの役割拡大とGoogleによる自社シリコン開発の進展に伴い、GoogleのカスタムAIチップ売上高に占めるBroadcomのシェアが、2026年の約95%から2027年には80%、2028年には65%へ低下するとの予想を挙げた。同じ時期の複数の報道によると、MediaTekはGoogleの次世代Tensor Processing Unit(TPU)の強化版開発を支援する契約を獲得したという。

Broadcom株は決算発表前までに年初来で約40%上昇し、発表前日の取引を過去最高値の481.57ドルで終えていた。それだけに、この格下げの影響は大きかった。

一方、反論も具体的なデータに基づいている。Broadcomは主要なカスタムチップ顧客として6社を公表しており、2026年度第1四半期にはOpenAIが新たに加わった。

4月7日、BroadcomとGoogleは、Anthropic向けの3.5ギガワット規模のTPUコンピューティング契約とは別に、2031年までの長期供給保証契約を締結した。2026年にAnthropic向けに稼働している1ギガワットに加え、2027年から約3.5ギガワット分の次世代Google TPU能力が稼働することになる。Mizuhoのアナリストは、Anthropic関連のコミットメントだけで、Broadcomに2026年に210億ドル(約3兆4440億円)、2027年に420億ドル(約6兆8880億円)のAI売上高をもたらす可能性があると推定している。

これとは別に、OpenAIとの10ギガワット規模の共同開発契約があり、2026年後半から2029年末まで続く。6月24日にOpenAI初のカスタム推論チップ「Jalapeño」が発表され、現在はハードウェア開発段階にある。Jalapeñoは大規模言語モデルの推論処理特性に合わせて設計され、Broadcomのチップ設計チームとの協力により、構想からテープアウトまで9カ月で開発された。

Macquarie自身も、2028年の利益予想を引き下げる一方、2026年と2027年の予想は引き上げた。つまり、議論の焦点は翌年ではなく、2020年代後半にある。

■ASIC共同設計モデル:見かけほど競争優位性を崩しにくい理由

Google向けシェア低下のリスクを認めながらも、多くのアナリストが「買い」評価を維持する理由を理解するには、Broadcomのカスタムチップ事業の仕組みを見る必要がある。同社を担当するアナリスト29人のコンセンサス評価は「ストロング・バイ」で、平均目標株価は約500ドルだ。

Broadcomは、単にハイパースケーラーへチップを供給しているのではない。各顧客の組織内にエンジニアリングチームを配置し、通常18~24カ月に及ぶ設計サイクルを通じて、顧客固有のAIワークロードに合わせたチップアーキテクチャを共同開発する。対象となるのは、Googleの学習処理とOpenAIの推論サービスを区別するカーネル処理の特性、メモリ転送の手順、推論遅延の要件などだ。

こうしてできる半導体はXPUと呼ばれる。Xは対象となる任意の用途を表し、XPUは特定の処理群に特化して設計される。CUDAプログラミング基盤を利用し、さまざまなワークロード向けに再プログラムできるNvidiaのGPUとは異なり、XPUは特定の演算に最適化される。Evercoreの分析によれば、この特化により、同等のGPUワークロードと比べて推論1回当たりのコストを40~65%低減できるという。

実務上、ハイパースケーラーがBroadcomとの複数年にわたるチップアーキテクチャ共同開発に数億ドルを投じた後、その関係を他社へ切り替えるには、設計サイクルを一からやり直さなければならない。この構造的な切り替えコストは、単純な市場シェアの比率には表れない。

EvercoreとTechTimesの分析によれば、Google向けシェアが95%から65%へ低下するとの予想は、BroadcomがGoogle関連事業を失うことを意味しない。Googleが一部のチップ派生品で第2の設計パートナーとしてMediaTekを加える一方、ほかの派生品ではBroadcomとの関係を維持し、正式な契約を2031年まで延長するという意味だ。

XPU設計事業に加え、BroadcomのTomahawkおよびJerichoネットワーク半導体は、第2四半期のAIチップ売上高の約40%、約43億ドル(約7052億円)を生み出した。これらは、AIクラスター内にある数千基のアクセラレータ間のデータ転送を調整するスイッチチップである。

Tomahawk 6は毎秒102.4テラビットのスイッチング容量を備え、Broadcomによれば業界最高水準である。同社のUltra Ethernet戦略はオープン標準を採用し、Nvidia独自のInfiniBandと競合する。AIクラスターが、10万基以上のアクセラレータを連携並列動作させるギガワット級へ拡大するにつれ、ネットワーク層は演算層と同程度に戦略的重要性を増す。Broadcomは、主要ハイパースケーラーのネットワーク基盤の多くに採用されている。

7月25日に締結されたSamsungとのMOUは、垂直統合という第3の構造的要素を加える。MOUに基づき、SamsungはBroadcomへHBM4およびHBM4Eの広帯域メモリを供給するほか、平沢(ピョンテク)工場で2ナノメートル未満のプロセスを使ってBroadcomのAIチップを製造し、最終製品を組み立てるための次世代2.3Dおよび2.5D先端パッケージングを提供する。

先端パッケージングは、チップの構成要素を積層するなどして実装密度を大幅に高め、相互接続の遅延を減らす技術であり、AIハードウェア生産の重大なボトルネックになっている。Broadcomが、主要な製造委託先であるTSMCとの関係を補完する形でSamsungのパッケージング設備を利用できれば、世界的に先端パッケージング能力が不足するなか、サプライチェーンの集中リスクを軽減できる。

ただし、この合意はMOUであり、法的拘束力のある契約ではない。また、Samsungの2ナノメートル・プロセス技術は、量産に必要な歩留まりをまだ達成していない。いずれも無視できないリスクである。

■利益率、ソフトウェア、そして事業構成の変化が危機ではない理由

Broadcomのビジネスモデルに関する根強い誤解の1つは、粗利益率の低下を事業構造の悪化と捉えることだ。しかし、これは意図的な製品構成の変化によって生じる会計上の現象である。

VMwareの統合を柱とするBroadcomのインフラストラクチャ・ソフトウェア部門は、半導体部門よりも一貫して高い粗利益率を上げている。AIチップ売上高が3桁の伸びを続け、総売上高に占める比率が高まると、利益率が相対的に低い半導体事業の影響で全社の粗利益率は低下する。一方で、利益の絶対額は急速に増加し得る。

第2四半期の調整後EBITDAは152億ドル(約2兆4928億円)で、売上高の69%を占めた。金額、売上高比率ともに過去最高だった。第3四半期の粗利益率を約74%とするガイダンスは、価格下落やコスト上昇ではなく、こうした事業構成の変化を反映している。

ソフトウェア事業は、事業全体の安定性を支えている。第2四半期のインフラストラクチャ・ソフトウェア売上高は前年同期比9%増の71億8000万ドル(約1兆1775億円)だった。アナリスト予想の73億2000万ドルをわずかに下回り、決算後の株価下落の一因となった。一方、フリーキャッシュフローは103億ドル(約1兆6892億円)に達し、総売上高の46%に相当した。事業構成が変化するなかでも、営業利益率は四半期を通じて約67%を維持した。事業の収益性が悪化している企業の数字とは言い難い。

■Appleとの契約が実際に意味するもの

7月8日に発表されたAppleのコミットメントは、BroadcomのAIチップ事業とは性質が異なる。Appleは2031年までの複数年にわたり、Broadcomのコロラド州フォートコリンズ工場から、無線接続用チップと無線周波数部品を300億ドル(約4兆9200億円)超調達することを約束した。対象には、FBAR(薄膜バルク音響共振器)フィルターが含まれる。

これはAI半導体ではない。FBARフィルターはiPhone内部で無線信号を処理し、複数の周波数帯にまたがる携帯電話通信の安定性を支える部品である。

この契約はAppleのAmerican Manufacturing Programにおける最大のコミットメントで、Broadcomのフォートコリンズ工場を拡張するための15億ドル(約2460億円)の設備投資も含む。Broadcomにとっては、AI事業を左右するハイパースケーラーの設計サイクルとは異なる分野で、長期的な収益の見通しを高めるものだ。AI半導体の成長率に注目する市場が過小評価しがちな、自然なリスク分散にもなる。

■ポートフォリオへの影響:Broadcomがリターンにもたらすもの

インデックスファンドを通じてすでにS&P 500を保有する投資家にとって、Broadcomへの追加投資は分散投資ではない。値動きが大きく、過去のリターンも高かった銘柄を加えることで、市場全体と同じ方向への値動きを増幅する判断である。

過去5年間、Broadcom株とS&P 500の相関係数は0.64だった。Broadcomの株価方向の多くが、投資家がすでに保有する指数と共通していることを意味する。過去1年間では、S&P 500が上昇した日にBroadcom株は市場の上昇率の約209%に相当する上昇を示し、下落日には市場の下落率の約215%に相当する下落を示した。Broadcom株の過去5年間のボラティリティーは約44%で、市場全体の約17%の2倍を超える。これに対し、Broadcomとの相関係数は金が約0.11、不動産が約0.26であり、より分散効果の高い資産といえる。

一方、Broadcom株の過去5年間の年率リターンは約55%で、S&P 500の約12.8%を上回った。シャープレシオも指数の0.58に対して1.13で、引き受けたリスク1単位当たりのリターンが高かったことを示す。Broadcomをポートフォリオへ組み入れる理由は、分散効果ではなく、期待するリターンにある。投資家は、相場が大きく下落した場合、AVGO株が広範な指数よりも大きく下落する可能性を理解し、それに応じて投資比率を決める必要がある。

株価が約376ドルの時点で、AVGOの実績株価収益率(PER)は約64倍、アナリスト予想に基づく予想PERは約24倍である。予想PERには、利益が今後も高いペースで成長するとの期待が反映されている。2027年度のAI半導体売上高目標である1000億ドル(約16兆4000億円)が達成されれば、現在の年間売上高ペースのおよそ2倍となる。

■注目すべき3つのデータポイント

2026年後半のBroadcom株の方向を左右しそうな材料は3つある。その最初の材料は今週示される。

MicrosoftとMetaは7月29日に2026年第2四半期決算を発表し、AmazonとAppleは7月30日に発表する。4社が2026年に計画するAIインフラ設備投資の合計は約7250億ドル(約118兆9000億円)で、2025年の約4100億ドル(約67兆2400億円)から約77%増える。

7月22日に決算を発表し、通期の設備投資見通しを1950億~2050億ドルへ引き上げたAlphabetは、Google Cloudの売上高が前年同期比82%増となったにもかかわらず、同日の株価が7%超下落した。投資家の関心が、AI支出の規模そのものではなく、支出が十分なリターンを生んでいるかどうかへ移っているためだ。

MicrosoftとAmazonの決算が、AIインフラ投資の一段の加速を裏付ければ、Broadcomが掲げる2027年度のAI半導体売上高1000億ドルという目標を支える需要の確度は高まる。いずれかのハイパースケーラーが設備投資見通しを引き下げれば、Broadcomの将来の受注に直接影響する。

第2の材料は、9月2日に発表が見込まれるBroadcomの第3四半期決算だ。投資家は、160億ドルというAIチップ売上高見通しを達成または上回ったか、粗利益率が安定したか、さらに低下したかを確認することになる。

第3の材料は、Netlistによる米国国際貿易委員会(ITC)への申立て(調査番号337-TA-1511)に伴う法的リスクである。高帯域幅メモリとDDR5メモリモジュールの特許を巡る紛争で、BroadcomはGoogle、Nvidia、Samsung、Supermicroとともに申立ての対象となっている。ITCは7月16日、調査開始を決定した。

Netlistによる最初の申立てに関する証拠審理は、2026年11月に予定されている。仮にITCが、7月25日のMOUの対象でもあるSamsung製HBM4チップの輸入を制限すれば、SamsungとBroadcomの提携に直接的なサプライチェーン上の問題が生じる。この案件は初期段階にあり、結果は不確実だが、注視する必要がある。

■Broadcomが築いた事業基盤と、その代償

Broadcomは過去2年間で、テクノロジー業界でも異例の事業基盤を築いてきた。最大手クラスのAIフロンティアモデル開発企業3社に関わるインフラの論理層を共同設計している。具体的には、Anthropicに提供されるTPUを手がけるGoogle、Jalapeñoを開発するOpenAI、Irisを開発するMetaである。

さらに、主要ハイパースケーラーのAIクラスターの多くへネットワーク半導体を供給し、現在はメモリ、ファウンドリ製造、パッケージングを1つの統合的な供給関係にまとめたSamsungとの製造MOUを結んでいる。VMwareを柱とするソフトウェア事業は、高利益率の継続収益を生み、半導体事業の比率上昇による利益率への影響を緩和している。

懸念は現実的かつ具体的だ。約64倍の実績PERには、半導体業界の歴史でも前例のないペースで成長を継続することへの期待が織り込まれている。AIチップ設計事業の顧客集中も現実のリスクである。主要顧客が6社あっても、その収益は、自社の支出優先順位を変更する可能性がある3~4社のハイパースケーラーに大きく依存している。

粗利益率への逆風は、事業構成の変化で説明できるとしても、純粋なソフトウェア企業と比べて1株当たり利益の成長経路を見えにくくする。また、SamsungとのMOUは、その規模こそ大きいが、法的拘束力のある契約ではなく意向表明にとどまる。

ただし、市場は、Googleによる一部チップの内製化がBroadcomの成長シナリオ全体を崩すリスクを過大評価しているように見える。Macquarieは、2028年の予想を引き下げる一方、2026年と2027年の利益予想を引き上げた。

ハイパースケーラーがNvidia製GPUを購入するだけでなく、カスタムAI半導体の開発を増やしているという構造変化は、ASIC共同設計市場を支配する2社にとって追い風となる。Broadcomはその1社だ。

約376ドルのBroadcom株は、アナリストのコンセンサス目標株価である約500ドルを大きく下回っている。この差には、Google、利益率、2027年度に1000億ドルのAI半導体売上高を達成するために必要な実行ペースへの懸念が反映されている。こうした懸念が適切に株価へ織り込まれているかどうかは、今週発表されるハイパースケーラー各社の決算と、Broadcomの9月の決算が何を示すかに左右される。

本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではない。TechTimesは、本記事で言及したいずれの証券についてもポジションを保有していない。

■注目ポイントQ&A

●2026年6月の好決算後、なぜBroadcomの株価は下落したのですか?

株価下落の原因は、Broadcomが発表した業績数値ではありません。数値自体は、ほとんどの指標で過去最高でした。市場が反応したのは、経営陣が示した2つの点です。1つは、GoogleがMediaTekを第2のチップ設計パートナーとして加える可能性があること、もう1つは、AIチップ売上高の増加が粗利益率を低下させることです。

決算発表前日に株価を過去最高値まで押し上げていた投資家は、Broadcomが最大顧客に対して持つ構造的な優位性が一部縮小する可能性に反応しました。翌日にはMacquarieが、Google向けチップ売上高に占めるBroadcomのシェアが約95%から2028年までに65%へ低下すると予想して投資判断を引き下げ、株価下落を増幅させました。

●XPUとは何ですか?GPUとはどう違うのですか?

XPUは、特定顧客の特定ワークロード向けに設計されたカスタムAIアクセラレータです。NvidiaのGPUが汎用的なプログラミング基盤であるCUDAを利用し、多様な計算タスクを処理できるのに対し、XPUは単一顧客のAIモデルが必要とする行列演算、メモリアクセスパターン、推論遅延などに合わせて設計されます。

この特化により、大規模運用時の推論1回当たりのコストを40~65%低減できるとの分析があります。一方、顧客の組織に配置されたBroadcomのエンジニアと、顧客側のハードウェアおよびモデル開発チームによる18~24カ月の共同開発が必要です。設計パートナーを変更するにはこの長期プロセスをやり直す必要があり、そこから生じる切り替えコストがBroadcomの競争優位性の中核となっています。

●Samsungとの2000億ドルのMOUは拘束力のあるコミットメントですか?

現時点では違います。2026年7月25日にSamsungとBroadcomが締結したのは覚書(MOU)であり、拘束力のある契約ではなく意向表明です。2030年までのHBM4メモリ供給、2ナノメートル・プロセスによるファウンドリ製造、先端チップパッケージングを対象としています。

MOUには、最終的な購入契約と同等の契約上の義務はありません。Samsungの2ナノメートル・プロセス技術も、量産に必要な歩留まりをまだ実証していません。MOUは提携の方向性と枠組みを示しますが、具体的な数量、価格、納入義務は後続契約で交渉されることになります。投資家は2000億ドルという数字を、保証された売上高ではなく、目指す規模を示す数値として扱うべきです。

●Broadcomの2027年度のAIチップ売上高目標1000億ドルは現実的ですか?

Broadcomは、2026年度のAI半導体売上高を560億ドルと見込んでいます。内訳は第1四半期が約84億ドル、第2四半期が108億ドルで、第3四半期のガイダンスは160億ドルです。2027年度に1000億ドルを達成するには、年度開始時点の売上高ペースを維持したうえで、4四半期を通じておよそ2倍に引き上げる必要があります。

2027年に始まるAnthropic向け3.5ギガワット規模のTPU契約、2026年後半から2029年に展開されるOpenAIの10ギガワット規模のプログラム、2031年までのGoogleとの長期供給契約により、対象期間の受注には一定の見通しがあります。ただし、これらのコミットメントが必要な時期に製品出荷と売上高へ転換されるかどうかが実行上の焦点であり、市場も慎重に評価しています。

元記事: Broadcom Lands $230 Billion in New Deals, Yet Trades at Steep Discount

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